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2008年10月12日

[A.エリスの論理療法と羞恥心克服法・宿題自己改造法]

A.エリスの論理療法と羞恥心克服法・宿題自己改造法

アルバート・エリス(Albert Ellis, 1913-2007)論理療法(rational therapy)では、『〜しなければならない・〜しないと破滅してしまう』というような非合理的信念(irrational belief)を『〜をやりたい・〜ができればそれで良い』という合理的信念(rational belief)に変容させていくことを目指す。

アルバート・エリスの基本的な人間観は、『客観的な出来事』ではなく『個々人の信念(物事の受け止め方)』が心理的な悩みや感情・行動の障害を生み出すというものである。A.エリスの個人の信念(物事の考え方)を重要視した人間観は、以下のようなABCDE理論にまとめられ、論理情動行動療法(REBT)を支える基礎理論となった。

論理情動行動療法を支えるABCDEモデル

A(Affairs,Activating Event):客観的な外部の出来事・生活環境・人間関係。

B(Belief):客観的な外部の事象をどのように受け止めるのか、どのように意味づけして解釈するのかの信念・認知・考え方。

C(Consequence):信念や解釈を経て起こった結果(気分・感情・感覚・行動)

D(Dispute):非合理的な信念(イラショナル・ビリーフ)に対する反論・反駁・論理的否定。

E(Effective New Belief,Effective New Philosophy):効果的な新しい信念体系や人生哲学。

イラショナル・ビリーフは、『現実と推論の錯誤・事実と願望の混同・論理的推論の誤り・自己否定的で将来悲観的な内容』という特徴を持っている。

論理情動行動療法の『信念・認知』を中心に置いた基本的な治療機序(作用機序)は、そのままうつ病などの治療に用いられる認知療法(cognitive therapy)にも応用されており、社会不安障害(対人恐怖症)などに適用される『羞恥心克服法(shame-attacking exercise)』も論理療法の介入技法の一つである。羞恥心克服法では、どうすれば他人と話すときに緊張せずに済むか、どのようにすれば他人から拒絶される不安(恐怖)を和らげられるかということに焦点を絞った技法であり、『他人に笑われたり拒絶されることは耐えられないほど恥ずかしいことである』という非合理的信念(イラショナル・ビリーフ)を修正することを目的にしている。

社会不安障害(対人恐怖症)で見られる非合理的信念の中核にあるのは『他人にバカにされてはいけない・他人に笑われることは死ぬほど恥ずかしいことだ・恥をかくような行為をすれば自分の価値がなくなる』という非現実的で自己否定的な考え方である。A.エリスの論理療法に基づく羞恥心克服法では『他人に笑われても深刻な問題が起きるわけではない・誰でも誰かに拒絶されることはある・恥をかいたとしても何かが失われるわけではない』という合理的信念(ラショナル・ビリーフ)を獲得することを目指して、積極的に他人に話しかけていくような行動技法が適用されることになる。

A.エリス自身も、女性に対する羞恥心や緊張感(苦手意識)を克服するために、ニューヨークの植物公園で「出会った女性すべて」に敢えて声をかけていくという羞恥心克服法を実施しており、『女性から拒絶されて振られても深刻な問題が起きるわけではない・女性に無視されても立ち直れないほどに傷つくことはない』という合理的信念を形成することに成功した。

認知療法では自分の『自動思考』や『認知の歪み』を発見するために、日記的な書き込みをしていくワークシートを用いてセルフモニタリング(自己観察)をしていくが、A.エリスの論理療法でもワークシートを用いてABCDE理論を参照したセルフモニタリングを行うことがある。論理療法では合理的信念(rational belief)の獲得を目的にして、ワークシートの記入という宿題(課題)がクライアントに出されることがあるが、こういった宿題を出す心理療法の技法のことを『宿題治療法』という。論理療法ではワークシートを用いて『信念(belief)の特定:B』と『非合理的信念(irrational belief)の論駁(dispute):D』を集中的に行うことがあるが、自己改造を目的としたこの種の宿題治療法のことを『宿題自己改造法(self-instructional training)』と呼ぶことがある。



posted by ESDV Words Labo at 14:42 | TrackBack(0) | ろ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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