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2009年11月07日

[ツベルクリン反応・ツベルクリン皮膚検査(tuberculin skin test)とBCG]

ツベルクリン反応・ツベルクリン皮膚検査(tuberculin skin test)とBCG

ツベルクリン反応(tuberculin skin test)とは、結核感染のスクリーニング検査に用いられる免疫反応(免疫応答)のことである。1890年にドイツの科学者・医師であるロベルト・コッホ(Heinrich Hermann Robert Koch、1843-1910)によって、結核菌からグリセリン抽出されたツベルクリン液(結核菌を薄めた抗原)が作成され、クレメンス・フォン・ピルケのアレルギー反応の発見によってツベルクリン皮膚検査が実用化されることになった。

ツベルクリン液とは、『薄めて無毒化した結核菌』から分離精製された複数のタンパク質であり、ツベルクリン液には結核発症の作用はなく安全性が確認されている。ツベルクリン皮膚検査では前腕に皮内注射を行って、48時間後の皮膚反応(発赤の大きさ)を測定することになるが、その判断基準は以下のようになっている。

陰性:注射部位の発赤の長径が10mm未満=結核に感染していないと推測されるが、結核に対する抵抗力(免疫)がないのでBCG(牛型結核無毒化ワクチン)を接種する。

疑陽性:注射部位の発赤の長径が10mm以上であるが硬結・2重発赤がない=結核に感染しているリスクは低い。

中等度陽性:注射部位の発赤の長径が10mm以上で硬結がある=発赤の長径が30mm以上になると、結核感染のリスクを排除できない。

強陽性:発赤の長径が10mm以上で硬結以外にも2重発赤,水疱,壊死などが発症している=結核感染のリスクが高いと推測される。

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[t検定(t-test)とt分布:統計学的な仮説検定]

t検定(t-test)とt分布:統計学的な仮説検定

F検定(F-test)とは、2つの“正規母集団のばらつき(母分散)”に差があるかどうかを検定する統計学的な検定法であるが、2つの“正規母集団の平均値(母平均)”に差があるかどうかを検定する方法として『t検定(t-test)』がある。t検定では『2つの集団の平均値に差がない』という帰無仮説を検証することになるが、計算したt値が既定の自由度における『t分布表の値』よりも大きければ、この帰無仮説が棄却されて『2集団間の平均値に有意差がある』という対立仮説が肯定されることになる。

統計学的な有意性は、実験群と対照群(統制群)を用いた比較試験などで検証されるが、二つの群の間に見られる差に意味があるのか偶然であるのかは『有意水準(危険率)』を指標にして判断される。

有意水準(危険率)とは、帰無仮説を支持する標本(サンプル)が母集団から抽出される確率であり、通常、有意水準α=0.05(5%)、α=0.01(1%)が設定される。通常は、t検定を実施する前に、『2つの母集団の分散に有意差があるか』を検証するF検定を実施しておき、2つの母集団の分散が等しい場合には、『分散が等しいときのt検定の公式』で平均値に有意差があるか否かを判断していく。

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[通信分析・日記分析(correspondence therapy)とメールカウンセリング]

通信分析・日記分析(correspondence therapy)とメールカウンセリング

カウンセリングの心理面接では、言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションを手段として用いることで、クライアントの心理的な問題(各種の心身症状)を改善していこうとする。しかし、クライアントの中には心理臨床家と直接的に向き合って話をすることが苦手な人もいて、言語的コミュニケーションだけでは、クライアントの心理状態や生活状況について十分な情報・理解を得られないこともある。

心理臨床家(カウンセラー)と対面して言語的コミュニケーションをすることが得意ではないクライアント、『転居・体調悪化・入院』など諸事情によって対面のカウンセリングを受けることが難しいクライアントに対しては『通信分析(correspondence therapy)・日記分析(diary analysis)』と呼ばれる補助技法が実施されることがある。

通常の対面カウンセリングは、カウンセラーとクライアントが『言葉(音声言語)』を用いてコミュニケーションすることで心理的問題(精神症状)の改善を模索していくが、通信分析(日記分析)ではクライアントの書いた『日記・手紙・エッセイ・詩文』などをカウンセラーが受け取って、その内容を分析しながらクライアントへの返信を書いていくのである。

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[カウンセリングの終結(termination)と論理療法の治療的冒険]

カウンセリングの終結(termination)と論理療法の治療的冒険

治療的カウンセリングの基本は共感的な理解と無条件の肯定的受容であり、クライアントの人格や信念を尊重しようとする誠実な態度を保持することで、治療的に有効な『ラポール(相互的な信頼関係・親愛感)』を確立していくのである。カウンセリングの実施に当たっては『カウンセリングの終結(termination)』が問題になることがあるが、カウンセリングの終結は以下のような各種の基準や心理・行動の変化によって判断されることになる。

1.自我の強化や自己肯定感の向上……自分で自分の存在や言動を肯定的に認識できるようになり、『自己評価の高まり』と共に現実的な生活行動が改善されたときにカウンセリングを終わらせる。

