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2008年10月30日

[シュトラウス症候群(Strauss Syndrome)の行動特性と脳損傷]

シュトラウス症候群(Strauss Syndrome)の行動特性と脳損傷

脳損傷児童が発現する障害・問題群を総称してシュトラウス症候群と呼んでいたが、最近の医学的診断では大雑把な障害分類であるシュトラウス症候群(Strauss Syndrome)という名称を用いることは少ない。シュトラウス症候群は、肢体不自由を伴う脳性マヒ患者から各種の発達障害・知的障害・学習障害まで含む幅広い疾病概念であるが、A.A.シュトラウス(A.A.Strauss)L.E.レーチネン(L.E.Lehtinen)の脳損傷を持つ精神薄弱児研究によって現象学的に症状を記述したものである。

明確な知的障害を伴う精神薄弱と『読み・書き・計算』など特定の学習能力のみが障害される学習障害の区別は難しいことがあるが、シュトラウス症候群という時には一般に脳損傷を伴う精神薄弱・知的障害のことを意味していることが多かった。

1960年代から1970年代までは、事故・病気などによる明確な脳損傷(中枢神経系の損傷)を指摘できる患者群を『脳損傷』と診断しており、シュトラウス症候群は脳損傷と各種の不適応行動が結びついたもののことである。外科的・内科的な脳損傷の既往歴がないケースでは、正常圏の知能を持ちながらも学習障害や逸脱行動(不注意・衝動的な暴力行動・ルールの無視・多動)が見られることがある。

こういった現在ではADHDや自閉症スペクトラムと呼ばれる小児の患者群を『微細脳障害(微細脳機能障害・MBD)』と診断していた時期もあったが、医学的なMBDの概念については『MBD(Minimal Brain Dysfunction, 微細脳機能障害)と発達障害(ADHD, LD)』の項目を参照して頂きたい。 シュトラウスとレーチネンは臨床的な児童観察を通して、シュトラウス症候群に特徴的な行動特性を『1.一般的な行動の障害,2.知覚障害,3.思考問題』というカテゴリーでまとめている。

1.一般的な行動の障害……ADHD(注意欠陥多動性障害)のような落ち着きのない多動傾向や過活動性。感覚運動系の不器用さやぎこちなさ。感覚協応機能の障害や筋肉の不随意運動。

2.知覚障害……部分と全体の区別における障害。ゲシュタルト心理学的な『図と地』の知覚の障害。特定の行動や作業への固執性(広汎性発達障害に準じるこだわり行動や常同性)。

3.思考障害……一般的な思考機能からの逸脱や語彙の過剰(無意味な多弁傾向)。物事や概念の分類整理に特殊な思考の偏りが見られる。細部への過度なこだわりや色・形・大きさに関するカテゴライズの特殊性。

シュトラウス症候群には外科的な事故・病気による脳損傷だけではなくて、出生時外傷や妊婦の感染症・難産が関与することがある。バビンスキー反射や膝蓋腱反射に関する異常などの神経学的兆候が見られるが、シュトラウス症候群は脳性マヒや発達障害などと同じく遺伝性・家族因性の影響は見られない。

上記した知覚障害や思考障害が見られる脳損傷児のケースでも知的障害を伴わないことがあり、シュトラウス症候群は知的障害と必然的な相関を持つものではなく、現象学的な症状としては発達障害・学習障害とのオーバーラップが多く見られるものである。中枢神経系の障害によって問題行動や感覚運動系の障害が見られやすくなるが、そのことが学業不振や不適応問題の原因になることもある。そのため、児童期以降の情緒障害や精神疾患に発展するリスクを回避するために、シュトラウス症候群の問題に焦点づけした学習指導計画を立案することが重要になる。

posted by ESDV Words Labo at 10:55 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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