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2009年05月13日

[躁病(mania)と双極性障害,気分安定薬のリーマス(炭酸リチウム)]

躁病(mania)と双極性障害,気分安定薬のリーマス(炭酸リチウム)

気分障害である双極性障害(躁鬱病)には、強い抑うつ感・気分の落ち込みを主体とする『うつ病相』と過度の高揚感・爽快感を主体とする『躁病相』とが見られる。『気分の落ち込み・抑うつ感・意欲減退・希死念慮・集中力(思考力)の低下』の症状に代表されるうつ病相(うつ病エピソード)だけが見られる気分障害を『単極性障害(うつ病)』という。

双極性障害(躁鬱病)では『うつ状態』『躁状態』とが周期的に出現するが、うつ病エピソードと顕著な躁病エピソードとを交互に繰り返す気分障害を『双極性T型障害』といい、うつ病エピソードと気分の興奮の程度が軽い軽躁状態とを交互に繰り返す気分障害を『双極性U型障害』という。双極性障害で最も注意すべきリスクは『躁転時(うつ状態から躁状態に切り替わる時)の自殺企図』であり、希死念慮・自殺願望を持っている患者の場合には、活動性が低下するうつ状態の時よりも活動性(行動力)が回復する躁状態の時のほうが自殺するリスクが高くなるのである。

強度の希死念慮が見られる双極性障害では、『気分が良くなってきた・行動力が回復してきた・何かが出来そうな自信がでてきた・早く活動したくてたまらない』という躁転が起こった時にこそ冷静な対処や行動の抑制が必要であり、発作的・反射的に自殺企図をしてしまわないような行動の管理体制を敷いておいたほうが良い。単極性障害では気分が落ち込んで意欲・興味が大幅に低下する『うつ病エピソード』だけが見られるが、『躁病エピソード』だけがくり返し見られる精神疾患のことをそのまま『躁病(mania)』と呼ぶ。

精神運動亢進が起こる『躁病』では、性格傾向が明るく陽気になり、人間関係にも積極的になって日常生活を楽しめるというメリットがあるが、その一方で重要な問題事項に対して軽率な判断をしたり、無思慮な逸脱行動や悪ふざけをしたりといったデメリットも出てくる。躁病の特徴は、ハイテンションな誇大的気分が形成されて『爽快感・高揚感』を感じることであり、そういった気分の高揚・興奮によって『活動性・行動力・発言の頻度』が著しく高まることである。躁病では新規なアイデアや考えが次々に頭の中に湧き起こってきて、エネルギッシュにそのアイデアを話し続ける『観念奔逸』の症状が見られることもある。

躁病には、『気分の高揚と爽快感・感情の興奮と陽気・思考と行動のスピード感・睡眠障害・エネルギッシュな行動力・衝動的な行動や買い物・過度の楽観的認知・リスクを無視した無謀な決断・軽率な浮ついた発言や態度・誇大妄想的な自分への自信・ビジネスや宗教への異常な熱中・知覚過敏とイライラ』などの主要症状があり、職業的・経済的不利益を蒙ったり社会的信用を失ってしまう危険性がある。躁病では大胆で軽はずみな行動を取りやすくなり、重要な問題に対して即断即決で判断することが多くなるので、『仕事上の大きな失敗・対人関係におけるトラブル・経済的な不利益・反社会的な逸脱行動・病的な依存症』などが起こりやすくなるのである。

躁病の医学的治療の中心は、気分安定薬のリーマス(炭酸リチウム)や抗てんかん薬のデパケンR(バルプロ酸ナトリウム)を用いる薬物療法であるが、それぞれに特有の副作用があるので医師の診察・経過観察を受けながら用法・用量を守って服用する必要がある。

リーマスには一般的な副作用として、口渇、振戦、眠気、倦怠感、めまい、下痢、吐き気、腎機能障害があり、デパケンRには一般的な副作用として、眠気、ふらつき、頭痛、不眠、倦怠感、吐き気、高アンモニア血症、抜け毛などがある。躁病や躁鬱病でリーマス(炭酸リチウム)を処方・服用する場合には、『リチウム中毒(手の振戦・吐き気・めまい・言語障害・発熱などの症状がある中毒症状)』にならないための専門医による経過観察と投薬管理が重要な課題となる。

posted by ESDV Words Labo at 06:57 | TrackBack(0) | そ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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