2.他者との対人関係やコミュニケーションの改善……他者と安定した人間関係を築くためのコミュニケーションスキルを習得したり、自分の言いたいこと(伝えなければならないこと)を過度に抑圧せずに自己主張できるようになったときにカウンセリングを終わらせる。

3.社会生活・職業活動の適応性の改善……うつ病などの精神症状によって学校・会社に定期的に通うことができないという問題がある場合には、『毎日の通学・通勤』が無理なくできるようになったときにカウンセリングを終わらせる。会社・学校に行けなくなる原因には、うつ病以外にも『いじめ・学業不振・パワーハラスメント・モラルハラスメント・アパシー(意欲減退症候群)・対人恐怖症(社会不安障害)』などがあるので、それぞれの問題状況や精神症状に合わせた治療的カウンセリングを実施していくことになる。

4.ストレス耐性や状況対応力の向上……現実の社会生活や対人関係で経験することになる『精神的ストレス』に耐える能力や肯定的認知を獲得したときにカウンセリングを終わらせる。現実の生活状況やコミュニケーションには『さまざまな状況・予測困難な事態』が存在するので、そういった各種の状況に苦痛や不安を感じずに対応できる能力(=臨機応変な状況対応力)を培うことも、カウンセリングの目標の一つになっている。

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2009年10月31日

[治療的カウンセリングと助言的カウンセリング]

治療的カウンセリングと助言的カウンセリング

カウンセリングには大きく分けて、『調査的カウンセリング・助言的カウンセリング・治療的カウンセリング』という3つの目的を達成しようとするカウンセリングがある。“調査的カウンセリング”とは、クライアントの心理状態や生活状態、人間関係、成育歴などの情報を収集することを目的としたカウンセリングであり、『質問紙法・投影法・インタビュー』といった心理アセスメントをメインにしてカウンセリングを行っていく。調査的カウンセリングは、精神医学の分野では患者の診断名を判断するための『診断的面接』と呼ばれることもある。

“助言的カウンセリング”とは、内面的な問題や過去の心的外傷をできるだけ取り扱わずに、『クライアントが求める知識・情報・対処法』のみを的確なアドバイスとして伝えるためのカウンセリングである。助言的カウンセリングは、『不安感・抑うつ感・焦燥感・強迫観念・対人緊張・トラウマ』などの精神症状(病的な心理状態)を改善するためには余り役に立たないことが多いが、『進路相談・学業の指導・生活指導・人生相談・仕事のやり方の教育』などではクライアントが必要とする知識・情報を与えることによって問題の解決が促進することも多い。

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[通過儀礼(initiation, rite of passage)・子どもから大人への移行(変化)を証明する儀礼]

通過儀礼(initiation, rite of passage)・子どもから大人への移行(変化)を証明する儀礼

文化人類学や民俗学で研究される『通過儀礼(イニシエーション)』とは、社会共同体に所属する個人の“社会的属性(社会的地位)の移行”を証明するための儀式のことである。通過儀礼は1908年にフランスの民俗学者アルノルト・ファン・ヘネップ(A.L. Van Gennep)が提案した概念であり、『出生・成人・結婚・地位の昇進・死』など人生の節目で共同体(帰属集団)によって施行されることが多い。

アルノルト・ファン・ヘネップ自身は『通過儀礼』について、『共同体に所属する個人がある状態から他の状態へと移行する時に、キリスト教の洗礼と同様に通過のために執り行う特別な儀礼』というように説明している。

伝統・風習が衰退した文明的な現代社会でも、成人式や入社式(入学式・卒業式)、葬式などの形で通過儀礼の形跡が残っている。通過儀礼は通常、自分が生まれ落ちた村落共同体の中で執り行われていたが、『異文化・異民族の知らない土地』に旅する時にも『その土地の食べ物を口にする・民族の祭祀や宴会に参加する・長老に挨拶して洗礼を受ける』などの通過儀礼(敵ではないことを証明する儀礼)が行われることが多かった。

移送手段や職業活動(全国的なビジネス)が発展した現代社会では、『生まれた土地・町村で一生涯を過ごす人口』が減っており、人口の流動性が高まっているので前近代的な厳格なイニシエーションとしての通過儀礼は減ってきている。文明化されていない原始的な共同体では、『割礼・刺青・闘争・バンジージャンプ・猛獣の狩り』といった身体的な苦痛や危険を伴う通過儀礼が行われていたが、それは『成人(大人)としての能力・覚悟を持っていることの証明』という通過儀礼の目的が強く含意されていたからである。

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[痛風(gout)の症状・原因・治療]

痛風(gout)の症状・原因・治療

“痛風(gout)”は血液中の尿酸値の上昇によって発症する病気であり、関節部分の激しい痛みや腫れ、変形などの症状が出てくる。痛風は『栄養状態の偏り・尿酸の過剰産生と蓄積』によって起こる病気なので、かつては『贅沢病・飽食の時代の病気』と言われていた。しかし、先進国の食生活が『欧米化(肉食による高タンパク質のメニュー・糖分摂取の増加)』したことにより、特別に贅沢な食事をしていなくても痛風を発症する恐れが出てきた。

