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2012年01月20日

[ゲシュタルト療法のファンタジー・トリップ(fantasy trip)]

ゲシュタルト療法のファンタジー・トリップ(fantasy trip)

この記事は、『前回のファンタジーに関する記事』の続きになります。フリッツ・パールズとローラ・パールズの夫妻が開発したゲシュタルト療法で用いられるエクササイズの一つが、内的なイメージ(想像力)を活用してファンタジー世界を探求する『ファンタジー・トリップ(fantasy trip)』である。

ファンタジー・トリップとはそのまま『幻想の旅』を意味しているが、幻想的な内面世界を冒険したりイメージを拡大したり、意味あるメタファー(比喩)や象徴を発見したりといった『心的作業』を行うことになる。その意味では、ファンタジー・トリップにはイメージ療法の側面があるが、イメージ療法と比較すると『ファンタジーの自律性・発展性』に特徴がある。

ゲシュタルト療法のセラピストは、豊かなイメージを発展させたりイメージからの物語的な想像力を刺激するために、『暗示療法的な誘導』を行うこともある。意識を特定の方向に誘導する言語的暗示を用いた心理療法が『暗示療法(Suggestion Therapy)』であるが、催眠誘導を用いて変性意識状態(トランス状態)を作り出す『催眠療法(Hypnotherapy)』にも暗示療法としての側面がある。ゲシュタルト療法のファンタジー・トリップでは、『幻想(ファンタジー)の旅を進めていくナビゲーター=幻想・夢想の案内役』としての役割がサイコセラピスト(心理臨床家)に求められている。

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[幻想(fantasy)と精神分析の無意識:M.クラインとC.G.ユング]

幻想(fantasy)と精神分析の無意識:M.クラインとC.G.ユング

ファンタジー(fantasy)とは『幻想・夢想・想像の産物』のことであるが、ファンタジーがどこから現れてくるのかファンタジーの起源は何なのかについては、『経験主義の仮説』『無意識の仮説(精神分析的な仮説)』とがある。経験主義の仮説では『過去に経験した事柄や人間関係』がファンタジーの内容を形作る材料になっており、そのファンタジーの来歴や意味は『過去の想起(思い起こし)』によって説明が可能である。

精神分析的な無意識の仮説では、対象関係論(英国独立学派)の創始者である女性分析家のメラニー・クラインが仮定した『無意識的幻想』のように、本人の過去の経験とは無関係にファンタジーが生成すると考える。

M.クラインのいう無意識的幻想というファンタジーの概念は、『早期発達理論(乳幼児期の発達理論)』『原始的防衛機制(分裂)』と深いつながりがあり、分裂した『悪い対象』を攻撃して破壊しようとする衝動が無意識的幻想の現れとされている。

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[家族療法のファミリー・グループ(family group)とプレイセラピー(遊戯療法):2]

家族療法のファミリー・グループ(family group)とプレイセラピー(遊戯療法):2

この記事の内容は、[前回の記事]の続きになります。ファミリーグループが持っている『エンカウンターの要素』『プレイセラピー(遊戯療法)の要素』が相互に作用してシナジー効果を得ることができれば、家族成員の心理的な悩みが解決しやすい心理状態が生まれやすくなる。それは、家族それぞれが抱えている苦悩や不満を率直に表現することにもつながり、お互いの苦しい心境をそのまま受け容れ合うことができれば、心理療法のプロセスが進みやすくなるということを意味している。

複数の家族が参加しているファミリーグループの家族療法であれば、『自分たちの家族以外の家族』から第三者的な目線で客観的な意見やアドバイスを貰えたりする副次的効果もある。他の家族と自分たちの家族とが相互に支え合って傾聴することで、『家族の問題』を共有しているという感覚が生まれるが、この問題共有の感覚・感情が『社会性の向上・受容性の高まり』といったカウンセリング効果を生み出し、自分たち家族だけが孤立して悩んでいるわけではないという安心感にもつながるのである。

