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2015年08月29日

[薬物依存症(物質嗜癖)の『動機・治療法・治療的ネットワーク』]

薬物依存症(物質嗜癖)の『動機・治療法・治療的ネットワーク』

一般的に薬物依存症の治療では、個人の内面(認知・感情・価値観)や過去の記憶(成育歴・人間関係)を掘り下げていくような『精神分析(力動的精神療法)・個人心理療法』はあまり有効性が認められていない。

どちらかというと、行動次元での適応に焦点を絞った『行動療法』や現実の人間関係を改善していく『対人関係療法』、集団で心境・反省を語り合う『集団精神療法(グループセラピー・自助グループ)』のほうが効果が高いとされている。

薬物依存症(物質嗜癖)の持つ『医原性・反社会性』の問題

薬物依存症の治療は原則的に医師・心理臨床家の『個人の力量・治療能力』を超えていることがほとんどであり、精神・身体の依存状態からの回復プロセスを進めるに当たっては、『専門家(医療・心理臨床等)・家族・地域社会・NPO・自助グループなどが連携して協力する治療的ネットワーク形成』が欠かせない作業になっているのである。

日本では特に薬を多く処方すればするほど病院の利益が大きくなる(反対に薬を処方しない診療だけではまともに利益を出せない)という『保険診療制度の構造要因』によって、外来診療でも患者の訴える症状のままに、必要以上の種類・分量の薬を出しすぎやすいという問題が指摘されることがある。

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[薬物依存症(物質嗜癖)の持つ『医原性・反社会性』の問題]

薬物依存症(物質嗜癖)の持つ『医原性・反社会性』の問題

『依存症』は時に『慢性中毒』『乱用』の概念と混同されて用いられることもあるが、厳密にはそれらの概念は意味が異なるものである。

『慢性中毒』というのは、薬物を慢性的・長期的に反復使用した結果として生じる『健康上の副作用・弊害』のことであり、症状に合わせて短期間だけ飲む『頓服使用(とんぷく)』の対義語的な位置付けに置かれているニュアンスがある。

薬物依存症(物質嗜癖)の『耐性・依存性・離脱症状』

『薬物乱用』というのは、本来の医学的治療の目的とは異なる目的で薬物を使用したり、用法・容量を守らずに大量に薬物を摂取したりすることである。また、薬物乱用という概念には、法律に違反する薬物の使用、薬物の関係する反社会的な薬物使用の慣習などが含まれている。

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[薬物依存症(物質嗜癖)の『耐性・依存性・離脱症状』]

薬物依存症(物質嗜癖)の『耐性・依存性・離脱症状』

特定の化学物質に依存・耽溺して自らの意志ではやめられなくなる薬物依存症を生み出す作用は、主に『耐性』『依存性』である。ある特定の薬物を摂取すると、『興奮・爽快・酩酊・多幸・幻覚』などの本人にとって快楽を増したり苦痛を減らしたりする薬理作用を得ることができるので、これが『依存性(薬物の反復使用)』の原因になってしまう。

薬物依存症(物質嗜癖)と医療場面・治療の動機づけ

これらの中枢神経系に作用して脳内の情報伝達物質を変化させる薬理作用は長続きせず、次第にその効果が漸減していくという特徴を持っている。身体(脳)が薬の作用に馴れていってその効果が次第に弱まっていく(薬理作用に耐える力がつく)というのが『耐性』である。この耐性によって薬物の分量が増えていき(増量しないと薬の効果が感じられなくなり)、更に『依存性』が強化されてしまうのである。

一つのある薬物で獲得された耐性が、それ以外の薬物にまで適用されてしまうことを『交叉耐性(こうさたいせい)』というが、薬物依存症者は複数の化学物質に対する依存性・耐性が形成されてしまうことで、この交叉耐性も発現しやすくなる。その結果、色々な薬物を『大量摂取(乱用)』しないと快感や苦痛の減少を感じなくなって依存症が重症化していき、反復的な薬物摂取をやめられない悪循環にはまり込むのである。

