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2008年09月16日

[社会学の社会変動(social change)と社会変動理論]

社会学の社会変動(social change)と社会変動理論

社会変動(social change)とは社会構造の変化のことであり、『定常型経済(農業経済)』の伝統社会では社会変動は起こりにくいが、『成長型経済(資本主義)』の近代社会では社会変動が起こりやすくなりそのスピードも速くなる。マクロレベルの社会変動には、『社会組織・社会制度・社会規範(道徳規範)・経済活動(産業構造)・文化潮流・家族制度』などの変化が含まれる。日本では、近世の終わりを告げる『明治維新』と戦時体制の終焉となった『戦後民主主義』において非常に大きな社会変動の波を経験することになった。

社会学の分野において『社会変動』は研究されているが、その理論的な起源になったのは社会構造の変化を定式化しようとしたフランスの社会主義者サン・シモン(1760-1825)と社会学者オーギュスト・コント(1798-1857)『観念の段階論』である。実証的な社会学の始祖とされるオーギュスト・コントは、サン・シモン学派の重鎮の一人であったが、『社会の富の増大』を目標とする社会主義者のサン・シモンは『計画経済』『産業階級(資本家・労働者)』を重視した。サン・シモンは『財産権』を最も重要な市民の権利と考え、生産活動を行わない王侯貴族(支配階級)やカトリックの僧侶(聖職者階級)よりも産業階級(資本家・労働者)のほうが価値があるという主張を展開した。

サン・シモンは、一般的なマルクス主義者のように『階級対立(資本家階級と労働者階級の対立)』を説くことはなく、晩年はキリスト教的な博愛主義の道徳を崇敬して、人類は『兄弟愛』に基づく相互扶助の義務を負うと語るようになった。富裕層は貧困層を救済する道徳的な義務があるとする『人道主義』を唱えるようになったサン・シモンは、社会主義経済とキリスト教的人道主義が結びついたユートピアニズムの思想を抱くようになった。サン・シモンとオーギュスト・コントの『観念の段階論』では、学術活動は『神学→形而上学→実証主義』へと発達し、社会構造は『軍事的段階→法律的段階→産業的段階』へと変化すると考えられていた。

イギリスの社会学者ハーバート・スペンサー『軍事的社会(低次:強制的協働)』から『産業的社会(高次:自発的協働)』へと発展する社会進化論を提唱したが、共産主義思想を理論家したカール・マルクス『史的唯物論』も経済的生産力を重視した社会変動理論の一種である。エミール・デュルケームは、同質性の高い個人が結合する伝統社会における『機械的連帯(共同体的な役割分担)』から異質性を持つ個人が協働する産業社会における『有機的連帯(社会的分業)』への社会変動が起こると考えた。

一般的に大きな枠組みでのマクロな社会変動は、『産業構造の変化・経済生産力の上昇・技術革新や科学進歩・倫理規範や社会慣習の変化・人口動態や都市化』などによって引き起こされることになる。戦後日本では、高度経済成長期における急速な工業化・都市化によって、『地方から都市への人口の流入(集団就職・出稼ぎ)』が起こり都市部の人口過密化と農村部の人口過疎化という社会変動が起こった。農村部では伝統社会の特徴を残した『村落共同体』が衰退し、イエ制度の解体によって『大家族(直系家族・多世代家族)』が減り両親と子供だけからなる『核家族』が多くなった。男女同権社会の進展により『男性は仕事・女性は家事育児』というような性別役割分担の規範性も急速に衰退しており、男女双方の晩婚化や女性特殊出生率の低下によって『少子高齢化』の社会変動が予想以上の速さで進んでいる。

社会変動は現時点でも絶えず進行しており、1990年頃まで中心的だった『終身雇用制・年功序列賃金』を特徴とする日本型経営が弱まってフリーターや契約社員といった『非正規雇用』が増大したのもマクロな社会変動である。『情報革命(IT革命)』と呼ばれるインターネットや携帯電話の普及によって、個人のコミュニケーション形態や人間関係、情報検索環境を中心にして大きな社会変動が起こっている。脱工業化した先進国における社会変動は、『インターネット(情報ネットワーク)・コンピュータ(携帯電話)・メディア・コミュニケーション』などによって牽引される可能性が高く、情報化社会の高度化と社会変動が深く結びついた状況にある。



posted by ESDV Words Labo at 13:46 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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