ウェブとブログの検索

カスタム検索





2015年12月20日

[思春期・青年期の“非社会的問題(不登校・ひきこもり)+反社会的問題(非行・逸脱)+パーソナリティー障害”]

思春期・青年期の“非社会的問題(不登校・ひきこもり)+反社会的問題(非行・逸脱)+パーソナリティー障害”

思春期・青年期に発生する現象面での不適応・問題行動の背後には、各種の精神疾患やパーソナリティー障害が隠れていることもあるので、精神科(心療内科)の専門医はそれらの精神疾患やパーソナリティー障害を見落とさないように鑑別していくことが求められる。

青年期精神医学の診断と治療のポイント2:発達圧力と子供・親・教師の相談体制

思春期・青年期の典型的な現象面における臨床類型(不適応・問題行動)は、大きく分ければ『不登校・ひきこもりの非社会的問題行動群』『非行・暴力・逸脱の反社会的問題行動群』とに分けることができる。

1970〜1980年代くらいまでは中学生・高校生の『校内暴力・家庭内暴力・暴走族への関与』などが社会問題として取り上げられる頻度が多く、『非行・暴力・逸脱の反社会的問題行動群』が警戒されていた。しかし、平成期に入ってからはむしろ、学校生活や社会生活、人間関係から傷つかないように遠ざかって関わらないようにしようとする『不登校・ひきこもりの非社会的問題行動群』のほうが目立つようになってきた。

近年は思春期・青年期の子供だけではなく、中年期・老年期の大人まで含めて『社会的ひきこもり』の状態にある人が、日本に数百万人〜1000万人以上の単位でいるとの推計も出されていて、就労拒絶的なニート問題と絡めて不登校・ひきこもりが話題になることも多い。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 07:09 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[青年期精神医学の診断と治療のポイント2:発達圧力と子供・親・教師の相談体制]

青年期精神医学の診断と治療のポイント2:発達圧力と子供・親・教師の相談体制

青年期の患者の精神臨床で気をつけるべきポイントとしては、『発達促進的な視点を持つこと』『進学・就職など発達課題を達成しなければならないと思う発達圧力の考慮』がある。青年期の患者に対しては精神疾患を治療するという視点だけではなくて、精神的な発達の停滞を改善したり、発達の障害になっているものを除去したりすることで発達を促進するという視点を持つことが重要になる。

もう一つ、青年期の苦悩の根本的な要因になりやすいのは、いじめの問題を除けば、『進学しなければならない・就職しなければならないという社会的自立を志向する発達圧力』である。

青年期精神医学の診断と治療のポイント1:青年期の急激な精神発達と環境の変化

すなわち、学業や就活が上手く思い通りにいかないことによって、不適応(不登校)や自尊心の傷つき(無気力・ひきこもりなど)に陥りやすいということであり、『社会的・職業的な自立に向かう発達過程の焦燥感・自責感』などが精神疾患・神経症の症状を誘発してしまうことも少なくない。

青年期の精神臨床では、医師や臨床心理士、看護師、カウンセラー、精神保健福祉士などが、患者(クライエント)に特有の心理的世界や苦悩の原因などに共感的に寄り添って支持しながら、一緒に対処方法を探していくという姿勢が基本になってくる。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 07:07 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[青年期精神医学の診断と治療のポイント1:青年期の急激な精神発達と環境の変化]

青年期精神医学の診断と治療のポイント1:青年期の急激な精神発達と環境の変化

青年期(adolescence)は急速に心身・環境が変化する発達のプロセスであり、青年期に発生する精神医学的な疾患や問題はその発達プロセスの影響を強く受けている。青年期は『第二次性徴期』が成熟してきて、男性・女性としての生理的かつ性自認的な変化が急速に進み、恋愛関係(異性関係)にまつわる喜びと苦悩、優越感と劣等感の両極で揺れ動きやすい時期でもある。

