2017年03月26日

[アスペルガー障害の知的能力の偏り:セントラル・コヒーレンス仮説(中枢性統合仮説)]

アスペルガー障害の知的能力の偏り:セントラル・コヒーレンス仮説(中枢性統合仮説)

アスペルガー障害の人は知的能力(言語能力・計算能力・空間認識能力)が高かったり、特定の専門分野についての知識・情報が異常に多かったりすることはあるが、TPOに合わせた常識的な振る舞い方や日常的な雑談・対応のような誰でも簡単にできるようなことが苦手になりやすい傾向がある。高機能自閉症では具体的な事物・名前の記憶能力や視覚的・空間的な再現能力が優れていることが多いが、『抽象的な思考・一般化の能力』が低いことがある。

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴2:自分の感情・感覚も自覚しづらい

アスペルガー障害も高機能自閉症に類似した能力の偏りが見られることはあるが、『抽象的な思考・一般化の能力』が特別に劣っていないケースも多い。ただ『客観的な知識・情報』『主観的な意見・感想』とを織り交ぜて書くような文系学部に多い論文・レポートが苦手なことは多い。

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[アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴2:自分の感情・感覚も自覚しづらい]

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴2:自分の感情・感覚も自覚しづらい

アスペルガー障害の思春期以下の子供・未成年者には、自分から積極的に話しかけていこうとしてよくしゃべる人が多いが、『自分の興味関心があることだけをまくし立てるように話す+相手の話を聞こうとする姿勢がなく感情も推測しない+TPOや相手の表情・反応にほとんど注意を払わない』という特徴があるので、『双方向的な会話のキャッチボール』がなかなか成り立たないということになる。

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴1:語彙は豊富だが一方的

アスペルガー障害の人も成長するに従って、他者との会話や人間関係の経験を積んで学ぶことができるので、少しずつ相手の話を聞けるようになり、表情・態度を見てから話すという『双方向的なコミュニケーション』もある程度はできるようになるが、自分の関心のある話題になると過度に熱中して、相手の反応をほとんど見ずに一方的に話し続けやすい傾向はある。

アスペルガー障害の一方的なコミュニケーションの原因としては、話したり書いたりのアウトプットの能力である『表出性言語能力』に対して、相手の言葉を聞き取って適切に理解する能力である『受容性言語能力』が低いということもある。受容性言語能力には、相手の話した言葉をしっかり聞いて意味を理解するという直接の能力だけではなく、状況や文脈を適切に理解するという高度な社会的認知の能力も含まれている。

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[アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴1:語彙は豊富だが一方的]

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴1:語彙は豊富だが一方的

アスペルガー障害の特徴として『社会性(対人関係)の障害』があるが、この障害によって、暗黙のルールやマナーとしてある社会常識が分からなかったり、前後の文脈(状況)を理解する能力が低かったりする。TPOに合わせる社会常識や他者の気持ちがよく分からないために、突然悪気もなく他人に失礼なことを言ってしまったり、相手の短所・コンプレックスに触れるような発言を遠慮なくしてしまうのである。

『その相手に言ってはいけないこと』や『その場で話すべきではない話題・質問』が分からないために、アスペルガー障害の人には『人を怒らせやすい・人に不快な思いをさせやすい』という対人トラブルを起こしやすいが、本人は相手がなぜ率直な疑問・意見を嫌がって怒るのか分からず逆に不満や理不尽さを感じてしまうことさえある。相手(他者)が自分の言動をどのように受け取って解釈しているのかということが想像できず、また初めから他者の思惑・感想に対する共感的な興味も薄いのである。

アスペルガー障害の特徴には『コミュニケーションの障害(状況に合わせた言語の用い方の障害)』もあるが、アスペルガー障害は『知的障害がないことの前提(自閉症スペクトラムでいう高機能群)』があるので、自閉症のような言語能力・言語発達そのものの著しい遅れ・障害があるわけではない。アスペルガー障害は言語発達に遅れがなくて言語能力も正常圏にあるのだが、他者との双方向的なコミュニケーションが苦手だったりトラブルを起こしやすかったりするのである。

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2017年03月09日

[アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン2:情動的共感が弱いために成功することもある]

アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン2:情動的共感が弱いために成功することもある

自閉症の子供は『モノ・風景の写真』と『顔の写真』を記憶させる実験を行うとモノ・風景の写真のほうをよく覚えている傾向があるというか、厳密には(一般の人は明らかに顔の写真のほうをよく覚えているのだが)顔の写真の記憶力が特別に上がってこないのである。この実験結果は、自閉症(アスペルガー障害含む自閉症スペクトラム)の子供のソーシャルブレインの発達不全を現わしており、顔を特別なものとして認知していないということを示している。

アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力

自閉症・アスペルガー障害ではない健常な人のソーシャルブレインは、『人間の顔』を特別な興味関心・記憶・好き嫌いの対象として扱うように遺伝的・発達的に設計されているものなのだが、特に重症度の高い自閉症では『人間の顔』『モノ・風景・顔以外の身体』との注意・興味・価値の区別がほとんど無くなっているのである。

アスペルガー障害の人は他者の感情や意図に対して、『頭で分かること=認知的共感』『心で感じること=情動的共感』の双方が苦手であり、他者の表情や態度から気持ちを読み取る『ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的コミュニケーション)』もあまりできないことが多い。

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[アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力]

アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力

『ソーシャルブレイン(社会的脳)』が発達していて社会的能力やコミュニケーション能力が高い人は、『他者の顔・表情』からさまざまな情報を半ば自動的に読み取ることができる。愛想笑いや無表情など感情が読み取りにくい表情も確かにあるが、標準的なソーシャルブレインの発達プロセスが進展していけば典型的な『元気な顔・明るい顔・怒った顔』『落ち込んだ顔・暗い顔・悲しい顔』の区別は自然にできるようになってくる。

アスペルガー障害と心の理論2:頭で分かる認知的共感と心で感じる情動的共感

人間の『顔』には、その人のその時点での感情・気分・興味が現れるだけではなく、その人の人格・性格・生き様の大まかな雰囲気・感じまでもが反映されやすく、親しい関係であればあるほど注意深く相手の顔を見れば『その人の今の気持ち・状況・考えていること』などが何となく分かることが多い。無論、完璧に相手の顔だけから感情や考え、人間性が分かるわけではないが、社会的能力が高い人ほど『顔』から読み取ることのできるコミュニケーションに役立てられる情報は多いのである。

社会的な動物である人間は、他者とのコミュニケーションや適応的な集団生活(集団行動)を成り立たせるための『ソーシャルブレイン(社会的脳)』を持っているが、特に『顔に対する認知能力』を発達させている。人間にとっての『顔』は単なる身体の一部ではなく、非常に重要な社会的認知・評価の手がかりとして活用されるものだからであり、人間は他人に見られる『顔』を常に清潔にしようとしその手入れやチェックに相当な時間をかけている。

現代では、顔については美醜が問題にされやすいが、それ以前に顔は自分の人柄・性格・感情・気分・興味を相手に知らず知らずのうちに伝達してしまう『社会的器官・ソーシャルブレインの一部』として機能しているのである。

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[アスペルガー障害と心の理論2:頭で分かる認知的共感と心で感じる情動的共感]

アスペルガー障害と心の理論2:頭で分かる認知的共感と心で感じる情動的共感

子供は9歳頃になると『相手を傷つけたり不快にしたりする言葉』『相手の表情・態度・目線が意味する気持ち・内面』が概ね分かるようになり、(特別にいじめたいとか攻撃したいとかいう意図がない限りは)意識してそういった言葉を相手に使うことを避けるようになってくる。

アスペルガー障害の子供もこういった『心の理論の発達』を前提とした、人を傷つける言葉の自己抑制ができないわけではないが、通常は9歳頃にできることが12歳以降までかかることが多く、状況・文脈・他人の気持ちに配慮したコミュニケーション面の発達に遅れが見られるのである。

アスペルガー障害と心の理論1:他人の嘘や騙しにも気づきにくい単純さ・純粋さ

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)であるアスペルガー障害の『人間関係(社会性)の障害』『コミュニケーション(言葉の発達)の障害』の中核的症状は、分かりやすく言えば『他者に対する共感性の乏しさ』に集約される。その他者に対する共感性の乏しさの原因として考えられているのが、『心の理論の障害』『情動的共感の弱さ』なのである。

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[アスペルガー障害と心の理論1:他人の嘘や騙しにも気づきにくい単純さ・純粋さ]

アスペルガー障害と心の理論1:他人の嘘や騙しにも気づきにくい単純さ・純粋さ

広汎性発達障害(PDD)であるアスペルガー障害では、『人間関係(社会性)の障害』『コミュニケーション(言葉の発達)の障害』が大きな問題になってくるが、その根底にあるのが『心の理論の障害』である。

発達障害の人に特有のコミュニケーション形態に影響する『心の理論』とは、言葉・表情・態度・動作などを参考にして、『他人の意図・感情・立場』を適切に推測する心理的な能力のことである。アスペルガー障害ではこの心の理論が障害されることによって、他人に不愉快な思いをさせたり傷つけることを言ってしまったりしやすいのだが、本人には『悪意や悪気・嫌がらせの目的・傷つける意図』などは全くないのである。

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2017年02月26日

[アスペルガー障害における社会性の障害と他者の意図・感情を推測する『心の理論』:サリーとアン課題]

