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2016年04月29日

[老年期(初老期)の精神障害5:認知症の心身症状と治療法・新薬開発]

老年期(初老期)の精神障害5:認知症の心身症状と治療法・新薬開発

アルツハイマー病の症状経過の中で、『被害妄想・幻覚(幻視)』『暴言・暴力・徘徊・不潔行為などの問題行動(BPSDと呼ばれる一連の認知機能低下による不適応行動群)』が発症することがあるが、幻覚・妄想・BPSDは自宅介護を極めて困難にする要因になる。これらの介護困難を引き起こす認知症の悪化が見られると、自宅介護や施設介護では対応が難しくなり、認知症専門の老人科病棟を持つ精神病院に入院することも少なくない。

老年期(初老期)の精神障害4:アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)

認知症の精神症状と身体症状をまとめると以下のようになる。

知的能力の低下……失見当識・認知障害・思考障害・物忘れ(健忘)の記憶障害など。

精神症状……喜怒哀楽の感情の起伏の激しさ・夜間の錯乱や譫妄・うつ状態・幻覚妄想・作話・従前の人格構造(性格傾向)の大きな変化や崩壊など。

異常行動……夜間徘徊・昼間の放浪・睡眠障害・暴力行為・失禁や遺糞・不潔行為(弄便など)

ADL(日常生活動作)の機能的な障害……身辺自立の困難や不可能(食事ができない・衣服の着脱ができない・排泄ができない・歩行できなくなる・転倒するなど)

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[老年期(初老期)の精神障害4:アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)]

老年期(初老期)の精神障害4:アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)

脳血管性認知症とは、脳内の血管障害を原因とする『外因性の認知症』としての特徴を持っており、本態性高血圧と連動しやすいので女性よりも男性に多く見られる傾向がある。脳血管障害が起こった後に、『四肢麻痺・身体の痺れ・運動障害・言語障害(呂律が回らない)』などの後遺症の身体症状を示すことが多い。CTやMRIの画像診断法で、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害の病巣部を直接確認することが可能なので医学的な診断がつきやすい。

老年期(初老期)の精神障害4:アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)

アルツハイマー型認知症の患者のCTやMRIを撮影すると『脳全体の萎縮』が確認できることもあるが、脳血管性認知症と比較するとアルツハイマーの場合には健常者(非認知症者)との区別がつけにくい。脳血管性認知症は男性に多いが、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は女性に多いという逆の特徴があり、脳の老化による萎縮や脳内の特殊なタンパク質の蓄積とも相関するアルツハイマー病は近年超高齢化社会と合わせて急な増加傾向にある。

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[老年期(初老期)の精神障害3:認知症(旧痴呆)]

老年期(初老期)の精神障害3:認知症(旧痴呆)

老年期(初老期)に発症するリスクが高くなる代表的な器質性の精神疾患・脳疾患が『認知症(旧痴呆)』である。認知症は更に『脳血管性認知症・アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)・ピック病,クロイツフェルト・ヤコブ病,ハンチントン舞踏病・レビー小体型認知症』などに分類される。

これらのうちで、一般的な老年期(初老期)の認知症として認識されているのは脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)である。 脳血管性認知症とは、『脳梗塞(脳の血管が血栓で詰まる)』『脳出血(脳の血管が破れて出血した状態)』『脳外傷(交通事故などのダメージによる脳の物理的損傷)』などの原因によって脳機能障害が起こって認知症の症状が発症してくるものである。

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2016年04月28日

[老年期(初老期)の精神障害2:妄想反応]

老年期(初老期)の精神障害2:妄想反応

『妄想(delusion)・幻覚(illusion)』などの正常な人にはない思念・知覚が現れる精神症状は、一般的には統合失調症の『陽性症状』として知られている。しかし、中年期や初老期になると、診断可能な統合失調症を発症していない人であっても、各種の心理的要因や体調・脳の状態の変化から、『妄想反応』と呼ばれる軽度の妄想・幻覚が発生してくることがある。

老年期(初老期)の精神障害1:初老期うつ病

中年期・初老期以降の妄想反応の特徴としては、男性よりも女性に多く現れることが知られており、40歳以後に発症する精神疾患(精神障害)の約10%にこの妄想反応の症状が見られるという。老年期(初老期)の妄想反応は、中年期以前からあった他人や現実を疑いやすく、自分が陥れられているという被害妄想に陥りやすい基本的な性格行動パターンが影響していることも多い。

初老期の妄想反応を発症しやすいリスクファクター(危険因子)としては、『子供がいない(子供の数が少なくて交流がない)・単身世帯での生活・感覚障害(難聴・視力低下・味覚障害など)・社会的な孤独感や疎外感・高齢で親族がほとんどいない』などの要因が上げられている。

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2016年04月18日

[老年期(初老期)の精神障害1:初老期うつ病]