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[薬物依存症(物質嗜癖)と医療場面・治療の動機づけ]

薬物依存症(物質嗜癖)と医療場面・治療の動機づけ

自分の意志でその摂取をやめることができない『物質嗜癖』の一種として位置づけられる『薬物依存症・乱用』は、アルコール依存症と同じく『否認の病』としての特徴を持つので、患者自らが病院(医療施設)・相談機関に訪れることは少ない。

薬物依存症・物質乱用の問題を抱えている患者が、『医師・看護師・心理臨床家・精神保健福祉士・コメディカルスタッフ』と出会うことになる医療場面(半強制的要素もある治療の動機づけ)は、主に以下のようなケース(事例)で整理することができる。

依存性・耐性が形成されて摂取(使用)をやめられなくなる薬物の種類はさまざまであり、精神科・心療内科で処方される『睡眠薬(バルビツール酸系・ベンゾジアゼピン系)・抗不安薬(マイナートランキライザー)・中枢神経刺激薬(リタリン・コンサータ・ドグマチール)・鎮痛剤・喘息薬や鎮咳去痰剤(エフェドリン)』などに対して依存症が形成されてしまうケースも少なくない。

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2015年08月22日

[アルコール依存症の治療法:“離脱症状・リハビリテーション・アフターケア”]

アルコール依存症の治療法:“離脱症状・リハビリテーション・アフターケア”

アルコール依存症は短期間で治療が終わるような精神疾患ではなく、基本的に精神・身体依存の症状と離脱症状が治りにくい『難治性』であり、その治療にかなりの時間がかかるものである。一般的には、約2〜3年間の治療期間を設定した上で、以下の3段階のステップで依存症の治療に当たることになる。

アルコール依存症の治療と『否認の病』としての特徴

1.アルコール離脱症状の治療(入院・外来での禁酒薬を用いた薬物治療が中心)

2.アルコール・リハビリテーション・プログラム(ARP,入院・外来での治療)

3.アフターケアとサポート体制(主に治療後に行う外来での相談・ケアの体制)

『アルコール離脱症状』というのは、最後に飲酒した6〜10時間後から“手の振戦(手の振るえ)”が始まり、それに加えて『発汗・吐き気(嘔吐)・頻脈・食欲不振・睡眠障害・錯覚・幻覚・軽躁(異常な高揚)・不穏(抑制のなさ)・てんかん発作』などの症状が出てくるもので、一般に『禁断症状』とも呼ばれるものである。

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[アルコール依存症の治療と『否認の病』としての特徴]

アルコール依存症の治療と『否認の病』としての特徴

アルコール依存症は『否認・沈黙の精神疾患』とも言われ、外部に病気の事実が伝わりにくく、また本人の口からアルコール依存症に悩んでいるというカミングアウト(告白)が行われることも極めて少ない。

依存症の問題を提起したり相談してくるのは、患者本人ではなく周囲にいる家族・恋人・近しい関係者であるが、患者本人が長期間にわたって習慣的な大量飲酒を続けてきた背景に、家族・関係者との『共依存(co-dependency)』の問題が存在していることも多い。

アルコール依存症の『生物‐心理‐社会モデル(bio-psycho-social model)』に基づく原因論

共依存というのは、お互いに『相手の問題点(短所・症状)』を補強して維持し合うような悪循環を繰り返す依存関係のことであり、アルコール依存症の問題においては意識的であるにせよ無意識的であるにせよ、『過度の飲酒行為』を周囲の家族・関係者が容認したりサポートしたりその罪悪感を和らげたりしていることが多いのである。

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[アルコール依存症の『生物‐心理‐社会モデル(bio-psycho-social model)』に基づく原因論]

アルコール依存症の『生物‐心理‐社会モデル(bio-psycho-social model)』に基づく原因論

アルコール依存症の原因は、総合的な『生物‐心理‐社会モデル(bio-psycho-social model)』によって説明することが可能であるが、アルコール依存症の親がいる子はそういった親がいない子よりも、約4倍アルコール依存症にかかりやすいという統計的研究の結果もある。

