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2009年06月04日

[C.H.クーリーの第一次集団(primary group)と集団の発達過程]

C.H.クーリーの第一次集団(primary group)と集団の発達過程

人間は身体・精神の発達段階に応じて、『付き合う人間関係の範囲』『所属する社会集団の性質』が変化してくるが、特に『母子分離不安の克服』をある程度達成してくる3〜4歳時以降の時期から人間関係の拡大が始まる。人間関係は一般的に、『家族(親子関係)→集団的な友人関係(集団の一員としての参加)→個人的な友人関係(親友)→親密な異性関係(恋人・配偶者)→家族の再生産(自分の家族の形成)』というように発展していく。

発達心理学では、この集団関係の発達段階は『小学生時代のギャング・グループ→中学生世代のチャム・グループ→思春期以降のピア・グループ』という分類を為されることもある。ギャング・グループ、チャム・グループ、ピア・グループのそれぞれの簡単な定義は以下のようなものになるが、これらのグループは年齢によって『固定的な定義』ができるわけではなく、既婚者を含めてどの年齢層であってもギャング・グループやチャム・グループに参加する可能性はある。

ギャング・グループ(gang group)……児童期後期(9〜12歳頃)に形成されるメンバーの人数が多い徒党集団で、仲間と同じ『同一行動』を取ることによって『仲間からの承認(仲間との一体感)・集団の凝集性・秘密の保持』を実現する傾向がある。仲間と同じようなファッションをしたり同一の行動様式・価値観を身に付けたりすることが重視され、集団内のルールを守らなかったり秘密を漏らしたりすると仲間はずれや無視などの制裁を受けることがある。

チャム・グループ(cham group)……思春期前期(13〜15歳頃)に形成される3〜5人程度の複数のメンバーがいる仲良し集団で、一般的に『親友』と呼べるような友達関係が作られていくことになる。仲間と同じ行動や態度を取る外見的な『同一行動』よりも、内面的な『共通性(類似性)』のほうが重要視される傾向があり、集団内での異質性に対する許容度はギャング・グループよりも高い。

ピア・グループ(pear group)……精神的な成長や人格的な成熟に基づいて形成される安定した人間関係で、1対1の関係であることもあれば、集団の一員としての関係であることもある。『自己と他者との差異・対立』を受け容れて認めることができる関係であり、『他者の権利・感情・価値観』を自分と同じように尊重できる態度に最大の特徴がある。『集団への同調圧力』による排除(仲間外し)や『価値観の対立』による攻撃性(いじめ)などが起こりにくい関係性であり、『相手の立場や考え方への想像力・配慮性』の発達によって相互的な信頼関係を深めることができる。

アメリカの社会学者C.H.クーリー(C.H.Cooley)が提唱した『第一次集団(primary group)』というのは、生まれたばかりの乳幼児が最初に体験する原型的な社会集団であり親密な人間関係のことである。具体的には、『家族集団・地域集団・親友とのチャムグループ』などが第一次集団に該当することになり、その特徴は『継続的な対面的コミュニケーション・双方向的な信頼感と安心感・全人的なオープンなふれあい』などにある。

C.H.クーリーの第一次集団(primary group)は、学校・企業・官庁のような『目的を達成するための集団・各種の利益や報酬を獲得するための集団』とは異なり、『他者との関係性やふれあいそのものを目的として形成されるコミュニケイティブな集団』としての特徴を持っている。

第一次集団には『自分がどういった社会集団に帰属しているか?』という個人の社会的アイデンティティの基盤を形成する役割があり、『精神的な安定感(安心感)・対人的な信頼感(承認欲求)』を促進してくれるという効果も認められる。家族や地域社会(近隣関係)、友人関係といった『第一次集団』とのコミュニケーションが円滑であれば、第一次集団の外部(=仕事・学業・異性関係)におけるストレスや喪失体験にも耐えやすくなり、社会適応的な安定した性格構造(社会や他者と上手く付き合っていける性格・価値観)が形成されやすくなると考えられている。



posted by ESDV Words Labo at 13:52 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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