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2008年08月10日

[A.バンデューラの社会的学習理論(social learning theory)]

A.バンデューラの社会的学習理論(social learning theory)

カナダの心理学者アルバート・バンデューラ(Albert Bandura, 1925-)が提起した社会的学習理論(social learning theory)とは、行動主義的な連合学習(ロールプレイと強化子による学習)とは異なる『モデリング(他者の行動の観察)による学習』のことである。学習心理学・行動科学(行動主義心理学)における社会的学習(social learning)という概念には、『社会的環境における学習』という意味と『社会的行動の学習』という意味とがある。A.バンデューラが社会的学習という場合には、他者の行動や態度を観察する社会的環境(場面)での学習という意味が含意されている。

行動主義心理学(行動科学)では、学習行動は『個人の実際の経験(行動)』『連合的過程(刺激に対する反応の学習)』とによって成り立つと考えられていた。つまり、行動主義では『獲得したい行動・知識』を実際に経験して行動してみないと学習できないと考えられていたのであり、学習の基本原理として『レスポンデント条件づけ』『オペラント条件づけ』が想定されていたのである。

行動主義では、刺激に対する反応を『S-R結合』として学習する連合学習(随伴学習)が重視されていたが、随伴学習では『望ましい行動(目的としている行動)』が成功したときに『報酬(正の強化子)』を与えて強化を行う。B.F.スキナーのオペラント条件づけに基づく学習というのは、望ましい行動の獲得が成功したときに『報酬(正の強化子)』を与えて生起頻度を増やし、望ましい行動の獲得に失敗したときに『罰(負の強化子)』を与えて生気頻度を減らすというものだが、A.バンデューラは『直接的な経験(行動)・外発的動機づけの強化(報酬と罰)』が無くても社会的学習が成立することを実験的に証明したのである。

実際に自分で行動することができない発達早期の乳幼児でも学習行動は成立するが、それは乳幼児がモデリング(観察学習)マザリング(母性的養育)に基づく社会的学習を遂行しているからであり、社会的学習は『獲得したい行動をしている他者』を観察するだけで成立するのである。A.バンデューラの社会的学習理論は、代理学習としてのモデリング(観察学習)を理論化したものであり、『自己効力感の認知的制御(セルフコントロール)』『個人・行動・環境の相互決定論』とも深い関係を持っている。

社会的学習を成立させるモデリングとは、他者の行動の内容と結果を観察して模倣(まね)することによって『適応的な行動パターン』を習得するという学習プロセスだが、反対にモデリングによって『不適応な行動パターン』を消去(矯正・改善)することもできる。モデリングには、最低、観察者とモデルの2人が必要であるが、実際に人間が行動しているのを見る『ライブモデリング』でも、テレビやビデオなどの『映像媒体による間接的なモデリング』でも一定の学習効果を期待することができる。アルバート・バンデューラは、モデリングは『注意過程(観察対象に注意を向ける)→保持過程(対象の行動の内容を記憶する)→運動再生過程(実際にその行動を模倣してみる)→動機づけ過程(学習した行動を遂行するモチベーションを高める)』の4つのプロセスによって成立するという仮説を立てている。



posted by ESDV Words Labo at 17:23 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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