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2009年05月25日

[監督範囲適正化の原則と組織階層短縮化の原則:企業の人事と労務管理]

監督範囲適正化の原則と組織階層短縮化の原則:企業の人事と労務管理

企業経営や組織運営には『管理機構(役職・地位)に基づく階層秩序(上下関係)』が必然的に要請されることになる。リーダー(社長・行政の長)を頂点とする組織階層の上層は『意志決定・指示命令・人事管理』を担当して、組織階層の下層は『企画営業など実務・会計経理など事務・情報処理や力仕事など作業』を行うというのが一般的な形態である。

企業組織の管理階層には、『社長・専務・常務・部長・次長・課長・係長・班長』など様々な管理職があり、各企業の組織図や産業分野の種類によってもその肩書きは異なるが、管理機構の業務の効率性と正確性を高めるためには『組織階層短縮化の原則』に従ったほうが良いとされる。管理機構の主要な役割は『下位の役職者への意志疎通・指示命令』と『職場の人間関係の調整・部下の心身の健康管理』があるが、前者の目的を達成するためには、管理階層の役職の数を減らして『指示命令系統』をシンプルな分かりやすいものにしたほうが良い。

不要な管理職の階層と人数を削減して、指示命令系統をシンプルに整理していく原則を『組織階層短縮化の原則』と呼んでいる。上層の管理職が部下に仕事に関する指示命令や判断の伝達をする時には、『指示命令の経路の数・伝言する間に入る人間関係の複雑さ』はできるだけ少ないほうが良い。

意思疎通の経路が長くなって複雑になり過ぎると、『内容の誤解・歪曲・消失(忘却)』といった問題が起こりやすくなり、組織の秩序や機能性が低下してリーダーシップを発揮しづらくなるからである。単純に考えても、管理階層が余りに多くなって組織構造が複雑になると、『意思疎通にかかわる伝言ゲームのような間違いの多発』『情報伝達にかかる時間コストの増大』という問題が起こりやすくなる。

しかし、ただひたすら管理階層を単純化して人員を少なくすれば、集団組織のパフォーマンスや人間関係の良好度が高まるというわけではなく、集団組織の効率性と協調性を最大限に発揮するためには管理職に任命した人材に『適材適所の役割・権限・責任』を与えていく必要がある。管理職にいる人材の能力・意欲・人望を考慮しながら、『適材適所の役割・権限・責任』を与えていくという原則のことを『監督範囲適正化の原則』という。

企業では職務の内容・権限に応じた『職位』や仕事の経験・能力・実績に基づく『資格』によって人事管理が行われていて、労働基準法の規定による労働時間・残業の割増賃金・休憩休日の規定を受けない『管理監督者』の地位が認められている。

しかし、企業の競争環境が激化している最近では、管理監督者としての十分な権限・役割・待遇が無いにも関わらず、チェーン店の店長などに『無償に近い長時間労働』を行わせるなどの労働問題(『名ばかり店長』などの問題)が起こってきている。労働基準法上の管理監督者として認定されるためには、最低でも『重要な職務内容・権限と責任(仕事と労務管理における一定の自由裁量性)・給与水準や職務権限などで有利な待遇』が無ければならないとされている。ただ役職の名称として『課長・班長・リーダー』など管理者らしい名前がついていても、その役職に見合うだけの実質的な『役割・権限・責任・人材としての重要度』が無ければ、労働保護規制が適用されない管理監督者として認められないのである。

その従業員が労働基準法の除外規定を受ける経営者との一体感が強い『管理監督者』であるかの判断は、『職務内容・責任と権限・給与水準・勤務形態』などの実態を見る必要があり、本人の自主裁量によって(本当に耐えられない過労状態にある時などに)労働時間をコントロールできるのかが一つのポイントになる。

posted by ESDV Words Labo at 03:34 | TrackBack(0) | そ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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