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2008年07月21日

[スーパービジョン(supervision)とスーパーバイザー(supervisor)]

スーパービジョン(supervision)とスーパーバイザー(supervisor)

スーパービジョン(supervision)とは、心理臨床家(カウンセラー・セラピスト)の能力・資質・経験を高めるために実施される実践的な教育訓練方法(研修機会)のことである。スーパービジョンは通常面談方式で行われるので、『カウンセラーが定期的に受けるカウンセリング』といった理解がされることもあるが、正確には『カウンセラーが定期的に受ける面接方式の教育訓練』のことを意味する。カウンセラー(分析家)が自己理解や性格分析のために受けるカウンセリングは、『スーパービジョン(supervision)』ではなく精神分析療法における『教育分析(educational analysis)』のカテゴリーに該当する。

スーパービジョンでは、客観的なカウンセリングのプロセスやクライエントに対する態度・発言についての指導・助言が行われ、精神分析療法の教育分析のように『カウンセラーの心理的問題・内面的葛藤・転移の現象』が直接的に取り扱われることは少ない。スーパービジョンは心理臨床家の資質・実力の向上を目的とする『定期的な教育訓練』のことであり、客観的なアセスメントスキルの習熟や治療的面接(カウンセリング技法)の熟練に重点が置かれているので、教育分析のように『カウンセラー自身の主観的心理』がテーマになることは殆どない。

スーパービジョンの実施形態や指導内容は『カウンセラーの経験・能力・技術』によって変わってくるが、一般的に行われているスーパービジョンでは、カウンセラーが請け負っているケース(事例・症例)の問題点や改善点についてアサーティブに話し合う形式が多く、スーパービジョンには実践的な事例研究としての要素が含まれている。

スーパービジョンにおいて指導・助言を行う立場の臨床家のことを『スーパーバイザー(supervisor)』といい、スーパーバイザーの指導・助言を受ける立場の臨床家を『スーパーバイジー(supervisee)』という。スーパービジョンではスーパーバイザーの指導やアドバイス、問いかけによって、自分ひとりの臨床活動では気づくことができない『問題点・改善点・見落としていたポイント(自己盲点)・クライエントの状態』に気づきやすくなるというメリットもある。

一般的には、心理臨床家としての経験・能力・技術が高い人がスーパーバイザーとなり、スーパーバイジーは師や先輩から指導教育を受けるという形式になりやすいが、スーパーバイザーとスーパーバイジーの間に必ずしも能力・経験の優劣関係(序列関係)が存在するわけではなく、対等なキャリアを持つ臨床家同士でスーパービジョンを行うことも少なくない。

スーパービジョンには一対一で教育的面接を行う『個人スーパービジョン』と複数のスーパーバイジーを相手にして教育指導を行っていく『集団スーパービジョン』があるが、スーパービジョンには以下の3つの教育・管理機能が認められている。

1.管理機能……心理臨床家を専門家コミュニティ(専門家同士の秩序志向の人間関係)の一員として組み込むことで、システマティックに臨床家の資質・倫理・実力の最低基準を管理していくことができる。

2.教育機能……心理臨床家に対して多角的・相対的な視点を持つ『効率的な実践教育・資質向上のための訓練』を行うことができる。『自分の持っている知識・経験・技術』をお互いに伝達して正のフィードバックを働かせることができる。

3.支持機能……あらゆる問題や事例に対して完璧に対応できる心理臨床家は存在しないので、自分の不安なところや疑問点などをスーパバイザーに相談し、適切なアドバイスや心理的な支持を得ることができる。カウンセラーのメンタルヘルス向上や知識・対応のバランス感覚の維持という観点でも、スーパービジョンには支持機能があると考えられている。



posted by ESDV Words Labo at 22:04 | TrackBack(0) | す:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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