青年期には知識・経験が増加したり抽象的な思考能力が向上したりすることで、それ以前よりも総合的な認知能力も飛躍的に発達するので、『哲学的・実存的な生きる意味(自己の価値)にまつわる苦悩』も深まりやすい。心理的な問題が『多様性・複雑性』を持ち始めることで、それぞれの青年ごとの世界観や人間関係の個人差も大きくなってくる。その結果、『青年個人に固有の性格傾向と悩み・適応水準と発達課題』が浮かび上がりやすくなるわけである。

青年期の患者に対する精神医学的な診断は、一般に正確な診断が難しいことが多いと言われる。それは成人期の患者と比較して『精神発達過程の中途の段階』にあるからであり、『精神疾患なのか一時的な発達の停滞による精神機能の乱れなのか』の判断に一定の曖昧さが含まれやすいからである。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 07:05 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月18日

[青年期精神医学における『思春期・青年期』の年代区分:青年期危機説・青年期平穏説]

青年期精神医学における『思春期・青年期』の年代区分:青年期危機説・青年期平穏説

思春期・青年期の年代(発達年齢)は、以下の4つの年代区分に分けて考えることができる。

青年期精神医学と『思春期・青年期』に特有の発達課題

1.前青年期(preadolescence)……小学校高学年(10〜12歳頃)の世代で、同性同士の友達で集まって悪ふざけやいたずら、喧嘩などをしやすい『ギャングエイジ』とも呼ばれることがある。小学校低学年では男子と女子が一緒になって遊ぶことも多いが、この年代では男子は男子と仲間集団を作り、女子は女子と仲間集団を作るという特徴がある。異性を意識し始めることによってかえって異性との交流を恥ずかしく感じ遠ざけやすくなる。急速な身体的発達に対して、精神(情緒・コミュニケーション能力)が追いつきにくい年代でもある。

2.青年期前期(early adolescence)……中学生(12〜15歳頃)の世代で、第二次性徴期の始まりと身体的な性差の自覚の強まりによって、児童期の自己イメージを保てなくなり、それ以前よりも異性・恋愛を意識しやすくなる。両親(母親)との心理的距離が開きやすくなり、親から過度に近づかれたり干渉されたりすると強い反発・抵抗を示す子供も増えてくる。同世代の友人関係の心理的・発達的な重要性が高まり、『親友』と呼べるような存在ができたり、親友・仲間集団とプライベートな秘密を共有したりするようになる。

3.青年期中期(middle adolescence)……高校生(15〜18歳頃)の世代で、親への情緒的な依存性・結合性が弱まって、『自己(自分自身の存在・関係・目標)への関心』が非常に高まってくる。自己に対して過大評価あるいは過小評価をしやすく、異性関係(恋愛関係)への興味・欲求が強まる一方で、ささいなことにも悩みやすく傷つきやすい過敏な感受性を持ちやすくなる。

同性同士の付き合いは維持されるが、実際に恋愛をする友人も増え始め、同性よりも異性への関心が強くなりやすい。『異性にモテるかモテないか(今風にいえばリア充か非リア充か)』によって自己評価の揺れやコンプレックスの増減が起こりやすくなるが、社会経済的な能力(感情制御・対人評価の能力)が未熟であるため、恋愛をしても長続きはしにくい。

4.青年期後期(late adolescence)……大学生(18〜22歳頃)の世代で、自分がどのような人間であるかどういった他者と関わっていきたいのか、人生でどんな目標や職業意識があるのかといった『自己アイデンティティー』がかなり確立してくる段階である。

青年期特有の浮遊感・流動性・衝動性のようなものが落ち着いてきて、社会や経済、人間関係における自分の位置づけがわかってくる年代でもあり、『将来の社会経済的自立・職業選択』に向けた準備が整い始めてくることが期待される段階でもある。異性との恋愛関係においても『安定した充実感・将来性のある関係』を構築・維持しやすくなり、この世代で築かれた恋愛関係の中には将来的に結婚・出産などへと発展していくものも出て来る。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 10:28 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[青年期精神医学と『思春期・青年期』に特有の発達課題]

