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2016年03月28日

[共産圏のマルクス主義者が落ち込んだ『抑圧の弁証法』とアントニオ・ネグリの政治哲学的なスピノザ研究]

共産圏のマルクス主義者が落ち込んだ『抑圧の弁証法』とアントニオ・ネグリの政治哲学的なスピノザ研究

本来のヘーゲル哲学の弁証法におけるアウフヘーベン(止揚)は、啓蒙主義的な進歩・前進の変化をもたらすべきものなのだが、ロシア・マルクス主義や一部の教条的なマルクス主義の思想家にあっては、進歩のための弁証法が『抑圧のための弁証法』へと悪い方向に変質してしまったのである。

ジル・ドゥルーズはマルクス主義が堕落・腐敗した教条主義に変質してしまうような事態を否定して、統合されない差異の要素の多様性(リゾームの概念に示されるポストモダンの相対主義的な視点)を肯定することによって『抑圧の弁証法』を厳しく批判するスタンスを取ったと言えるのだろう。

ヘーゲルの弁証法とマルクス主義の史的唯物論:ジル・ドゥルーズの『差異と反復』によるアンチ弁証法

カール・マルクスのマルクス主義は『共産主義革命(プロレタリア独裁)の実践』を推奨していたこともあり、一般に過激な政治哲学・政治思想として受け取られがちであるが、それはマルクス主義が権力・暴力・階級闘争といった『力』を分析する思想、倫理的かつ効果的にその『力』を利用しようとする高度に政治的・経済的な思想だったからである。

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[ヘーゲルの弁証法とマルクス主義の史的唯物論:ジル・ドゥルーズの『差異と反復』によるアンチ弁証法]

ヘーゲルの弁証法とマルクス主義の史的唯物論:ジル・ドゥルーズの『差異と反復』によるアンチ弁証法

ドイツの近代哲学の完成者ともされるG.W.F.ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel,1770-1831)の構想した『弁証法』は、『テーゼ‐アンチテーゼ‐ジンテーゼ(正‐反‐合)』というある仮説(立論)を批判する反論との統合のプロセスによって、理論や社会が啓蒙主義的に進歩していくという考え方である。

ある仮説理論に反対する反論(批判的意見)との統合プロセスのことを、ヘーゲルは『止揚・揚棄・アウフヘーベン』と呼んだりもしたが、世界精神の発展過程と弁証法の思考過程に支えられたヘーゲル哲学は『近代社会の進歩・前進の歴史的必然性』を示唆していた。

この文明社会は、歴史的必然性を伴って進歩発展していき弁証法のアウフヘーベンによって完成態へと近づくというヘーゲル哲学を踏まえた近代的啓蒙主義の構想は、『共産主義社会・社会主義社会』を革命運動や歴史法則の必然的帰結とするカール・マルクス『史的唯物論・科学的社会主義』にも応用されていったのである。

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2016年03月21日

[男性と女性の『中年期の危機』の違い2:女性の更年期障害と中年期の親らしい心(generativity)]

男性と女性の『中年期の危機』の違い2:女性の更年期障害と中年期の親らしい心(generativity)

女性(妻)の場合には、仕事・夫婦関係の変化によるストレスよりも、閉経・生理学的変化が関係する『更年期の心身の変化・更年期障害(各種の自律神経失調症・ホルモン分泌の減少)』のほうが問題になってきやすい。排卵・月経(生理)が起こらなくなる『閉経(menopause)』は生物学的なプロセスであり、『更年期(climacteriume)』というのは閉経に到る生理的変化に対する心理的適応過程(身体的・心理的・内分泌的な変化のプロセス)のことである。

男性と女性の『中年期の危機』の違い1:男性の孤独感・虚無感・対象喪失(熟年離婚)のリスク

同じ女性でも40〜60代くらいの『更年期障害』の個人差は大きいが、一般的に自律神経失調症の症状を示すことが多く、神経過敏な易刺激状態となり身体・顔がほてって発汗しやすくなるような『循環器系・血管系の自律神経症状』が目立ちやすくなったりする。気分が高揚したり怒ったり、抑うつ的になって落ち込んだりする『気分・感情の変動の激しさ』が見られ、『めまい・吐き気・気分の悪さ・イライラ・易怒性・衝動性』などの生理学的症状や精神状態の変調も起こりやすくなる。

