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2008年11月18日

[認知療法のワークシート記述と『気分・感情の特定』]

認知療法のワークシート記述と『気分・感情の特定』

[認知療法における『思考・気分(感情)・行動・生理(身体)』の相互的関係]では、外界の出来事や他人の言動をどのように認知(解釈)するかによって『気分・感情の状態』が変化するということを説明したが、認知行動のセッション(心理面接)の目的は認知パターンや行動パターンを適応的で効果的なものに変容させることにある。

認知療法の実際のセッションではクライアントの出来事・気分や感情・自動思考・認知の歪みなどを記入する『ワークシート』を用いることが多いが、クライアントが自分自身の気分・認知・思考を観察して特定していく心的行為のことを『セルフモニタリング』という。

認知療法のセルフモニタリングで自己観察して特定するものには『客観的な出来事(状況)・自動思考(自然に浮かんできた考え)・認知(物事の考え方や解釈)・認知の歪み(気分や適応能力を悪化させる歪められた認知)』などがある。また、セルフモニタリングで十分に特定しにくいものとして、日常的な認知の背景にある『絶対的信念・基本的な世界認識(世界観,人間観)』を仮定することもある。

『その人の認知傾向』に大きな影響を与える絶対的信念や基本的世界観は『家庭のしつけ(発達早期の親子関係)・学校の教育・社会文化の価値観・周囲の友人からの影響・ジェンダー・トラウマ体験』などによって無意識的に形成されるものであり、遺伝的・気質的影響も部分的に受けている。

典型的な絶対的信念としては、幼少期に家庭で十分な愛情を受けられなかった人の『この世界には信頼できる他人なんていない・人間は究極的には孤独であり誰にも頼ることなどはできない』という徹底的に他者を拒絶する個人主義の信念、幼少期に性的虐待を受けてしまった人の『異性(男性)は信用することができないし好きになることもできない・セックスというものは他人を人格的に傷つけ侮辱する行為である』といった異性恐怖的な信念などがある。

本人の無意識領域にある絶対的信念を完全な形で変容させることは困難であるが、日常生活や人間関係のあり方を見直して自己肯定的な認知を心がけることで生活適応度(生活の快適性や楽しさ)は格段に高くなることがある。

認知療法のワークシートの作成では、『客観的な出来事(状況)』『認知(思考)』『気分(感情)』を区別して特定できることが大切だが、客観的な出来事は『いつ・どこ・誰・何・なぜ・どのように』といった5W1Hを意識すれば書きやすくなる。

客観的な状況として『朝、会社に行こうとして早起きしてから通勤電車に乗った』ということがあり、その時に『憂鬱感・不安感・つらさ』といった気分を感じたという風にワークシートに記入し、そのときにどういった『認知(思考)』が起こっていたかを考えることになる。認知(思考)は一般的に『やや長い文章・説明的な語り口』として特定することができ、『会社で昨日のミスを上司に叱責されるかもしれないと考えた・遣り残している仕事の多さや休日のお店の忙しさを考えて自分にできるだろうかと思った』というような形で文章化していく。

『認知・思考』がやや長い文章で表されるのに対して、『気分・感情』のほうは『憂鬱・不安・怒り・淋しさ・悲しさ・イライラ・愛情・快適・期待感・喜び・恐怖・神経過敏・退屈感』といった簡単な単語によって表記できることが多い。それらの気分や感情の状態がどのような認知(思考)の傾向によって生み出されているのかをワークシート作成を通して考えていくことになるが、『気分(感情)の強さ』を数量化して分かりやすくするための『怒り(70%)』というようなパーセンテージで表記することもある。



posted by ESDV Words Labo at 22:45 | TrackBack(0) | に:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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