エンカウンターグループとプレイセラピーのシナジー効果は、必然的に『共感性・受容性の実践感覚』『創造力・想像力のポジティブなビジョン』を作り出すのだが、ファミリーグループの集団療法ではこれらの効果を活用しながら、『心身の回復・家族間の信頼関係・機能的(現実的)な認知の獲得』を目指していくことになる。実際のファミリーグループによる集団療法(家族療法)がどのような形で行われるのかという事については、1980年代後半から1990年代に掛けての畠瀬稔・直子夫妻の自分たちの家族を参加させた実践的なファミリーグループ研究が参考になる。

ファミリーグループの集団療法(家族療法)に参加するメンバーは、『複数の家族集団+心理専門家(家族療法家)やスタッフ(ボランティア)』になるが、実際に実施する場合には『自由の多い集団生活を体験する合宿形式』になることが多い。宿泊が難しい場合には、一般的な集団療法や自助会と同じように、一定の時間を取って複数の家族で本音と本音のコミュニケーションを取ることができるように支援していく。

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[家族療法のファミリー・グループ(family group)とプレイセラピー(遊戯療法):1]

家族療法のファミリー・グループ(family group)とプレイセラピー(遊戯療法):1

ファミリー・グループ(family group)とは家族を対象としたエンカウンターグループ(集団療法)の対象であり、複数のメンバーが相互に作用し合っている『家族システム』を支持的かつ問題解決的に機能させることを目的にしたものである。

ファミリー・グループとは『一つの家族』だけを指すものではなく、『複数の家族を合わせた集団』を指すこともあり、例えば『3組の家族全員(親6人・子ども8人など)』エンカウンター・グループの対象となるファミリー・グループとして取り扱うこともある。

ファミリー・グループの基本理念はエンカウンターと同じく『価値のある出会い+オープンな本音の交流』であり、一つの家族の内部でそれぞれが言いたいことを言い合うだけでなく、複数の家族の間で“それぞれが抱えている家庭問題・適応問題・精神障害”について率直で共感的な意見を交換し合ったりもする。ファミリー・グループの方法論には『プレイセラピー(遊戯療法)』の実践や理論も取り入れられており、『本音と本音の交流に潜在する遊びの要素』を通して、普段言葉にできない内的世界の感情や葛藤を投影することで、心理的なカタルシス(感情浄化)の効果を得やすくなるのである。

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2011年12月31日

[不安性格(anxious personality)]

不安性格(anxious personality)

不安を絶えず感じやすくストレスに対して脆弱性を持つ人格構造のことを『不安性格(anxious personality)』というが、不安性格は不安神経症の病前性格と考えられてきた。S.フロイトの精神分析では神経症を発症しやすい病前性格を総称して『神経症的性格』と呼んだが、不安性格というのも神経症的性格の一種であり、『慢性的に不安感情を感じやすい性格構造・認知傾向・自己評価』という特徴を持っている。

不安性格の形成過程では、乳幼児期〜思春期に両親から十分な愛情・保護を与えられなかったり、学校でクラスメイトからいじめや仲間はずれをされたりといったトラウマティックな体験が見られることが多く、そのトラウマ(心的外傷)の影響によって『自尊心の傷つき・自己評価の低下』が起こりやすくなっている。不安性格はその性格形成過程において、何らかのトラウマティックな体験をしていることが多く、その結果として『自分の行動・発言・選択・能力』などに対する自信・確信を持てなくなり、慢性的な不安に襲われやすくなると考えられている。

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[不安(anxiety)と不安階層表(anxiety hierarchy):2]

不安(anxiety)と不安階層表(anxiety hierarchy):2

この記事は、[前回の項目]の続きになっています。社交不安障害(社会不安障害)というのは、かつて対人恐怖症と呼ばれていた精神疾患であり、他人とコミュニケーションをする『対人場面』や他人から自分の言動を見られている『社会的状況』において、異常に強い不安・緊張を感じてしまうというものである。

