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2008年11月21日

[認知療法のワークシート記述と生活行動記録表(思考記録表)の例示]

認知療法のワークシート記述と生活行動記録表(思考記録表)

『認知療法のワークシート』の項目では、『気分・感情・認知(思考)の特定の仕方』について説明したが、認知的アプローチでは気分の状態(抑うつ・怒り・悲しみなど)を区別して、その気分を改善するにはどのような認知をすれば良いかというのが基本になる。気分の区別の尺度(ものさし)にするのは日常的な『喜怒哀楽+抑うつ・関心・意欲・愛情の基準』が分かりやすいが、身体状態(生理状態)と精神状態の相関を利用して気分を特定する方法もある。

身体の筋肉が緊張して『肩・腕・脚』に力が入っている状態のときには、何か強い気分や感情が起こっている可能性が高いが、その感情は『不安・心配・神経過敏(神経質)・自己否定』などであることが多い。頭に血液が一気に流れて体内が熱くなっているような状態、心臓がドキドキして興奮している状態のときには『怒り・攻撃衝動・憎悪』といった感情が発生していることが多いだろう。手にじっとりと冷や汗をかいたり背筋が冷たくなるような感覚、口の中がカラカラに乾くといった状況では『恐怖感・緊張感・逃避願望』といった感情に支配されているということになる。

認知療法では自分自身の気分・感情・思考を区別して特定するだけではなく、その自己認識をきちんとワークシートに記録していくこと、後でその内容を振り返って『今後の適応的な認知・行動・対人関係』に応用していくことに心理療法としての意義がある。認知療法で用いられるワークシート(記入用紙)にはさまざまな種類があり決まったフォームはないが、代表的なワークシートとして生活行動記録表あるいは思考記録表と呼ばれるものがある。

これらのワークシートを用いる目的は『的確な自己理解の深化』『問題となっている気分・感情・行動の改善』にあり、基本的な認知療法の作用機序はワークシートを用いて『非適応的な認知』『適応的な認知』へと変容させることにある。

生活行動記録(思考記録)としてのワークシートを記述することによって、『自分の気分(感情)が変化する原因や考え方』が見えやすくなってくるが、セルフモニタリング(自己観察)の効果は『自分がどういった状況で落ち込みやすいのか(不快になりやすいのか)・その気分の変化を引き起こしている認知(考え方)とは何なのか?』といったことを的確に理解できるようになることである。代表的なワークシート(生活行動記録表)の項目には、『客観的な状況(出来事)・気分(感情)・自動思考・認知の歪み(自動思考を引き起こす要因)・適応的思考・気分の再評価』などがある。

生活行動記録表のワークシートの書き方の一例を挙げれば以下のようになる。

客観的な状況……昨日の午後に、仲の良い同僚の友人と、顧客満足と効率性のどちらを優先するかなど仕事のやり方を巡って口論になった。

気分(感情)・程度……怒り(60%)・不安(60%)・落ち込み(75%)

自動思考……どうして一方的に自分の意見ばかりを押し付けてくるのだろうかと不快になった。自分も少し厳しい口調で言い過ぎたかもしれない。

認知の歪み……彼と今後も上手くやっていけず、これまでの友人関係も崩れるのではないか。自分は職場での良い人間関係を保つことができない自分勝手な人間だ(だから、周囲から疎遠にされて嫌われている)。=過度の一般化・感情的な決め付け

適応的思考……彼とは喧嘩してやり合うこともあるが、お互いの性格や価値観を認め合えている部分のほうが大きい。自分が間違っている時には素直に謝って仲直りし、もう少し冷静に相手の話を聞けるように努力してみる。これまでもいろいろなトラブルを経験したが、概ね上手く仕事をやり遂げてきたし、同僚と一緒に飲食に出かけて楽しめることも多い。

気分の再評価……怒り(10%)・不安(40%)・落ち込み(40%)

認知療法のワークシートを用いた練習は『何度も繰り返すこと』『定期的に記録を取ること』が重要であり、自分の状況と気分との結びつきを正しく理解して、自分の気分(感情)を改善して適応的な行動ができるような認知(考え方)を意識的に身に付けることがポイントになる。



posted by ESDV Words Labo at 22:58 | TrackBack(0) | に:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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