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2008年08月18日

[社会病理学(social pathology)・精神病質(psychopath)・社会病質(sociopath)]

社会病理学(social pathology)

身体医学の領域には、生理学をベースにして身体疾患のメカニズム(発症・原因・経過・予後)や治療法を研究する『病理学』があり、精神医学の領域にも精神疾患のメカニズムや治療法を研究する『精神病理学』がある。社会科学・社会学の領域でも、正常に機能している社会システムや経済構造の元では見られない病的な社会現象のことを『社会病理』と呼ぶが、この社会病理のメカニズムと解決方法を研究する学術分野のことを『社会病理学(social pathology)』という。19世紀末に社会病理学という分類を初めて提起したのは、P・フォン・リリエンフェルト(P. von Lilienfeld)だとされる。

社会現象の正常性と異常性の判定は非常に難しく、個々人の価値観(善悪感)や理想の世界観にも関係してくる問題だが、一般的に『個人に苦悩・病気・荒廃・破滅をもたらす社会現象』『社会に混乱・退廃・治安悪化・不安をもたらす社会現象』を合わせて社会病理と呼んでいる。社会病理であるか否かは社会全体の標準的価値観や個人の権利(安全)の侵害の程度、社会治安への影響などによって規定されるが、社会生活に適応できない個人の行動の一部も社会病理として見なされていることがあり、個人の不適応と社会の病理との境界線は必ずしも明瞭なものではない。

社会病理学において『社会病理』として解釈されている典型的な現象には、『犯罪・自殺・嗜癖(薬物依存症・アルコール依存症)・非行・暴力・スラム街の形成(貧困の維持拡大)・売買春』などがある。社会病理の二大原因は『支持的・共感的な人間関係(共同体感覚)の欠如』『経済生活上の困窮(貧困による無気力化や反社会化)』とされているが、対人関係の欠如と経済的な貧困を生み出す『社会環境・政治活動・階層固定化などの要因』も無視することができない。

精神病質(psychopath)・社会病質(sociopath)

精神病質(psychopath)社会病質(sociopath)というのは、現在の反社会性人格障害(anti-social personality disorder)の診断基準を満たす人たちにつけられていた精神病理学的あるいは社会病理学的なラベリングのことである。精神病質(サイコパス)や社会病質(ソシオパス)というのは『良心・共感性・罪悪感の欠如』を特徴として、『暴力的な犯罪・嗜虐的な行為・反社会的な活動』を行う先天的な気質傾向・性格類型のことであり、罪悪感なく他者を傷つけられるサイコパスの人には何らかの遺伝的素因があると考えられていた。

かつては、他者の苦痛に共感することができない異常犯罪や猟奇趣味の持ち主に対して精神病質(サイコパス)や社会病質(ソシオパス)という診断が下されたりもしたが、社会的な良心や共感能力が欠如した残酷な人に対する差別的ラベリングになったために診断学的な意味は喪失していた。精神病質・社会病質と呼ばれた反社会性人格障害の人は、他人を傷つけたり苦しめたりしても良心の痛みを感じることがなく、法律・倫理としての社会規範を犯して悪事を働いてもその行為を反省することが難しいが、この反社会的な行為障害の原因としては『遺伝要因(先天的気質)と環境要因(成育環境)の相乗作用』が想定されるようになっている。



posted by ESDV Words Labo at 21:23 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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