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2016年12月05日

[自我の思考過程の障害と統合失調症:2]

自我の思考過程の障害と統合失調症:2

強迫性障害の思考過程の障害では『迷信・ジンクス・儀式・慣習』に大きな影響を受けやすくなり、現実原則に反した『魔術的な思考・幼児的な全能感』に支配されたかのような不合理な観念・行動を繰り返して反復してしまうことになる。

自我の思考過程の障害と境界性パーソナリティー障害:1

統合失調症(Schizophrenia)に典型的に見られる思考過程の障害としては、『観念連合の障害や弛緩・無意識の一次過程の内容の意識領域への侵入(幻覚妄想の原因となる)・現在と過去の記憶内容の混乱や誤認』があり、言葉のサラダと呼ばれる支離滅裂な言語や新語造作、音韻連合などの形で『無意識過程の言語化・表面化』が起こりやすくなるのである。

統合失調症の初期症状や発病前の状態でも、投影法であるロールシャッハ・テストや精神分析の自由連想法を用いることで、上記したような『思考過程の障害』を確認できることがある。

他者に対する興味を失ったり、現実検討能力が低下したりする統合失調質パーソナリティー障害(シゾイド・パーソナリティー)では、夢・白日夢などの空想世界に没頭して、周囲の人々との現実的な交流から遠ざかり、日常生活もひきこもりがちになってしまう。

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[自我の思考過程の障害と境界性パーソナリティー障害:1]

自我の思考過程の障害と境界性パーソナリティー障害:1

自我機能の代表的なものとして『思考過程(思考プロセス)』があり、思考過程の能力・発達はスイスの心理学者ジャン・ピアジェ(Jean Piaget, 1896-1980)『思考発達理論(認知発達理論)』とも関係している。

自我の思考過程(思考プロセス)とは『外部の知覚』『内的な感覚・記憶・観念・表象』を一定の意味や形態を持ったイメージ・思考(言語)に構成していく心的過程(心的プロセス)のことである。この思考過程を客観的現実と照合する機能が、自我の現実検討能力(現実吟味能力)である。

思考過程の正常性と異常性を診断する時には、知能検査(知能テスト)で知的能力がどの程度あるかを測定した上で、『概念化の能力・具体的思考(具象的思考)・抽象的思考』がどのくらいまで状況や問題に即応して働いているかを見ていくことになる。

現実適応した正常な思考過程(思考プロセス)は、『論理性』が保たれているという特徴もあり、非論理的な一貫性のない主張(独断的・妄想的な論理性のない主張)を繰り返したり、具体的根拠のない支離滅裂な言動が見られたりする場合には、精神疾患を発症しているリスクが高まる。

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2016年12月04日

[自我機能としての外界と自己に対する現実感(sense of reality)2:解離性障害とトラウマ(PTSD)]

自我機能としての外界と自己に対する現実感(sense of reality)2:解離性障害とトラウマ(PTSD)

自己や身体に関する現実感(リアリティー)が失われるもっとも典型的な精神疾患は『離人症・離人症性障害(解離性障害の一種)』『摂食障害(嗜癖・依存症の一種)』であり、時に統合失調症で深刻な幻覚・妄想に襲われてしまうこともある。不適応行動としては『ひきこもり・出社拒否・他者拒絶(人間関係やコミュニケーションの断絶)』が起こりやすくなる。

自我機能としての外界と自己に対する現実感(sense of reality)1:自己アイデンティティの連続性・一貫性

解離性障害(解離性同一性障害=多重人格障害)や離人症を引き起こす原因となるものに『深刻なトラウマ(心的外傷)』があり、重篤な解離性障害の患者の一定の割合には背景に『PTSD(心的外傷後ストレス障害)』があることが多い。特に殺人事件(死亡事故)に巻き込まれた家族を目前にしてショックを受けたトラウマ、家族の誰かが自殺している場面を目撃してしまったトラウマなどが、自我意識が解体して別人格が形成されるほど深刻な『解離性同一性障害(多重人格障害)』の原因になるとも言われている。

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[自我機能としての外界と自己に対する現実感(sense of reality)1:自己アイデンティティの連続性・一貫性]

自我機能としての外界と自己に対する現実感(sense of reality)1:自己アイデンティティの連続性・一貫性

人間の精神の正常性や健康度は『自我の現実認識機能(現実検討機能)』に支えられていて、自我の現実認識機能が障害されると統合失調症や解離性障害(離人症など)を発症することにもなる。自我の現実認識機能の中心にある感覚が、外界と自己に関する『現実感(sense of reality)』であり、現実感は一般的に『リアリティー』と呼ばれるものである。

外界、他者、自己、身体に適切な現実感を抱くことによって、精神・行動の正常性(健康度)が保たれているのだが、良好な精神状態であれば『外界が生き生きしている臨場感のある感じ』や『外界に親しみや馴染みがあって落ち着ける感じ』を味わうことができる。更に健康な精神状態では、自己と外界・他者を区別して認識する『自他の境界線(boundary)』が明瞭でしっかりしているが、境界性パーソナリティー障害などではこの自他の境界線が障害されて、『他者との適切な距離感』が分からなくなってしまう。

自我の現実認識と自他の境界線によって、『心身のリラックスした融合感』『自分らしさを保った自己感』を主観的に体験して維持することができるのである。『現実感(sense of reality)』が低下したり病理化すると、外界に対する疎隔感が生じて、自己と身体の実在感・所在感が失われ、自意識の連続性・一貫性(自己アイデンティティ)が障害されてしまうのである。

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