精神分析的面接で『自己(self)』をどう評価するか?:自己愛・自己アイデンティティー
ジークムント・フロイトの精神分析でいう『自己(self)』は、意識的あるいは無意識的な自分自身とほぼ同義である。フロイトの同志で途中で訣別したカール・グスタフ・ユングは、普遍的無意識(集合無意識)の内容である元型(archetype)の一つとして『自己(self)』を定義している。
ユングの分析心理学でいう『自己(self)』には『意識と無意識を合わせた全領域の中心』といった意味がある。更に精神療法としての分析心理学(ユング心理学)では、意識と無意識のバランスが取れた自己に近づく『個性化(自己実現)のプロセス』が、精神病理の状態からの回復につながると考えられている。
精神分析で評価される外的な対人関係と内的な対象関係2:過去の対象関係・トラウマの影響の意識化
精神分析的面接でクライエントの『自己』を評価していく場合には、はじめに『自己愛』と『自己アイデンティティー』に着目することが多い。自己愛の発達ラインには『誇大自己(野心に向かうベクトル)』と『理想的な親イマーゴ(理想に向かうベクトル)』の軸があるが、主に自分の野心を実現しようとする誇大自己と実際の自分との違いが評価の対象になってくる。
どのような内容や大きさの誇大自己を持っているかを観察して、『誇大自己の大きさ』と『現実の自分の能力・魅力』を比べて、現実生活や人間関係の中でその野心に向かう誇大自己をどのくらい満たせているかを評価していく。
続きを読む