江戸時代以前の日本には『痛風患者』の存在はほとんど無かったとされているが、食生活の欧米化やストレス社会の到来を受けて戦後の日本でも痛風患者は増えてきた。現在、痛風の患者数は50〜70万人以上とも推定されており、それほど珍しい病気ではなくなっている。痛風の原因はさまざまだが、最も多い発症原因としては『動物性タンパク質の摂取量の増加・飲酒量(プリン体)の増加・運動量の減少・心理社会的ストレスの増加』があり、基本的には高尿酸血症によって引き起こされる病気である。

『痛風の病名の由来』は、関節の痛みが風が吹くかのように全身を移動していくということ、あるいは、風が吹くだけでも耐えられない激痛が関節に走るということにあり、『通風発作』が起こると痛みのために歩行困難になることも多い。痛風は『関節の炎症・痛みの症状』だけではなく、痛風が悪化してくると『尿路結石・腎障害・糖尿病・高血圧症』などの合併症(内臓障害)を併発することも多いので注意が必要である。

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[メラニー・クラインの抑うつ態勢における『償い(reparation)』]

メラニー・クラインの抑うつ態勢における『償い(reparation)』

英国で対象関係論を創始した女性分析家のメラニー・クライン(Melanie Clein, 1882-1960)は、乳幼児の早期発達理論において『妄想−分裂態勢(生後0ヶ月〜3‐4ヶ月)』『抑うつ態勢(生後4ヶ月〜1歳頃)』の2つの発達段階を仮定している。

妄想−分裂態勢(paranoid-splitting position)では、赤ちゃんは自分の思い通りにならない対象から攻撃されるという被害妄想的な世界を生きており、『分裂(splitting)・投影同一視(projective identification)』といった原始的防衛機制によって母親の乳房を『良い乳房』『悪い乳房』に分裂させて認識している。

発達早期の乳幼児は現実認識能力が発達していないので、一つのまとまった母親の存在や人格を認識することができず、母親の存在を自分に安心とミルクを与えてくれる『良い乳房』と自分に空腹と寂しさを与えてくる『悪い乳房』とに分裂させて認識しているのである。原始的防衛機制である『分裂』によって、母親の全体対象が『良い部分対象』と『悪い部分対象』とに分けられるが、赤ちゃんは『悪い部分対象』に死の本能(タナトス)を投影して破壊しようとする。赤ちゃんの攻撃反応(破壊衝動)は『噛み付き・泣き・怒り・ぐずつき』などのかたちで表現される。

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[H.サールズの治療的共生(therapeutic symbiosis)と転移分析]

H.サールズの治療的共生(therapeutic symbiosis)と転移分析

精神分析家のH.サールズ(H.Searles)が統合失調症患者への対象法として呈示したのが、『治療的共生(therapeutic symbiosis)』である。H.サールズは、M.マーラーの『乳幼児発達理論(分離‐個体化理論)』に基づいて治療的共生を考えているが、これは『幻想的な母子一体感』をカウンセラーと統合失調症患者との間で再現しようとする意欲的な取り組みであった。

女性分析家のM.マーラーは、母親と乳幼児を対象にした発達早期の精神分析を実施する中で、『分離−個体化理論』の仮説を提示した。M.マーラーの理論では乳幼児期(0歳〜3歳)の発達段階は、『正常な自閉期→正常な共生期→分化期→練習期→再接近期→個体化期』に分類されるが、未分化期にまとめられる『自閉期・共生期』では母親と赤ちゃんが心理的に分離していないという特徴が見られる。

自己と他者が未分離である『共生期』では、母親が自分と子どもが一体化しているという『幻想的な母子一体感』を感じることがあるが、H.サールズはこの母子一体感を心理療法で再現することによって『統合失調症の患者』の精神発達をやり直させようとしたのである。精神分析の精神病理学では、統合失調症の原因は『口愛期(共生期)への固着・退行』だとされていたので、口愛期で受け取ることができなかった『母親の愛情・好意』を精神分析の治療関係の中でもう一度与えようとしたのである。

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2009年10月21日

[心理臨床家(カウンセラー)の失錯・失敗を生みやすい要因]

心理臨床家(カウンセラー)の失錯・失敗を生みやすい要因

カウンセリング(counseling)では、言語的コミュニケーションや非言語的コミュニケーションを通して、クライアントの心理的問題の解決や精神状態の回復を促進する。心理療法(psychotherapy)では、クライアントの『精神病理の側面』に焦点を当てて、言語的コミュニケーションや各種の技法の適用を行いながら、クライアントの精神症状を改善することを目指す。

便宜的な定義では、カウンセリングは『健常なパーソナリティ』を持つクライアントの問題を対象にした対人援助技術であり、心理療法は『病的なパーソナリティ・精神障害』を持つクライアントの問題(症状)を対象にした治療的な技術となる。

カウンセリングや心理療法を実践する時には、カウンセラー(セラピスト)が犯しやすい典型的な誤り・失錯というものがあるが、それは以下のような項目にまとめることができる。以下のすべてが問題や失敗になるわけではないが、心理臨床家(カウンセラー)が果たすべき役割や実施すべき心理面接からズレてしまう恐れを持っている。

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