アルコール依存症のCAGEスクリーニング・テストとICD-10の診断基準

アルコール依存症の親から育てられた子供は、『アダルトチルドレン』としての自覚・問題を抱えやすいともされる。それは依存症の親は『教育・保護・愛情などと関連する親としての役割』を果たすことが著しく困難になっていて、子供が家庭で安心感・被保護感・居心地の良さを感じられない『機能不全家族』としての環境が常態化してしまうからである。

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[アルコール依存症のCAGEスクリーニング・テストとICD-10の診断基準]

アルコール依存症のCAGEスクリーニング・テストとICD-10の診断基準

アルコール依存症とは、依存性・耐性のあるアルコール(酒類)を過剰に摂取してしまうと同時に、アルコールを摂取したいという衝動・欲求を自分の意志では制御できない疾患で、結果として心身の健康を害するだけではなく社会的・職業的・対人関係的な支障が生じてしまう。

アルコール依存症の背景には、『生物学的要因(遺伝)・心理的要因(依存・逃避)・社会文化的要因(飲酒行為に対する寛容さ)』などが複雑に絡み合っている。この項目では、アルコール依存症をスクリーニングするための『CAGEスクリーニング』『ICD-10の診断基準』について以下に示す。

CAGEスクリーニング

1.あなたは、自分の酒量を減らさなければならない(Cut Down)と感じたことがありますか?

2.あなたは、誰か他の人に自分の飲酒について批判され、うるさいなと感じたこと(Annoyed)がありますか?

3.あなたは、自分の飲酒について良くないと感じたり、罪悪感(Guilty)を持ったことがありますか?

4.あなたは、神経を落ち着かせるため、または二日酔いを治すために、朝まっさきに飲酒したこと(Eye-opener)がありますか?

“CAGE”というのは、上記の英語の頭文字を連ねてできた言葉である。上記4問のうちで2問に『はい』と答えた場合に、アルコール依存症の疑いが十分にあると見なされる。

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2015年08月12日

[症状精神病と各種の身体疾患との相関関係:内分泌疾患などによる精神障害の発症]

症状精神病と各種の身体疾患との相関関係:内分泌疾患などによる精神障害の発症

症状精神病は『各種の身体疾患(基礎疾患)』に付随する形で発症・経過する精神疾患であるが、そういった狭義の症状精神病を引き起こしやすい身体疾患には以下のようなものがある。

H.H.ウィエックの通過症状群と一般身体疾患の影響による譫妄・気分障害

1.糖尿病……インシュリン注射療法で、過剰投与による低血糖が起こると『欲求と関心の消失・傾眠による意識水準低下・譫妄・もうろう状態』といった精神症状が起こり、悪化すると昏睡になってしまうリスクもある。糖尿病に伴う一般的な精神症状としては、『不安感・抑うつ感・意欲低下・心気症(ヒポコンドリー)』などがある。

2.尿毒症(腎不全)……透析治療が必要となる腎不全による尿毒症では、『疲労感・倦怠感・抑うつ感・不安感・睡眠障害』などの精神症状が見られ、悪化すると嗜眠(しみん)・昏睡になってしまうリスクもある。尿毒症の経過では、『譫妄・錯乱・緊張病(外的刺激に対する反応が乏しい状態)』といった症状精神病の症状が出てくることもある。

透析治療のプロセスにおいて、血液と中枢神経系の間で血液内の物質の濃度差ができる症状を『透析不均衡症候群』というが、この透析不均衡症候群が発症すると『脱力感・疲労感・不安感・頭痛・譫妄・錯乱・昏睡』の症状精神病の問題が出てくることがある。長期間に及ぶ透析治療は、脳への器質的ダメージや病的変化を引き起こすリスクがあるが、その場合には『脳器質精神症候群』と呼ばれる人格変化・知能低下などの症状が出てくることもある。

