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2009年03月14日

[青年期カウンセリングと自己アイデンティティの確立]

青年期カウンセリングと自己アイデンティティの確立

中学生頃から親と子との心理的距離が開き始め、『自分の子どもが何を考えているか分からないし、親の注意や意見もなかなか聴いてくれない』という親が増えてくるが、これは子どもが親から精神的自立を図ろうとする『第二次反抗期(心理的離乳に必要な反抗)』の現れとして解釈されることが多い。最近は、学校の規則強制や管理教育も弱められて、物分かりの良い『友達のような親子・教師』が増えたこともあり、以前のような『非行・暴力・不良グループへの参加』などに代表される典型的な第二次反抗期の行動は大幅に減っている。

しかし、思春期の発達段階に特有の『いじめ・不登校・ひきこもり』などの問題は今でも多く残っており、最近では『友人関係で仲間はずれにされることの不安(いじめによる孤独感・疎外感の問題)』『いじめ・学力低下で学校に行けなくなるという不登校の問題』の訴えが増加傾向を示している。成人期の成熟前傾現象によって『学生の恋愛・性・妊娠・中絶の悩み』も増えており、恋愛関係への依存や悩みで学校の勉強が手につかなくなったり(進路選択に大きな障害が生まれたり)、好きな異性に振られた精神的ダメージを克服できなかったり、性や避妊の知識の不足によって望まない妊娠・中絶をしてしまうという問題も起こっている。

『親子関係(親に依存する関係)』よりも『友人・異性関係(少人数のチャム・グループ)』を重視するようになることで、『対等な立場にある人間関係』に適応してコミュニケーションする能力、他者と良好な人間関係を築いていく能力が強く要請されることになるのである。青年期になると友人関係の『チャム・グループ』よりも特定の異性との関係である『ピア・グループ』のほうを優先する人が増えてくるが、ピア・グループを安定的に維持する能力は自己アイデンティティの強化(異性から承認される自分)や将来の結婚・家族形成へとつながっていく。

青年期カウンセリング(counseling for adolescent)は『青年期の発達段階における問題』を取り扱うカウンセリングであるが、青年期では外部社会における自己の役割や存在意義を見失って混乱・停滞する『自己アイデンティティの拡散・自我(自意識)の肥大による決断不能』といった問題が起こりやすい。青年期カウンセリングでは『自己の欲求・理想像』『社会適応(職業選択)・役割の受容』のバランスを取ることで、アイデンティティ確立が停滞している『モラトリアム(アイデンティティ選択の猶予期間)』を解消していく。

青年期カウンセリングで問題になりやすい精神障害として『摂食障害・社会不安障害(対人恐怖症)・適応障害・強迫性障害・統合失調症』などがあるので、精神症状や身体症状が前面に出ている場合には、必要な心理アセスメントの実施や精神科医療とカウンセリング(心理療法)との連携が求められることになる。青年期カウンセリングを実施する目的は『自己アイデンティティの確立の支援』と『自己実現にできるだけ接近できる社会適応の実現』であるが、そのためにはクライアントの青年の苦悩や希望、自己認識に共感的に耳を傾け、その青年が自己の存在意義を実感できるような進路選択(職業・教育訓練)と人間関係(異性関係・友人関係)をバックアップしていかなければならない。

青年期カウンセリングで話題にするテーマは多種多様であり、『人生観・世界観・人間観』といった哲学的な認識・考えを聞くこともあれば、『将来の人生設計・職業選択・異性関係(恋愛や結婚)』といった現実生活に密着した問題について聞くこともある。青年期の発達課題は、一度しかない自分のかけがえのない人生の中で『どのように生きていくか・どのような人間関係を築いていきたいか・社会の中でどんな職業的役割を果たしていくか』を真剣に考えて決断することである。

しかし、青年期に築く自己アイデンティティはその後の人生で何度か変更を強いられることも多く、余りに進路選択を悩みすぎて『不決断・優柔不断』に陥るというのも問題である。適度に『悩む期間・選べない期間』を経験した後には、モラトリアムの迷いを乗り越えて『社会的・対人的な決断』をすること、これが青年期の心理的問題を解決するために重要なことであると言えるだろう。



posted by ESDV Words Labo at 16:09 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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