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2009年03月24日

[アレン・アイビィの積極技法(influencing skills)と折衷主義]

アレン・アイビィの積極技法(influencing skills)と折衷主義

アレン・E・アイビィが考案した体系的・実践的なカウンセリング技法が『マイクロ・カウンセリング』であるが、マイクロ・カウンセリングの基本理念はクライアントの利益を最重視して特定の学派・技法にこだわらないという『折衷主義(eclecticism)』である。現代のカウンセリングや心理療法の多くは、『特定の理論・技法・学派集団』に固執しない折衷主義によって実践されており、特に『認知的技法と行動的技法の折衷(融合)』が進められ、認知行動療法をベースとしたカウンセリングが主流になってきている。

アレン・E・アイビィのマイクロ・カウンセリングでは、『複数の理論・技法・セッション』に精通することで、クライアントの多種多様な問題・症状に対応することができるようになると考えるが、こういった実用性や応用性に富んだ考え方はアメリカのプラグマティズム(実利主義)に基づくものである。折衷主義のマイクロ・カウンセリングは『企業(産業)・学校(スクールカウンセリング)・病院(臨床)・人生相談(進路相談)』など各場面に適応することが容易と考えられているが、クライアントの悩みの内容やカウンセリングのニーズに応じて技法と理論を選択するには『一定以上のカウンセリング経験とトレーニングによる習熟』が必要である。

アレン・アイビィは自らの折衷主義のスタンスについて、『クライアント(性格や悩み)・状況(場面)・時(経過)に応じてどの方法を適用したら良いのか考えなければならない』といった趣旨の主張をしている。アレン・アイビィはクライアントに対して、直接的かつスピーディに影響を与えられる技法を『積極技法(influencing skills)』としてまとめているが、積極技法には以下の7種類がある。

1.指示技法

2.論理的帰結

3.自己開示

4.フィードバック

5.解釈

6.積極的要約技法

7.助言・教示のための情報提供

積極技法を実際のカウンセリングで適用する場合には、クライアントとのラポール形成(相互信頼の形成)を促進する『かかわり技法』をまず用いてから『積極技法』を採用していく。積極技法というのは、クライアントの心理(情動・思考)や行動に“直接的かつ即時的”に作用する技法なので、『明確な説明+具体的な指示』を心がける必要がある。積極技法を用いた後には、その積極技法がクライアントにどのような効果や影響を与えたのかを『効果測定』する。効果測定の方法には診断的面接(直接的な質問)やクライアント観察、心理検査(質問紙法)などの方法があるが、効果測定で得られた結果は『技法の適切な選択』へとフィードバックしていく。

積極的要約技法(influencing summary)というのは、カウンセリングでクライアントの意見や気持ちをカウンセラーが代弁して要約する『繰り返し・明確化』と混同されやすいが、明確化とは正反対の技法であり『カウンセラーの意見・助言・主張』をクライアントに分かりやすく要約して上げる技法のことである。カウンセリングや心理療法のセッション(面接)が終了する直前に積極的要約技法を用いて、『今回のカウンセリングで私が言いたかったことを簡単にまとめると、もっと自分の気持ちを率直に表現しても良いということ、そして、つらくて甘えたい時には遠慮せずに家族や恋人に甘えても構わないということになります』という風に用います。



posted by ESDV Words Labo at 04:06 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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