誰でも初対面の人と話したり大勢の人の前で演説したり板書したりする時には『一定の緊張・不安』を感じるものだが、社交不安障害(社会不安障害)では『上がり症・緊張しやすさ』だけでは説明しきれないほどの強い緊張・不安を感じて、赤面してまったく言葉が出てこなくなったり、手足が振るえて大量発汗をしたりする。

社交不安障害(社会不安障害)の人の自己否定的な認知(物事の捉え方)の特徴は、『自分が相手からバカにされるかもしれない・大きな失敗をして恥をかくかもしれない』という自信の低さであり、相手から否定や侮辱、非難されることを無意識的に恐れてしまって非常に強い緊張と不安に襲われてしまうのである。『不安』を中核症状とする各種の不安障害に胸痛する症状として、『動悸(心臓のドキドキ)・呼吸困難(息苦しさ)・大量発汗・手足の振るえ・頭痛腹痛・消化器症状』などの生理学的症状(自律神経失調症的な症状)がある点にも注意が必要である。特に精神病理学的な不安症状においては、これらの生理学的症状が必ず見られるとされている。

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[不安(anxiety)と不安階層表(anxiety hierarchy):1]

不安(anxiety)と不安階層表(anxiety hierarchy):1

精神疾患の代表的な精神症状に『不安(anxiety)』『緊張(tension)』があるが、不安とは恐怖ほどに具体的な恐れの対象がない感情として位置づけられている。不安とは『具体的な対象がない恐れ』であり、『現実的な危険や恐怖を伴わない恐れ』として定義されている。実際的に不安が体験される時には、『もしかしたら起きるかもしれない危険・破滅の事態』がイメージされることが多いが、そのイメージしている危険や破滅、困難が現実に起こる確率は極めて低いのが特徴である。

不安が極端に強くなって日常生活が困難になったり社会経済的な不利益が出てきたりすると、『不安障害』という精神疾患になる。不安障害は19〜20世紀の精神分析では大まかに『不安神経症』としてまとめられていたが、現在では不安障害に分類される精神疾患にはさまざまな種類がある。

代表的な不安障害としては、『全般性不安障害(GAD)・パニック障害・社交不安障害(対人恐怖症)』などがある。全般性不安障害では、将来や社会、他人に対する漠然とした曖昧な不安症状が見られる精神疾患であり、日常生活や職業活動に支障を来たす『不安症状』のもっとも典型的な現れとして理解することができる。全般性不安障害の未来や周囲に対する漠然とした不安の症状は、かつての不安神経症の中核的症状であり、その不安感情に自律神経失調症の身体症状(頭痛・吐き気・めまい・手足の振るえ・胃痛)が加わることで、日常生活や仕事に大きな支障がでやすくなってしまう。

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2011年12月29日

[ファシリテーター(facilitator)とファシリテーション(facilitation):2]

ファシリテーター(facilitator)とファシリテーション(facilitation):2

この記事は、[前回の項目]の続きになります。ファシリテーター(facilitator)とはミーティング(会議)やワークショップ、集団療法などにおいて、『集団の合意形成・メンバー間の相互信頼・共有される問題とテーマの解決』を促進する触媒的な人物のことであるが、実際の会議や集団療法の場面では『参加しているメンバーの支援・可能性の開発』も同時的に行うことになる。

集団の参加者が率直に自分の意見を述べやすいようにする環境や質問を準備したり、参加者同士が本音で語り合いやすいように話し合いの方向性を調整するのがファシリテーションであり、『最終的な目的』は集団の合意形成(会議の結論)やメンバー間の相互理解の深まりなどになる。

ファシリテーターが果たすことを期待されている具体的な役割・仕事は以下のように整理することができる。ファシリテーターが実施するファシリテーションとは『集団的コミュニケーションの建設的・支持的なプロセス』を促進することであり、組織や集団を活性化させ実際的な問題解決に向けて方向づけることも期待されている。

