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2008年09月18日

[禅宗と『十牛図』]

禅宗と『十牛図』

禅宗とは『座禅・瞑想・勤行(作務)・公案』によって世界と人間の真理を洞察し、あらゆる苦悩を克服した悟りの境地に至ろうとする大乗仏教の宗派である。禅宗という呼称そのものは中国の唐末期から使われるようになったが、禅宗の始祖は一般的にインドの達磨(ボーディダルマ, 382-532)とされている。原始仏教の時代にまで遡った禅定修行の祖は、マハーカーシャパ(摩訶迦葉)とアーナンダ(阿難陀)であると考えられている。達磨によってインドから中国へと禅(禅宗)が伝えられ、臨済宗・曹洞宗・法眼宗などの『禅宗五派』が生まれたが、日本では栄西の臨済宗、道元の曹洞宗がよく知られている。

禅宗は『不立文字(ふりゅうもんじ)・教外別伝(きょうげべつでん)』を原則として仏道修行を行うので、特定の経典・言葉に依拠せずに、師資相承(ししそうしょう)で師匠から弟子へと禅宗の奥義が臨機応変に伝達されることになる。『十牛図(じゅうぎゅうず)』『達磨図』と並ぶ禅宗の代表的な題材図である。十牛図は、禅の修行のプロセスと悟り(解脱)に到達する道を象徴的に表現した10枚つづりの絵である。禅宗では座禅と公案(師からの本質的な問いかけ)によって仏性を備えた『本来の自己』を再発見しようとするが、十牛図では牛を探す『牧人(童子)』を修行者に見立て、『牛』を悟り(仏性)や本来の自己に見立てている。

廓庵師遠(かくあんしおん)による十牛図が特に有名だが、十牛図には以下の10枚の絵が描かれている。仏教関連の記事としては、『大乗仏教の唯識論に見る阿頼耶識(アラヤ識)』も参考にしてみて下さい。

1.尋牛(じんぎゅう)……見失った牛(悟り・仏性)を探し求める。

2.見跡(けんせき)……居なくなった牛の足跡を何とか見つける。

3.見牛(けんぎゅう)……足跡を辿っていき牛の姿を見つける。

4.得牛(とくぎゅう)……逃げようとする牛を何とか捕まえることに成功する。

5.牧牛(ぼくぎゅう)……牛を飼い慣らして自分のものにする。

6.騎牛帰家(きぎゅうきか)……自分に慣れた牛の背中に乗り、笛を吹いて陽気に家に帰る。

7.忘牛存人(ぼうぎゅうそんじん)……せっかく連れ帰った牛のことを忘れて、ただ人のみが存在している。

8.人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)……人も牛もそれぞれのことを忘れてしまい、束縛を超えた自由の境地に到達する。

9.返本還源(へんぽんかんげん)……一切の苦しみや悩みの無い『悟り・解脱の境地』に至って羅漢の成就者となる。あらゆる煩悩と執着を消尽した仏道成就者となる。

10.入廛垂手(にってんすいしゅ)……市井に出向いて衆生に仏の教えと悟りの境涯を解き明かす。慈悲心を意識し始めた『羅漢』が、一切衆生を救済する『菩薩』となり、世俗の人々に交わって説法をする。



ラベル:仏教 禅宗 宗教学
posted by ESDV Words Labo at 22:28 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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