アスペルガー障害における社会性の障害と他者の意図・感情を推測する『心の理論』:サリーとアン課題

アスペルガー障害の『社会性の障害』として典型的なものに、他者の感情・意図を適切に推測する能力とされる『心の理論』が障害されるということがある。イギリスの発達心理学者サイモン・バロン・コーエン(Simon Baron-Cohen,1971〜)は、自閉症スペクトラムの根本障害の原因をこの『心の理論の発達不全』に求めているが、人間の赤ちゃんは生後5〜9か月の時期から『注意の共有』によって他者の心(意図・感情)を推測するための心の理論を発達させ始めるのである。

他者の気持ちや意図を推測する『心の理論』が上手く発達していかないアスペルガー障害の幼児の特徴としては、ままごとやお医者さんごっこなどに代表される、ぬいぐるみ・おもちゃを役割のある人間(家族)になぞらえてなりきる『ごっこ遊び(想像力を駆使した遊び)』がほとんど見られないということもある。ごっこ遊びよりも、テレビやアニメの登場人物の決まった台詞やポーズをそのまま何度も繰り返す『オウム返し』が見られやすい。

アスペルガー障害における『社会性の障害』と身だしなみ・親密な人間関係:3

アスペルガー障害の幼児の子供は、情緒的な想像力を働かせてコミュニケーション(あれこれ会話)しながら遊ぶごっこ遊びなどよりも、むしろ論理的なルールがしっかりしているトランプや将棋、テレビゲーム(スマホゲーム)を好む傾向がある。他者の立場に立って物事を見るという心の理論も発達しづらいので、4歳児くらいから解くことのできる『サリーとアン課題』にも正答することが難しくなる。

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[アスペルガー障害における『社会性の障害』と身だしなみ・親密な人間関係:3]

アスペルガー障害における『社会性の障害』と身だしなみ・親密な人間関係:3

アスペルガー障害の人は『他者への興味関心(特に他者の内面心理への関心)』が非常に弱く、他人が自分の外見や行動をどのように見ているのかということにもほとんど頓着せず気にしない傾向がある。そのため、アスペルガー障害の人は『服装・髪型・身だしなみ』が無頓着になりやすく、ぼさぼさ頭にボロボロの着古した服を着ていても何も気にならないし恥ずかしいといった感情も抱かないことが多い。

人の考えや感情、評価などにはじめから興味や配慮があまりないので、人からどんな風に思われているかということを想像して自分の言動を変えることが少なく、『人の気持ちとは関係のない事実・真実・知識・モノ』などの執着的な興味を持ち続けることが多いのである。

アスペルガー障害における『社会性の障害』と相互応答のためのノンバーバル・コミュニケーションの苦手さ:2

服装や身だしなみ、流行にこだわらないアスペルガー障害の成功者や経営者、知識人(学者)は意外に多いとされ、マイクロソフト創業者で世界トップの大富豪であるビル・ゲイツも若い頃はスーツの堅苦しい服装を嫌い、ボロボロのジーンズと穴あきのセーターでチェーン店のファストフードを好んで食べていたともいう。

他人や周囲の感情に無頓着で配慮しないことが、アスペルガー障害の『対人関係のトラブル・人から誤解されて怒らせたり嫌われたりする問題』の原因にもなっている。アスペルガー障害の人は状況の前後の文脈(コンテクスト)を読んだり、暗黙の社会的ルールを守ったりすることが苦手であり、端的には『社会常識・TPO・相手の受け止め方(自分の言動を相手がどう評価するか)』がよく分からないままに自分の率直な考え・感想を言葉にしてしまうのである。

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[アスペルガー障害における『社会性の障害』と相互応答のためのノンバーバル・コミュニケーションの苦手さ:2]

アスペルガー障害における『社会性の障害』と相互応答のためのノンバーバル・コミュニケーションの苦手さ:2

アスペルガー障害の人は、他者と『ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的コミュニケーション)』を含めた相互的なやり取りである『相互応答性』が障害されているという特徴もある。

一般的な双方向のコミュニケーションでは、声のリズムや身体のジェスチャー、顔の表情も言葉と同期しているのだが、アスペルガー障害の人は『言葉だけのやり取り』になりやすく、穏やかな目線や笑顔、声の高さ、身振り手振りでポジティブな感情(好意的な関心)を相手に伝える『非言語的コミュニケーション』があまり行われていないのである。

アスペルガー障害における社会性の障害と集団行動・社会的環境(他者の干渉)の苦手さ:1

アスペルガー障害は自閉症スペクトラムの一部を構成する障害(症候群)でもあるから、『他者と視線が合いにくい』『相手の顔や体を見ようとしない』『声の調子が平板で単調』『表情や身振りが乏しい』といった特徴を呈しやすく、他者との相互的なコミュニケーション状況においてぎこちない不自然さが出やすいのである。

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