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2008年07月06日

[B.F.スキナーのスキナー箱(Skinner box)]

B.F.スキナーのスキナー箱(Skinner box)

徹底的行動主義(急進的行動主義)を標榜したバラス・フレデリック・スキナー(Burrhus Frederick Skinner, 1904-1990)が、オペラント条件づけ(道具的条件づけ)の行動原理を実証するために用いた実験装置が『スキナー箱(Skinner box)』である。オペラント条件づけ(道具的条件づけ)は『飴と鞭の論理』によって、人間の行動生起の頻度を調節できるとする行動原理である。『報酬(正の強化子)』を与えれば行動の頻度が増加し、『罰(負の強化子)』を与えれば行動の頻度が減少するが、このオペラント条件づけはネズミや犬のような動物から人間まで通用する行動原則とされている。

スキナー箱とは、動物(ネズミ)の探索行動・摂食行動を観察するために作られた箱であり、周囲は透明のスクリーンになっていて外部からスキナー箱の中の動物の動きを観察することができる。B.F.スキナーは、スキナー箱の中に『餌(正の強化子)』を入れてネズミの探索行動(試行錯誤)を観察したのだが、スキナー箱には餌を取るための仕掛け(レバー式の餌入れ)が施されていた。

レバーを何回押せば餌を食べることが出来るのかの『独立変数(環境条件)』を変更することで、ネズミの行動形成の頻度や学習の成立について実証的な理解を得ることが出来た。ネズミは生存に不可欠な『餌』を摂取するという外部的動機づけ(報酬)があれば、ある程度高度な学習を成し遂げることができ、レバーを複数回押して餌を手に入れることが出来るのである。

行動主義心理学(行動科学)では人間の行動形成過程を『レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ・オペラント条件づけ(道具的条件づけ)・学習行動』などによって説明するが、その多くが『外発的動機づけ(外部的刺激や要因による行動モチベーションの形成)』に頼っているという限界も抱えている。

特に、高度な知的能力(思考・判断・計画)や複雑な自己概念(アイデンティティ)を持つ人間の場合には、オペラント条件づけの行動強化の理論(報酬と罰による強化・消去)だけによって行動の形成・変化を十分に説明することが難しい。人間の場合には『報酬と罰の論理』だけを考えても、『短期的報酬』と『長期的報酬(長期的計画)』の影響が想定され、スキナー箱のネズミのように短期的報酬(餌)を目指すオペラント条件づけだけでは説明できない行動形成が発生してくる。

更に、各個人の内面的な価値観・世界観・人間観・志向性によって実際に選択する行動が大きく変わってくるし、社会的な人間関係や役割規範によっても様々な行動が形成されてくるのである。スキナー箱の実験によって検証されたオペラント条件づけの行動原理は、『適応的な行動・感情の学習(習得)』や『不適応な行動・感情の消去』を治療目標とする行動療法にも大きな影響を与えた。

SUD(Subjective Unit of Disturbance:自覚的不安尺度)に基づいて不安状況に段階的に暴露していく『エクスポージャー(暴露療法)の系統的脱感作』では、目標のステップを達成するごとに報酬としての効果を持つエコノミートークン(擬似貨幣)をクライエントに与えることがある。行動療法で用いられるこのエコノミートークンや賞賛・肯定の言葉というのは、オペラント条件づけ理論の『正の強化子』の役割を果たしていることになる。



posted by ESDV Words Labo at 06:42 | TrackBack(0) | す:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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