3.心疾患……心臓疾患は致命的疾患にもなり得るため、『死の強い恐怖』に襲われやすく、『不安感・恐怖感・抑うつ感・軽躁状態・イライラ』などの精神症状がでやすい。心不全の発作が起こる時にも、『注意力低下・集中困難・記憶力低下・睡眠障害・譫妄』などの症状がでやすい。

4.肺疾患……長期喫煙者に発症しやすい『COPD(慢性閉塞性肺疾患)』の患者は、慢性的に息苦しさを感じる『呼吸不全症状』があるので、その影響で『不安感・イライラ(不機嫌)・傾眠・軽躁』などの精神症状がでやすく、悪化すると『譫妄・昏迷・昏睡』などに至りやすい。

5.肝疾患……肝疾患による肝機能障害に伴って、『抑制欠如(衝動性の抑制困難)・抑うつ感・多幸感』などの症状精神病の精神症状が出やすくなる。肝疾患が重症化すると『譫妄・もうろう状態』といった幻覚・妄想を伴うタイプの意識障害も見られやすくなり、肝臓がんの末期などでは外的刺激に全く反応を示さなくなる『肝性昏睡』に至る。

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[H.H.ウィエックの通過症状群と一般身体疾患の影響による譫妄・気分障害]

H.H.ウィエックの通過症状群と一般身体疾患の影響による譫妄・気分障害

症状精神病の意識障害の発症前あるいは回復後に見られやすい『意識障害以外の可逆的な症状(回復しやすい症状)』のことを、精神科医のH.H.ウィエック(H.H.Wieck)『通過症状群』として定義したりもしている。

症状精神病で見られる各種の意識障害

DSM-W‐TRでは症状精神病は、『病歴・身体診察・臨床検査所見』から、その障害が一般身体疾患の直接の生理学的結果による引き起こされたという証拠があるケースとしてまとめられている。

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[症状精神病で見られる各種の意識障害]

症状精神病で見られる各種の意識障害

統合失調症の『一級症状』を分類整理したことで知られるドイツの精神科医クルト・シュナイダー(Kurt Schneider, 1887-1967)は、症状精神病のことを『身体的基礎のある精神病』と呼んでいた。

症状精神病と器質性精神病・中毒性精神病の違い

『外因性精神病の問題について』の著作のあるドイツの精神科医K.ボンヘッファーは、各種の症状精神病に共通する症状の概念として『外因反応型』を提唱している。K.ボンヘッファーの外因反応型の概念はすべての症状精神病に当てはまるものであり、症状精神病の原因となる基礎疾患はさまざまであっても、それらに共通する精神症状に一定のパターンがあることを示唆している。

症状精神病の症状は可逆的であり、その本体が『薬物・外科手術が効きやすい身体疾患』であることから、『器質性精神病・内因性精神病・中毒性精神病』よりも治癒する可能性が高いとされる。症状精神病は、身体疾患の経過と並行するような形で症状が経過していき、身体疾患がすっかり治癒してしまえば、症状精神病も治癒することが殆どである。

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[症状精神病と器質性精神病・中毒性精神病の違い]

症状精神病と器質性精神病・中毒性精神病の違い

現実検討能力(現実・妄想の区別)や意識水準(意識の清明度・機能性)が障害される『精神病(psychosis)』は、その原因によって大きく以下の三つに分類することができる。

1.器質性精神病……脳の器質的病変を主な原因として発症する精神病。

2.症状精神病……別の身体疾患の発症・経過に伴って発症する精神病。原因となる身体疾患を基盤に持っている精神病。

3.中毒性精神病……アルコール中毒(アルコール依存症)や薬物中毒(薬物依存症)に伴い、それらの物質の副作用(中枢神経系の機能障害)によって発症する精神病。

もっとも典型的な精神病は、妄想・幻覚・感情の平板化の症状を特徴とする『統合失調症』であり、統合失調症と『精神病性障害(psychotic disorder)』の二つを分類する考え方もある。

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