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2009年05月25日

[組織心理学(organizational psychology)における組織開発(OD)]

組織心理学(organizational psychology)における組織開発(OD)

社会心理学・産業心理学の隣接領域である組織心理学(organizational psychology)は、効率的で健康的な組織運営を目的とする応用心理学である。企業・官庁(役所)・学校など特定の存在意義(活動の目的性)や社会的役割を持つ集団組織を研究対象として、『組織に属する集団と個人の心的過程及び行動の生成変化』を研究する分野である。組織内部では『集団力学・指揮命令系統・階層秩序(職位階層)・上下関係』などの影響が生まれるが、これらの影響・作用によって『個人・集団の行動選択や心理状態』にどのような変化が起こってくるのかを分析する。

生産的・健康的な組織運営を目指す『組織心理学』の主要テーマとしては、『集団の士気(活力)・リーダーシップの分類と効果・動機づけ(モチベーション)の向上・組織開発・職場のメンタルヘルス』などがあり、“組織・下位集団・個人”の適切なバランス関係の確立が課題となっている。企業・官庁など集団組織に所属する成員メンバーの心理的安定を実現して、各グループの士気や生産意欲を高めることによって、効率的で生産的な組織運営が可能となるが、その組織活動の基盤には成員メンバーの『メンタルヘルス(心の健康)の充実』『過重労働・精神的ストレス(職場の人間関係の不仲)の緩和』がなければならない。

『組織開発(organization development:OD)』というのは、組織内の各種の問題や非効率性を改善して『環境適応力・パフォーマンス(成果)』を高めるための実践的な援助業務である。営利企業を対象とする場合には『経営効率の改善・人員配置の助言・営業実績の向上』といった目的が設定されて、経営コンサルタント業務と重複する部分も出てくる。組織開発と経営コンサルティングとの違いは、組織開発の担当者は経営コンサルタントのようにリサーチの数字を重視して『業務改善・組織再建の正しい答え』を一方的に提示するわけではないということである。組織開発の場合には、クライアントと双方向的なコミュニケーションを繰り返して解決策を模索するという特徴があり、特に従業員ひとりひとりのコミュニケーション形態やメンタルヘルスにも強い関心を注ぐことがある。

組織開発では『業務のモチベーション低下・上司‐部下関係の対立(パワハラ問題)・部署間のコンフリクト・管理者間の権力競争・非機能的な組織形態・意思疎通の不全・従業員のメンタルヘルスの悪化』などの問題を実践的に取り扱い、臨床的・教育的なアプローチを通して組織の業績回復や健全運営を実現しようとする。キャリア心理学などで多くの功績があるE.H.シャイン(E.H.Schein)は、組織開発を『組織の状態の診断・変革』を超えた双方向的な組織改革のためのコミュニケーションとして定義しており、『データ収集‐調査分析の結果報告』を繰り返しながらクライアントにとって最適な変革・改善の方向性を探っていくのである。

組織開発の具体的な方法の中心にあるのは、今ある組織の形態や機能、人員の配置を変更してみるという『アクション・リサーチ』であり、対決的技法や解決構築的アプローチ、Tグループ、マネジリアル・グリッド、組織の分化・統合による効率化などが行われることになる。客観的なデータ収集やフィールド・ワーク(実地調査)によって実施する科学的研究方法としての『アクション・リサーチ』は、ゲシュタルト心理学の研究者として知られるクルト・レヴィン(Kurt Lewin, 1890-1947)が開発したものである。



posted by ESDV Words Labo at 05:05 | TrackBack(0) | そ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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