老年期(初老期)の精神障害1:初老期うつ病

60代以降の老年期(初老期)に特に起こりやすい精神障害と言われるものに、『初老期うつ病・老年期の妄想反応・初老期の認知症(旧痴呆症)』がある。

うつ病(気分障害)は、精神運動抑制によって抑うつ気分や気分の落ち込み、不安感、焦燥感、思考力・集中力(知的能力)の低下、倦怠感(だるさ・重さ)、頭痛、腹痛などのさまざまな心身症状が起こってくる精神病である。

うつ病の発症要因には『遺伝・体質気質の生物学的要因』『ストレス・人間関係などの心理社会的要因』があるが、『加齢による認知能力の低下・人間関係の減少(対象喪失の悲哀)』もうつ病のリスクファクターとして捉えられるようになっている。

うつ病が発症しやすい年齢について、かつては社会的責任が重くなり人生の全体が見えてくる40〜50代の中年期後期に多いとされていたが、現在では20〜30代の青年期でも60〜70代の老年期でもうつ病を発症する人が増えており、特定の年代だけがかかりやすい精神障害ではなくなってきている。20〜30代の青年期では、進学・仕事や人間関係のストレス、学業や仕事の挫折感、失恋や離婚の喪失感などによってうつ病の発症リスクが高まることがある。

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[E.H.エリクソンのアイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)の臨床的特徴:2]

E.H.エリクソンのアイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)の臨床的特徴:2

エリクソンが指摘した一般的な青年心理の危機・混乱である『アイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)』の臨床的特徴は以下のようなものである。

1.自意識(アイデンティティー感覚)の過剰性……自分がどのような存在であるか、自分が社会や仕事においてどのような役割・職務を果たすべきかというアイデンティティー感覚を過剰に気にしてしまう。他人や社会から自分がどのような人間だと見られているかを過敏に気にしてしまう自意識過剰(excessive awareness)の状態に陥る。

2.選択の回避と心理社会的な機能の麻痺……社会が与えてくれる青年期の『モラトリアム(選択の猶予期間)』を有効活用できずに、社会的・職業的・関係的な選択を回避してしまい、無職・無業やひきこもりなどの状態に陥りやすくなる。健康な自我機能が障害されることによって、社会的なモラトリアムを用いて職業上の役割実験をしたりアイデンティティー選択を模索したりすることができなくなる。決定的な職業選択ができなくなり、恋愛・結婚など重要な人間関係の選択もできなくなるので、心理社会的な機能が麻痺することになる。

3.対人的な距離感の失調……現実性のある適切な対人関係の距離が掴みにくくなり、一時的・遊戯的なその場限りの浅い付き合いだけしかできなくなり、人生や仕事、価値観などに関する深い話し合いの機会も持つことができない。本当の信頼感や安心感に基づいた『継続的かつ有意義な人間関係』を築くことができず、甘えると相手にのめり込むほどに依存してしまい、自立すると孤立したりひきこもったりしがちになってしまう。

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[E.H.エリクソンのアイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)と青年期心理:1]

E.H.エリクソンのアイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)と青年期心理:1

アメリカの精神分析家エリク・H・エリクソン(Erik Homburger Erikson,1902-1994)は、社会的精神発達論(ライフサイクル論)を提唱したことで知られるが、青年期の発達課題として『自己アイデンティティーの確立』を上げた。

自己アイデンティティーの確立とは、自分が他人とは異なる唯一の存在であることを自覚して人生の生き方を定めることであり、自分が社会の中でどのような職業を選択してどんな役割を果たすかを確立していくことである。

自己アイデンティティーは“自己同一性(自我同一性)・自己確認”と訳されることもあるように、『自分が社会においてどのような人間であるかを確認すること』や『自分の現実の人生と自己イメージとを同一化していくこと(自分が自分以外の何者でもないことを自覚して自己定義すること)』を意味している。この自己アイデンティティーの確立の発達課題の達成に失敗・挫折した時に、青年期の精神的危機としての『アイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)』が発症するのである。

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2016年04月01日

[群集(crowd)と近代社会・資本主義:群集の果たした歴史的役割と革命]

群集(crowd)と近代社会・資本主義:群集の果たした歴史的役割と革命

群衆批判の思想的・政治的な書物としては、オルテガ・イ・ガセットの同時代人としてフランスの政治学者アレクシ・ド・トクヴィル『アメリカのデモクラシー』フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』『権力への意志』などがある。

ニーチェは神の死を宣言したニヒリズム(虚無主義)の思想家として知られるが、ヨーロッパ人の隷属的な群衆化に驚くと同時に嫌悪していた。トクヴィルはアメリカの群衆デモクラシーを『衆愚政治への転落危機』として警戒していた。

オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』と社会科学の群集学の歴史

群衆(人の群れ)の普遍性は、どの時代にも群衆(群れ)がいて影響力を振るったということであり、科学文明や法規範のない部族的な未開社会においても『狩猟・儀礼・戦闘』のための群衆がいてその集合的な役割を果たしていた。古代ギリシアのポリス(都市国家)にも政治活動におけるデマゴーグ(扇動)の原因となる群衆(プレブス)がいて、古代ローマ帝国にも自立的とされたローマ市民が堕落した『パンとサーカス』を求めて群れて騒動を起こす群衆がいたとされる。

イギリスの『清教徒革命・名誉革命』においても既存の宗教や政治体制に反発する群衆の怒り・抵抗が影響していたし、近代の国民国家・国民アイデンティティーの原点とされる『フランス革命』においても貧困・飢え・圧政に苦しんで怒る第三身分(平民)の人々が群れて反乱を起こしたという『群衆の武装蜂起』の側面を無視することはできない。

市民革命は革命の政治的・理論的な指導者だけによって決行することなどはできないのであり、歴史の大きな変革・革命においては正に『革命的群衆』とでも呼ぶべき自我・自意識に拘泥しないみんなと一緒になって目的達成のために暴れて戦う群衆の存在があったのである。

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[オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』と社会科学の群集学の歴史]

オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』と社会科学の群集学の歴史

群衆の科学や群衆論の起源は、フランスの社会心理学者ギュスターヴ・ル・ボン(Gustave Le Bon, 1841-1931)の書いた『群集心理(Psychologie des foules, 1895)』とされている。ギュスターヴ・ル・ボンは群衆を否定的に見ており、群衆の心理的・行動的な特徴として『道徳性や知性の低下・被暗示性・思考の単純化・感情的な興奮・偏狭な排他性』を上げている。

大衆(マス)と選良(エリート):群衆が行動主体として動かした歴史

ギュスターヴ・ル・ボンの後に、フランスの社会学者ガブリエル・タルド(Jean‐Gabriel de Tarde,1843‐1904)が出て、反社会的な犯罪行為の模倣性(伝播・伝染の観察学習性)を重視した『模倣の法則――社会学的研究(1901年)』を書いた。

ガブリエル・タルドは、1901年に『世論と群集』を書いて、先行するル・ボンの群集心理学を批判している。タルドは、直接的な利害関係や人間関係によって結合して行動する『群衆』に対し、マスメディアを介した情報操作や遠隔作用によって結合して世論形成をする『公衆』という新たな概念を提示している。

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を書いて、社会学の実質的な創設者となったマックス・ヴェーバー『支配の社会学』で、カリスマ・噂話に扇動されやすく権威に従属しやすい大衆(群衆)について批判的に言及している。

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[大衆(マス)と選良(エリート):群衆が行動主体として動かした歴史]

大衆(マス)と選良(エリート):群衆が行動主体として動かした歴史

『大衆(マス)』というのは均質的で平等主義的な存在であり、『私とあなたは同じ集団に属する利害(価値)を共有する一員である』といった認識を持っている。それに対して、選良(エリート)というのは異質的で差別主義的な存在になりやすく、『私とあなたを一緒にしないで欲しい(私の知性・経済力・有用性はあなたよりも格段に上である)』という鼻持ちならない優越感や競争心を抱えている事が多い。

20世紀の『大衆(マス)・大衆化』の時代:大衆とは何か?

学歴・職業・資産・知的文化などによって規定される『選良(エリート)』は、近代的自我を先鋭化させた存在であり、群衆・集団の一員として適合しきれない自我(自意識・自尊心)の強さとこだわりを持っており、いわば近代の『精神的貴族主義』を孤独に実践する主体のような個人である。

知識・情報・計算・文化に優れている選良(エリート)は、人間社会がどういった方向に進むべきかの設計図や青写真を描く能力に秀でているが、実際に人間社会を運営したり変革したりしてきた歴史的主体(直接の行動的な実践者)はいつも『群衆(クラウド)』であったという役割分担的な側面がある。

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[20世紀の『大衆(マス)・大衆化の時代』:大衆とは何か?]

20世紀の『大衆(マス)・大衆化の時代』:大衆とは何か?

カール・マルクス『共産党宣言』を出し、資本家階級との『階級闘争』に打ち勝つためにプロレタリア階級の大同団結を呼びかけた19世紀は『階級の時代』であった。

だが20世紀に入ると先進国のマクロ経済の全体的な成長トレンドによって、『プロレタリア階級(労働者階級)』の平均所得が上昇して家・車といった高額な耐久消費財を購入できるようになる。更に金融緩和で労働者が投資することも可能になったため、次第に『階級意識・階級闘争の必要』が薄れていって、大勢の人が中流階級の意識(自分が社会の平均的な収入・資産を持つ労働者であるという意識)を持つようになった。

その結果、マルクス主義(共産主義革命)の有効性・倫理性の一端を担っていた19世紀的な『階級の時代』が終わりに近づき、20世紀の『大衆(マス)の時代』への移行が起こったのである。20世紀は『国民教育・中流階層・マスメディア・皆婚の傾向』などの要因によって大衆化が進んだ時代である。

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