女性に多い更年期障害(近年は男性にも更年期障害があることが分かっているが)の根本原因は、エストロゲンの女性ホルモンが減少するという内分泌系の変化・不均衡であるが、更年期障害の心身症状の重症度および退行の自我防衛機制の深刻度は一般に『出産経験のない女性(未経産婦)』のほうが重症になりやすい傾向(乳がん・生殖器関連のがんのリスクも上がる)があるとされる。

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[男性と女性の『中年期の危機』の違い1:男性の孤独感・虚無感・対象喪失(熟年離婚)のリスク]

男性と女性の『中年期の危機』の違い1:男性の孤独感・虚無感・対象喪失(熟年離婚)のリスク

『中年期の精神的危機(middle age crisis)』には、これ以上の成長・発展が望みにくく下り坂になりやすいという『上昇停止体験(meta-pause syndrome)』や子供が自立して家庭生活の内容が空疎になってしまって虚しいという『空の巣症候群(empty nest syndrome)』が関係していることが多い。

上昇停止体験や空の巣症候群によって、自分の社会的・家庭的な居場所がなくなってしまったように感じて孤独感に苦しんだり、自分の人生や生活が下り坂になって衰退していくという予測から抑うつ感・無意味感に襲われやすくなることもある。神経症的な身体症状や精神的ストレスによる胃潰瘍・本態性高血圧などの心身症も発症しやすくなり、悲観的・自己否定的な認知が強まって絶望感・無価値観が深まってくると『希死念慮・自殺企図』という最悪のリスクさえも生じてきてしまうのである。

中年期の精神的危機とは、それまでの人生で積み重ねて自己定義してきた自己アイデンティティーが拡散してしまうリスクを含むもので、簡単に言えば『自分がどのような方向に進めば良いのか分からなくなった・どんな目標や価値、相手を求めて努力していけばいいのか分からなくなった』という方向感覚や目標設定の混乱に襲われやすいのである。こういった自己存在に対する空虚感や人生における無意味感から逃れるために、『仕事への過剰適応・アルコール依存症・薬物依存症・恋愛や性への依存症(不倫・ストーカー・盗撮・性犯罪などへの逸脱)』などの問題が起こってくることも少なくない。

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2016年03月15日

[中高年精神医学と『中年期の危機』『上昇停止体験(meta-pause experience)』:2]

中高年精神医学と『中年期の危機』『上昇停止体験(meta-pause experience)』:2

今までの人生や仕事、人間関係のプロセスを振り返りながら、『もっと違う生き方もあったのではないか?もっと自分に適した仕事や働き方があったのではないか?もっと別の相手と付き合っていれば違った人生になっていたのではないか?もっと家族関係を円満にできる方法はなかったのか?』など様々な葛藤や後悔、反省(やり直したい欲求)に襲われることも多いが、こういった過去から現在までの自分の人生の積み上げに迷いや不安を感じることが『中年期の危機(ミドルエイジ・クライシス)』の原因になりやすいのである。

中高年精神医学と『壮年期の人生のピーク』『ユングのいう人生の正午』:1

社会的アイデンティティーが固まりきっていない20〜30代の青年期(成人期前期)とは違って、30〜40代以上の中高年期になると『人生全体の再設計・人間関係のやり直し』が難しくもなってくる。今まで長い時間と大きな労力をかけて作り上げてきた『職業的地位・家族関係・社会的役割・財産』が中高年期になって失われると、深刻な精神的危機や絶望状態に陥りやすくなるのは『ゼロからそれらを取り戻す努力(やり直す取り組み)をする時間』がもうあまり残されていないからである。

20歳の頃の失恋は何度でも別の魅力的な若い相手とのやり直しが効くが、50歳で離婚するとそこからまた新しい相手と出会って恋愛して再婚をする(しかも自分が思い描く魅力的な相手との再婚を目指す)というのはなかなかハードルが高く、そういったやり直しをするための気力体力が十分に残されていない事も多いのである。『中年期の危機』につながってくる発達上のリスクとして、『リストラ・失業・離婚・子どもの自立(孤独な空虚感)・老親の死』などがある。

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[中高年精神医学と『壮年期の人生のピーク』『ユングのいう人生の正午』:1]

