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2016年06月04日

[儀礼とイデオロギー:自発的な権威・権力・伝統の尊重と服従]

儀礼とイデオロギー:自発的な権威・権力・伝統の尊重と服従

ドイツ語を語源とするイデオロギー(ideology)とは、非物質的な思想・観念の体系であり、社会集団において人々の価値観・行動・生活様式を根底的に規定しているものである。思想・観念・信条の体系としてのイデオロギーは、人々のマクロな世界観にまつわる思想としての『コスモロジー論(宇宙論)・象徴論』を生み出す母胎でもあるが、社会共同体におけるイデオロギーは儀礼的実践過程を通して段階的に形成される。

クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と主観主義(学者の解釈図式)の克服:2

社会構造の変動や歴史的な価値の変革に合わせるようにして、イデオロギーは儀礼と共に機能・役割を変化させていくという意味では相対的なものである。イデオロギーの動因にもなる儀礼研究は『時代・文化・価値と共に変化する』という意味において、相対的であると同時に動態的(ダイナミック)なものでもある。

構造主義・機能主義という概念に示される人類学は、歴史的な時間に左右されないという点において『静態的(スタティック)』な特徴を持っていて、歴史を軽視したり解消したりする作用も持つ。それに対して、『儀礼研究』は社会共同体の歴史を重視するという点において『動態的(ダイナミック)』であり、静態的な人類学を批判するようなポジションに立っているのである。

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posted by ESDV Words Labo at 19:00 | TrackBack(0) | き:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と主観主義(学者の解釈図式)の克服:2]

クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と主観主義(学者の解釈図式)の克服:2

文化人類学では社会共同体の『儀礼・イデオロギー』も研究対象にするが、儀礼やイデオロギーを研究する場合の問題として『主体と客体の混同』がある。

例えば、ある未開民族の儀礼・イデオロギーを観察して分析・解釈していくプロセスでは、どうしても『文化人類学者の主観的な解釈図式』がそこに介在することになり、『完全な客観主義・客体記述』は原理的に不可能なのではないかという見方も強くあるのである。

クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と未開社会の秩序・規則の解明:1

文化人類学の儀礼やイデオロギーの客体記述の困難さ(研究者・観察者の主観的な解釈図式の関与)というのは、哲学的な『他者理解の不完全性・不可能性』とも絡んでくるテーマであるが、この問題を解決するヒントは『研究者の外部からの解釈』『当事者の自発的な自己解釈』とのズレを認識してきちんと区別して事象の内容を双方向的に整理することだろう。

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posted by ESDV Words Labo at 18:57 | TrackBack(0) | れ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と未開社会の秩序・規則の解明:1]

クロード・レヴィ=ストロースの文化人類学と未開社会の秩序・規則の解明:1

人類学・文化人類学の分野では、クロード・レヴィ=ストロース(Claude Levi-Strauss,1908-2009)の著書『親族の基本構造(1949年)』『悲しき熱帯(1955年)』『野生の思考(1962年)』に代表される未開民族のフィールドワークがよく知られている。

クロード・レヴィ=ストロースの思想・研究手法は『フェルディナン・ド・ソシュールやヤコブソンの構造言語学』『エミール・デュルケームやマルセル・モースの社会学・人類学の分析手法』の影響を受けている。それ以外にも、博物学・マルクス主義(社会変革思想)・前衛的な芸術理論(キュビズムやシュール・レアリスム)など多方面の分野の知識に刺激を与えられたという。

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posted by ESDV Words Labo at 18:52 | TrackBack(0) | れ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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