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2016年11月16日

[自我の現実検討(reality testing)とカウンセリング・双極性障害:3]

自我の現実検討(reality testing)とカウンセリング・双極性障害:3

自我の現実検討能力の高低というのは、心理療法(カウンセリング)の技法の適用にも関わってくる。一般的に人間の現実検討能力は『構造化された状況』で高くなりやすく、『非構造的な状況』では低くなりやすいが、精神状態が病的になればなるほど非構造的な状況に対する適応能力は低くなり、現実と空想(想像)の区別が曖昧になりやすいのである。

自我の現実検討(reality testing)と内省・観察自我・直面化:2

精神分析的な心理療法では、クライエントの現実検討能力の判定において、特に投影法の『ロールシャッハ・テスト』の結果を重視する傾向がある。

現実検討能力とも相関する自我の機能として単純な知能レベルの高低もあり、これは『自我の判断能力・予測能力』と呼ばれることもある。自我の判断能力・予測能力とは、自分が行う行動の結果について適切な予測と状況判断ができて、自分の発言・行動をコントロールできる能力のことである。

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[自我の現実検討(reality testing)と内省・観察自我・直面化:2]

自我の現実検討(reality testing)と内省・観察自我・直面化:2

自我防衛機制に、自分の内面にある感情・思考を外部(他者)に投げかけてそれを現実と思い込む『投影(projection)』という防衛機制があるが、この投影によっても現実検討能力は低下することがある。すなわち、『自分の内的な情動・妄想・不安』を外部の世界・他者に投影することで、実際には現実ではないものを現実だとして思い込んでしまう(自分の持っている感情を相手が持っているように思い込んでしまう)というわけである。

自我の現実検討(reality testing)と外的・内的リアリティーの判断:1

現実検討の能力は、『内省・自己観察(観察自我)』を基盤とする自己表現や説明能力、関係・状況の理解力とも関係しているが、『自分が認めたくない現実やコンプレックス』に対して特に自己防衛的に現実検討能力が低下することがある。

例えば、自分がその相手から嫌われていたり軽蔑されていたりする現実は、往々にして否認や抑圧をされがちであり、お互いに現実検討能力を低下させて『お互いが嫌いな現実』を否認していたものが、ある時に限界を迎えて激しい行動化(暴力・暴言による問題解決)に至ってしまうこともある。

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[自我の現実検討(reality testing)と外的・内的リアリティーの判断:1]

自我の現実検討(reality testing)と外的・内的リアリティーの判断:1

自我の現実検討(reality testing)の能力とは、『現実』と『空想(想像)』を区別して適応的な反応ができる能力のことである。特に精神病である『統合失調症』において現実検討の能力が障害されて、実際にはないものを知覚したり根拠のない思い込みにはまり込む『幻覚・妄想などの陽性症状』が出現することが知られている。

現実検討の能力は『現実吟味・現実判断』と呼ばれることもある。人間は自分の主観の中で現実(対象)についての表象・知覚・空想を持っていて、それを客観的な現実と参照することによって、それが現実であるか空想(想像)であるかの現実検討を行っているが、この自我の現実検討能力が障害された時に統合失調症などの精神疾患(精神病)が発症することになる。

自我の持つ現実検討能力は大きく『外的リアリティーに関するもの』『内的リアリティーに関するもの』に分けられる。外的リアリティーというのは、外部の客観的な世界・社会・人物(他者)に関する現実味のことである。内的リアリティーというのは、自分の内面や記憶、感情と関連した現実味のことで、過去の記憶や現在の自分の欲求・感情・葛藤などの現実適応度などがそれに含まれている。

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2016年11月15日

[自我の支配・達成(mastery-competence)とウェブ時代の新たな社会適応の選択:2]

自我の支配・達成(mastery-competence)とウェブ時代の新たな社会適応の選択:2

パーソナリティー障害や双極性障害(躁うつ病)などを持つアーティストや芸能人、作家、クリエイター、経営者、ウェブ事業者は少なからずいて、その精神病理や性格構造による独特な創造能力・発想力・行動理念が『その人の長所・成果の適応力』に結びつくこともあるのである。

自我の支配・達成(mastery-competence)と自己アイデンティティの確立・拡散:1

境界性パーソナリティー障害の適応度は『年齢要因』の影響も受けやすく、中年期以降は一般に適応度は上がりやすいが、特にこの『自我の支配・達成の能力』が保たれているほどに回復しやすくなるとされている。

特にウェブ社会(ネット社会)とも言われる現代では、知能や技術力が高かったりビジネスモデルを組み立てるアイデアがあったりすれば、今までの社会適応の必要条件であった『集団・組織(会社)・対人交渉への適応』を飛ばしてしまって、起業・自由業・ウェブ事業(フリーライター・サイト運営を通したウェブ広告業など)をして何とか経済生活に適応できてしまうような人も増えている。

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[自我の支配・達成(mastery-competence)と自己アイデンティティの確立・拡散:1]

自我の支配・達成(mastery-competence)と自己アイデンティティの確立・拡散:1

青年期の発達課題は『自己アイデンティティの確立』であり、その確立に失敗すれば『自己アイデンティティの拡散による不適応・境界性パーソナリティー障害』などの問題が起こってくる。

自己アイデンティティの確立には『社会的選択としての職業選択・異性選択(就職・結婚)』が関係してくることが多いが、社会適応して経済生活と精神状態の安定を得なければ通常は自己アイデンティティが拡散しやすくなってしまうのである。

一般的な社会適応に絡んでくる職業選択・異性選択(就職・結婚)を順調にやり遂げていくための自我機能(自我の能力)のことを、『自我の支配・達成(mastery-competence)』と呼んでいる。この自我の支配・達成は、DSM-W-TRにおける社会適応の機能全体を0〜100点で相対評価する『GAF(Global Assessment of Functioning,全体的評定尺度)』によって測定されることもある。

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