中高年精神医学と『壮年期の人生のピーク』『ユングのいう人生の正午』:1

戦後日本は『医療・栄養・介護の改善』などによって平均寿命が大幅に伸び、『人生50年(人生60年)』から『人生80年』の時代へと大きな変化を遂げてきた。かつては60歳から高齢者(老人)と言われることが多かったが、現在ではまだ元気な人が多い60歳は『現役世代(老人とまでは言えない世代)』と見なされることが多く、高齢期の始まりは65歳くらい(本格的な老人になるのは70〜75歳以上)という認識に変わってきている。

少子高齢化と平均寿命の延長によって、『公的年金制度・公的健康保険制度の財源不足』といった社会保障の持続性に関する問題が深刻化してきていたりもするが、現代社会では『中高年世代(中年期+初老期)』の仕事・経済生活だけではなくて、心身の発達プロセスや発達課題、メンタルヘルスも大きな問題になってきているのである。

人生約80年の人間のライフサイクル(人生周期)を前提として、中高年の精神状態や精神病理、発達過程、社会的役割、自己アイデンティティーなどを研究する発達臨床心理的な精神医学の分野を『中高年精神医学』と呼ぶことがある。

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[思春期の境界性パーソナリティー障害(BPD)とアパシー症候群・ひきこもりの特徴:2]

思春期の境界性パーソナリティー障害(BPD)とアパシー症候群・ひきこもりの特徴:2

思春期の男性と女性の不適応行動になぜこういった性別による差が生まれやすいのかには諸説あるが、女性は自分の苦しい感情・状況を誰かに向けて吐き出して聴いてもらいたいと思うのに対し、男性は弱っている自分を情けないと感じて他人(社会)から自分の姿を隠したいと思いやすいことが影響していると言われる。思春期に限らず成人期も含めて、男性は一般に『他人からの援助・慰め(他人への甘え)』を求めたり受け容れたりするのが苦手なのである。

思春期の境界性パーソナリティー障害(BPD)とアパシー症候群・ひきこもりの特徴:1

ひきこもりに至るプロセスでは、そのきっかけとして『中学生・高校生時代の登校拒否・いじめ』『受験の失敗・浪人・留年』などがあることが多く、自己評価が下がったり自信を失ったりして『対人不安(社会不安)・他者に対する恥の感覚や劣等コンプレックス・自宅を出られない恐怖感』などの症状が出やすくなってしまう。

不登校からひきこもりに至る非社会的問題行動は長期化しやすいが、ひきこもりは『父性原理の欠落(指示・厳格・規範などの欠落)+母性原理の過剰(甘え・依存・放任などの過剰)』で起こりやすくなる。そのため、ひきこもりの少年・青年は『母・姉・妹』と一緒の時にはよく話すが、『父・兄・弟』と一緒の時にはすぐに自分の部屋に引きこもってしまって何も話さなくなる行動特徴を示すことも多い。

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[思春期の境界性パーソナリティー障害(BPD)とアパシー症候群・ひきこもりの特徴:1]

思春期の境界性パーソナリティー障害(BPD)とアパシー症候群・ひきこもりの特徴:1

『思春期(adolescense)』は乳幼児期から児童期にかけての親子関係・人間関係の心理的・性格的な影響が出てきやすい時期である。特に『親子関係の対象喪失のトラウマ』などが影響して、他者からの否定や拒絶を過度に恐れて狂気的にしがみついたり、感情・気分が極端に不安定になって自傷行為(自殺企図)を繰り返したり、自己アイデンティティーが拡散して虚無感に陥ったりする『境界性パーソナリティー障害(BPD:Borderline Personality Disorder)』が現代では問題になりやすい。

境界性パーソナリティー障害は、現在ではクラスターB(B群)のパーソナリティー障害の一種とされるが、元々は精神分析の歴史の中でJ.マスターソン(J.Masterson)が発見した精神病と神経症の中間的な症状を示す『境界例』が原型であった。

境界例というのは統合失調症の『幻覚・妄想』の陽性症状まで深刻な症状は示さないが、感情的に激しく取り乱したり対人関係で狂気的なしがみつきを見せたり、強烈な見捨てられ不安や自己否定感・虚無感を抱いていたりするケースである。J.マスターソン(J.Masterson)は、この境界例が思春期の発達段階で多く見られやすいということから“思春期境界例(borderline adolescent)”という概念を提起したりもしている。

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