ダニエル・ベルの『脱工業化社会』とJ.K.ガルブレイスの『新しい産業国家』
産業経済が発達して大規模化したテクノクラシー(技術官僚支配)では、従来の『資本・生産手段などのハード部門』よりも『科学技術・専門知識などソフト部門』の重要性が高まるが、国民全体に影響を与える政治的意志決定においても、ソフト部門の専門家(技術者)の見識や主張が尊重されやすくなる。
テクノクラシーの進展は、市場経済の発達や産業構造の転換とも関係しているが、テクノクラシーを歴史的・経済学的文脈で更に的確に理解するためには、ダニエル・ベル(Daniel Bell, 1919-)の『脱工業社会の到来』やジョン・ケネス・ガルブレイス(John Kenneth Galbraith, 1908-2006)の『新しい産業国家』が参考になる。
ダニエル・ベルは科学技術の進歩や急速な経済成長によって、社会の階層分化が進み物的な生産物に対する需要が減少すると予測して、モノ(物理的な財)を生産する『工業社会・産業社会』の後に、知識・情報・サービスを組み合わせて知的な価値(ノウハウ)を生み出す『知識社会・情報社会』が到来すると主張した。
ダニエル・ベルの言う『脱工業化社会』とは、物理的な生産物(物的な財)に対する需要が減少して、知識的な生産物(知的な財)に対する需要が増加している知識社会(情報社会)のことである。現代のIT革命やグローバリゼーションを経験した『情報化社会・ネット社会』も、ベルの想像力の射程に収められていて、物的な財の氾濫とステイタス性の低下によって『モノの需要』が減少するという予測も当たっている部分がある。
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