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2009年04月21日

[操作的なカウンセリング・心理療法(manipulative counseling)]

操作的なカウンセリング・心理療法(manipulative counseling)

カウンセリングや心理療法には『操作的な技法』『非操作的な技法』とがあるが、カウンセリングの技法が操作的であるということは『目標設定的(問題解決的)・指示的・意図的・効果測定的』であるということを意味する。クライエントの行動・心理について指示しない『非指示的なカウンセリング』の代表として、カール・ロジャーズのクライエント中心療法(来談者中心療法)があるが、クライエント中心療法ではクライエントの症状や問題行動を意図的にコントロールして改善しようとはしないのである。

支持的技法である“クライエント中心療法”の基本原則は、共感的理解や無条件の肯定的受容といった好意的な態度を用いて、『あるがままの自己・今ここにある自分』をクライエントに尊重させて“治療的・改善的な変化”が自律的に現れるまで“待つ”ということである。

カール・ロジャーズは自身の『自己理論』において、人間には生来的に“成長・健康・回復・発展”へと向かう『実現傾向』が備わっていると考えていたが、『共感的理解や無条件の受容に基づく傾聴』によってその実現傾向が正常に促進されるようになると予測していた。そのため、クライエントの認知や行動、症状を、カウンセラーが意図的に良い方向へとコントロールするようなアプローチに対しては、ロジャーズは否定的だったのである。

操作的なカウンセリングの代表的な技法として、クライエントを“不安(苦手)な状況”や“目標とする行動課題”に段階的に直面させることで、問題行動・精神症状を緩和させる『行動療法(曝露療法・系統的脱感作・ロールプレイ)』がある。クライエントが自分で自分を苦しめる原因となる『非現実的な認知(悲観的な認知)』を、ワークシートを用いて修正していく『認知療法・認知行動療法』も操作的な技法としての側面を持っている。

操作的なカウンセリングは、“治療目標・カウンセリングの課題”を初めに設定して、クライエントが悩んでいる『非適応的な行動・認知・症状(=心理的問題)』を意図的に変化させようとするのだが、『非指示的なカウンセリング(=来談者中心療法)』であってもカウンセリング的な信頼できる人間関係(ラポール)を通して、クライエントの改善・成長を促進させようとする意味で“操作的な特徴”を部分的に持っている。

クライエント中心療法では、『自己概念と有機体的経験の一致=自己一致』が治療機序(作用の仕組み)として重視されているが、自分で自分をどのように定義するかという“自己概念”を“現実の経験”と自己一致させるためには、ある程度『操作的・意図的な関わり方の工夫(関係性を深めていく努力)』が必要になってくるということである。

操作的なカウンセリング(心理療法)の長所は、クライエントの治療目標・行動課題を設定して問題解決を分かりやすく促進できることであり、更にどのくらいカウンセリングの効果が実際に出ているかを事後的に測定しやすいというメリットもある。操作的なカウンセリング(心理療法)で気をつけるべき短所としては、クライエントの問題行動や精神症状を意図的にコントロールすることばかりに注意が向かってしまい、クライエントの内面的な心情や考えなどに無関心になりやすいことである。『操作的な技法』を適用して問題解決的なカウンセリングを実施する場合にも、『共感的な理解・クライエントの内面への関心・支持的な態度』を絶えず忘れないようにしなければならない。



posted by ESDV Words Labo at 10:15 | TrackBack(0) | そ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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