青年期精神医学と『思春期・青年期』に特有の発達課題

青年期精神医学(adolescent psychiatry)が研究・臨床の対象にしているのは、『思春期・青年期の発達段階』にある人である。『思春期(pre-adolescence)』というのは、子供から成人への心理社会的な移行段階(大人と子供の中間期)であり、日本では特に第二次性徴期が始まり異性・恋愛への関心も高まる中学生〜高校生くらいの年代の未成年者の発達時期を思春期と呼ぶことが多い。

青年期精神医学が対象にしている人の年代は、概ね第二次性徴期が始まる12〜13歳頃から大学生くらいの段階の21〜22歳頃までである。一般的に用いられている『青年の概念・語感』からすれば、かなり幼い中学生くらいまでの年代の子供を含んでいる一方で、大学生より年上の社会人として働く20代の青年までは含んでいない特徴がある。

中学生くらいの年代の子供は、『青年期(adolescence)』というよりは『思春期(pre-adolescence)』に分類されるのが日本語の語感として自然なので、『思春期・青年期精神医学』という分野名を標榜する専門医もいる。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 10:26 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月01日

[M.マーラーの『分離―個体化理論』と母性剥奪(maternal deprivation)の変数・悪影響の研究:2]

M.マーラーの『分離―個体化理論』と母性剥奪(maternal deprivation)の変数・悪影響の研究:2

精神科医のJ.ロバートソン(J.Robertson)は、母親から分離された乳児であっても、特定の養育者があてがわれない児童養護施設(乳児院)・病院ではなく、母親代わりとなる養育者があてがわれてケアする『養子縁組み(他の家庭に預けられる)のケース』であれば、急性反応障害は発症しないとしている。

M.ラター(M.Rutter)らの母性剥奪(maternal deprivation)の変数(構成要素)の研究:1

非行行為や暴力的な言動、反社会的な傾向が目立つ子供の『行為障害』の原因も、母親との分離そのものではなく、分離以前の家庭環境の悪さや家族間の葛藤にあることのほうが多いとされている。

サイコパス(精神病質)やソシオパス(社会病質)と呼ばれる良心・倫理観・情性が欠如した『反社会的パーソナリティー障害』の原因も、母親との分離そのものではなく、発達早期における『中枢神経系の発達障害・脳内ホルモン分泌障害+母親との情緒的な関係(愛着)の形成障害』が原因になっているのではないかと推測されている。

母性剥奪(maternal deprivation)の概念を構成している、複雑で多様な変数の要因には以下のようなものがある。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 15:57 | TrackBack(0) | ほ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[M.ラター(M.Rutter)らの母性剥奪(maternal deprivation)の変数(構成要素)の研究:1]

M.ラター(M.Rutter)らの母性剥奪(maternal deprivation)の変数(構成要素)の研究:1

発達障害(自閉症スペクトラム)の研究で知られるアメリカの精神科医M.ラター(M.Rutter)らは、母性剥奪(maternal deprivation)には複数の異なる心理的メカニズムが影響しており、それぞれのメカニズムに対応する原因が存在すると主張した。

母親に対する愛着(アタッチメント)が形成された乳幼児期の子供が、母親から強制的に引き離されると対象喪失(object loss)にも似た母性剥奪による悪影響が起こってくる。この母性剥奪は一元的な心理体験ではなく、複数の変数(構成要素)から構成された『多元的な心理体験』なのである。

母親との『分離(separation)』そのものの変数(構成要素)には、以下のようなものがある。

分離の原因

分離期間の養育方法やその性質

乳幼児の年齢と成熟の水準

分離の前と後の家族関係の性質の変化

乳幼児の気質と分離以前のエピソード

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 15:54 | TrackBack(0) | ほ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする