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2008年08月26日

[大衆文化とマスメディア・マスコミュニケーション]

大衆文化とマスメディア・マスコミュニケーション

近代市民社会とマス・コミュニケーション(マスメディア)が発達する以前は、『文化・芸術・学問』の領域は貴族階級・富裕階級・知識人階級によって創造され占有されていた。20世紀アメリカの消費文明社会・資本主義経済と結びつく形で発生した『大衆文化』は、旧来的な『貴族文化』や『知識人文化』のアンチテーゼとしての特徴を持ち、特別な教養・学問・知識が無くても誰でも気軽に楽しめる文化と娯楽を生み出した。アメリカのテレビや映画、モードのファッション、小説などに代表される大衆文化の登場は、画一的な情報コンテンツを広範囲に伝達する『マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞の媒体)』の機能と切り離して考えることは難しく、マスコミュニケーション(大量情報伝達)による大衆の流行・情報の共有によって大衆文化はより一層の発展普及をすることになる。

大衆文化の基底にあるのは、国民の大多数が同じ情報を共有しているということであり、その流行・娯楽・価値観の共有を強力に推し進めたのがテレビ・ラジオ・新聞といったマスメディアなのである。マスメディアの情報によって大衆文化や社会的価値観の基盤が形成されるという現象は、1990年代末のインターネットの登場による情報革命まで続き、2008年現時点においてもマスメディアの持つ画一的な情報の伝達力や世論・流行の形成力は、利用者層の範囲に限界があるインターネットよりも遥かに強いものがある。

しかし、段階的に国民各層のメディアの視聴時間が、マスメディア(テレビ・新聞・ラジオ)からインターネットへと移ってきており、宣伝広告費の成長率もインターネットのほうが高いことから、今後はインターネットを介在した国民各層の情報共有や検索行動がより一般的なものになる可能性が高い。

インターネットには、YouTubeやニコニコ動画、mixi、モバゲータウン、Googleの検索結果、Yahoo!のニュース配信など『次世代の大衆文化』の要因になり得るサービスが数多くあり、21世紀後半の大衆文化の震源はマスメディアからインターネットに移行しているのではないかとも予測される。高度な専門性や知的能力を持った人たちによって作られる『知識人文化』は、伝統的に『大衆文化』を低俗で刹那的なもの、即物的で思想の深みがないものとして軽視してきた。しかし、20世紀後半以降は知識人文化が社会全体に与える影響力は総体的に低下しており、現代では大衆文化の持つ世論形成力や政治的意思決定への影響力を無視することはできなくなっている。

また、『映像(テレビ)・書籍(大量出版)・音波(ラジオ)』を用いたマス・コミュニケーションによって生成される大衆文化は、専門書や教養書、知識人のテレビ出演などといった形で知識人文化を大衆文化の中に完全に取り込む形になっており、現時点において象牙の塔のようなアカデミズムや閉鎖的な科学者集団が作り出す知識人文化が大衆文化に優越する可能性は極めて小さい。何故なら、知識人文化の市場価値や情報伝達に際して、大衆文化の媒体となるマスメディア・出版社との協力体制を無視することができず、社会の高学歴化が進んだ現在では非大衆(知識人)と大衆とを明確に区別する客観的指標は存在しないからである。

大衆文化はアメリカの大衆社会・消費文明の成立によって急速に発展したが、大衆文化のエッセンスを持つ文化の起源は民話・民謡などの口承文学や家内制手工業の民芸などにあると考えることもできる。日本では近代社会が成立する以前の江戸時代から、近松門左衛門や井原西鶴の人形浄瑠璃や庶民が気軽に楽しめる歌舞伎・浮世絵・川柳・黄表紙など大衆文化の部分的発達(17Cの元禄文化・19Cの化政文化)が見られた。



posted by ESDV Words Labo at 13:08 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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