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[ファシリテーター(facilitator)とファシリテーション(facilitation):1]

ファシリテーター(facilitator)とファシリテーション(facilitation):1

ファシリテーター(facilitator)とは、複数の人が集まってミーティング(会議)やワークショップを行う場合に、その集団の目的やテーマに沿った建設的なコミュニケーションを促進して、参加者ひとりひとりのポテンシャル(潜在能力)を引き出そうとする役割を請け負った触媒的・援助的な人物のことである。

ファシリテーターは従来の会議のコンセプトで考えれば、司会・議長・リーダーと呼ばれる『会議の進行役・まとめ役』と同じようなものとも言えるが、ファシリテーターは『メンバーの上位に立つ権威的存在』ではなく『メンバーそれぞれを支援して能力・意見を引き出す存在』という部分が大きく違っている。

ファシリテート(facilitate)という英語の他動詞は、『〜を事前に準備する。促進する。助長する』という意味で、大まかに言えば『他者を間接的に支援して手助けする』ということであり、このファシリテーション(facilitation)の包括的概念はカウンセリングやコンサルティングの方法論・目的とも重なっている。

多くの企業や団体が『無駄・非効率なミーティング(会議)』を減らし、『有益・効率的なミーティング(会議)』を増やしていくという目的を持って、ファシリテーターの育成研修に力を入れていたりもするが、ファシリテーションの本質はカウンセリングの集団療法(エンカウンターグループ)に見られるような『他者の可能性の開発・他者の意見やアイデアの促進』にこそある。

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2011年12月14日

[ファザリング(fathering)・マザリング(mothering)とイクメンの子育て:2]

ファザリング(fathering)・マザリング(mothering)とイクメンの子育て:2

この項目は、[前回の記事]の続きになります。母性だけに焦点を当てた発達理論が多い中で、子どもの精神発達に対する『父性の役割(父親の心理的影響)』にも言及しているのが、ジークムント・フロイトの精神分析における『エディプス・コンプレックス』の理論である。エディプス・コンプレックスは一般的には『母親(異性の親)に対する独占欲求・性的関心』『父親(同性の親)に対するライバル心・憎悪』の葛藤として説明されることが多いが、発達心理学的には父性の権威的な指示・規制による『超自我の発達・社会性の獲得』といった家族・母親からの自立心の芽生えが重要になってくる。

エディプス・コンプレックスは女児の場合にはエレクトラ・コンプレックスとも言われるが、いずれにしても異性の親への独占欲・依存性が同性の親から挫折させられる葛藤経験であり、『過度の母子密着・家庭依存の弊害』を抑制するという働きをする。母性原理は家庭の内部に子どもをそのまま留めて、包み込むように保護したり愛情を注いだりする役割をするが、母性原理ばかりが強すぎると『子どもの自立心・社会化』が阻害されやすくなる。父性原理は家庭の外部へと子どもを送り出し、切断するように社会規範を示したり母からの自立を促進したりする役割をするが、父性原理ばかりが強すぎると『子どもの安心感・基本的信頼感(自尊心)』が阻害されやすくなる。

子どもの心身の健全な発達と超自我(社会性・道徳性)の獲得のためには、母性原理と父性原理のバランスの取れた育児が大切であり、『包み込んで愛するマザリング』だけでも『切断して自立させるファザリング』だけでもどちらかに偏りすぎると、子どもの精神発達や性格形成、社会適応に何らかの問題が生じるケースがでてくる。しかし現代では、『亭主元気で留守がいい・家庭に居場所のない父親・男性の帰宅拒否症候群・妻の夫在宅ストレス症候群・熟年離婚』のように、どちらかというと子どもを自立させて社会化させるよりも、母子密着を前提にして父親の居場所のほうが無くなるという問題が起こっていて、『父性の欠如』は深刻化しているとも言われる。

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posted by ESDV Words Labo at 07:40 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする