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2008年07月17日

[交流分析のミニ脚本(miniscript)とストッパー(stopper)]

交流分析のミニ脚本(miniscript)とストッパー(stopper)

『交流分析の人生脚本』の続きになるが、心理学者のテイビー・ケーラー(Taibi Kahler)ヘッジス・ケーパー(Hedges Caper)は、長期的スパンの『人生脚本』に対して短期的スパンの『ミニ脚本(mini script)』の概念を提起した。ミニ脚本とは人生脚本の下位概念であり、『極めて短い時間に起こる行動パターン(行動の特徴的な傾向)』のことである。言い換えれば、『マクロな人生脚本』は『ミクロなミニ脚本』の積み重ねによって実現されるのであり、人生脚本の計画的なあらすじ・物語はミニ脚本の行動によって強化されていると考えることができる。

ミニ脚本には『ドライバー(driver)・ストッパー(stopper)・ブレーマー(blamer)・ディスペア(dispair)』という4つの基本概念(拮抗禁止令)があり、ミニ脚本の短期的なあらすじは必ず高い目標水準の達成を要求する『ドライバー(駆り立てるもの)』からスタートする。ドライバーが発する拮抗禁止令(命令)には、『完全であれ・急げ・もっと努力せよ・他人を喜ばせろ・もっと強くなれ』の5つがあり、小さなミスや些細な失敗も許さないドライバーの完全主義欲求によって人間は精神的に追い込まれやすくなる。ドライバーの高度な要求に何とか応えられている間は、『I'm OK』の自己肯定感や仕事の充実感を得ることができるが、ドライバーの要求に自分の能力や努力が追いつかなくなると挫折感や気分の落ち込み(抑うつ感)を感じやすくなってしまう。

ドライバーの要求に対応できなくなると、ドライバーとは正反対の『ストッパー(stopper)』の禁止令が起こってくるが、ストッパーとは『幸福になってはいけない・愛されてはいけない・楽しんではいけない・自立してはいけない』といった自分の能力の成長や人生の成功(幸福)を阻害する禁止令のことである。ストッパーの発達史的な起源は幼少期に受けた『両親の否定的・批判的な言葉』にあり、ストッパーの禁止令が自分ではなく他人に向かってしまうと『ブレーマー(blamer)』の攻撃的な批判性が起こってくる。ストッパーやブレーマーは幼少期の不快な記憶や屈辱的な感情と結びついているので、『幼少期の自己否定的な決断(自己否定的な自己概念の獲得)』を再決断療法の手法で肯定的・建設的な決断に変化させていく必要がある。

『ドライバー』とは他人を喜ばせるために完全主義欲求を持ってしまうこと、『ストッパー』とは自分の喜びを犠牲にして他人を喜ばせようとすること(頑張って失望する前に最初から禁欲的になること)、『ブレーマー』とは自分の苦痛や失敗の責任を周囲の他者に責任転嫁することである。ドライバーには実現困難な過度な理想主義があり、ストッパーには自罰的な信念があり、ブレーマーには他罰的な信念があるが、この3つのミニ脚本が相互作用して強化されると『ディスペア(絶望・落胆)』が生じてしまうことがある。

短期間で起こるミニ脚本の行動パターンの繰り返しは、悲観的な人生脚本の再現になりやすいが、『ドライバーの要求水準』を適度に引き下げることで自分に無理のない前向きな努力や活動を続けていけるようになる。ミニ脚本の4つの基本概念は、『交流分析の基本的立場』に対応しており、“I'm not OK, You're OK”は『ストッパー』であり、“I'm OK, You're not OK”は『ブレーマー』であり、“I'm not OK, You're not OK”は『ディスペア』に対応する。『ドライバー』は条件つきの“I'm OK, You're OK”であり、自分の能力・体力・適性・ストレス耐性などを考慮して『適切なレベルの創意工夫・努力精進』を続けていけば、自分の幸福と他者の喜びが一致するような人間関係を楽しめるようになってくる。

posted by ESDV Words Labo at 19:54 | TrackBack(0) | す:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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