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2009年06月25日

[モデリング(観察学習)による代理強化(vicarious reinforcement)]

モデリング(観察学習)による代理強化(vicarious reinforcement)

A.バンデューラ(Albert Bandura, 1925-)による社会的学習理論では、『社会的行動の学習』は社会的場面において行われると定義している。社会的場面(社会環境)で『他者の行動・態度・発言』を観察することによって、新たな適応的行動を学習することを『モデリング(観察学習)』と呼ぶ。他者の行動を観察して新たな行動様式を学習する『モデリング』が成立するためには、『模範的な行動の観察』と『代理強化』が必要となる。

行動主義心理学(行動科学)では、学習行動は『個人の実際の経験(行動)』『連合的過程(刺激に対する反応の学習)』とによって成立すると考えられており、その行動原理として『レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)』『オペラント条件づけ(道具的条件づけ)』とがある。

レスポンデント条件づけでは『無条件刺激に対する無条件反射』の生理学的なS-R結合を利用して、『無条件刺激と条件刺激の対呈示』を行うことによって、『条件刺激に対する条件反応(条件反射)』を学習させるのである。

レスポンデント条件づけの最も代表的な事例が『パブロフの犬』であり、『食物という無条件刺激』のすぐ後に『ベルの音という条件刺激』を呈示することによって、ベルの音を聴くだけで犬が『唾液(条件反射)』を出すような学習が成立したのである。無条件刺激(食料)と無条件反射(唾液分泌)のS‐R結合が、条件刺激(ベルの音)と条件反射(唾液分泌)という新たなS‐R結合へと置き換えられる学習がレスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)である。

新行動主義者のB.F.スキナーが提起したオペラント条件づけ(道具的条件づけ)は、『正の強化子(報酬)』『負の強化子(罰則)』によって行動の生起頻度を調整する条件づけのことである。B.F.スキナーのオペラント条件づけに基づく学習では、『望ましい行動の獲得』に成功したときに『報酬(正の強化子)』を与えて生起頻度を増やし、『望ましくない行動の形成』をしたときに『罰(負の強化子)』を与えて生起頻度を減らしていく。

アルバート・バンデューラのモデリング(観察学習)の特徴は『直接的な経験(行動)』『外発的動機づけの強化(報酬と罰)』が無くても社会的学習が成立するということであり、バンデューラは他者が受け取る『報酬・罰の強化』を観察するだけで『代理強化』が成立すると考えた。『代理強化(vicarious reinforcement)』というのは、他者が褒められて肯定される場面を見て『望ましい行動の獲得』が強化され、他者が叱られて処罰される場面を見て『望ましくない行動の消去』が強化されるということである。

代理強化のプロセスは、集団生活状況や学校のクラス指導などでよく発生するが、みんなの前で特定の生徒の元気の良い挨拶が先生に褒められると、他の生徒もその生徒を真似して元気の良い挨拶をしやすくなる。反対に、みんなの前で特定の生徒の暴言や大騒ぎが厳しく叱責されて注意されると、他の騒いでいた生徒も急に静かになることがある。こういった行動の生起頻度の変化には、『他の生徒の報酬・処罰』を観察して適応的な行動を学習するという『代理強化』が関与している。

『代理強化』というのは、モデリング(観察学習)において『モデルとなる人物』に対して強化(賞賛・処罰など)の操作をすることで、その強化を観察した他の人物が代理的に強化されるという現象である。物事の善悪を分別する『道徳学習』や非行・逸脱行動を学習する『反社会的行動の学習』では、『モデルに対する代理強化(正しい行動をしたモデルを褒める・不良やヤンキーの生徒を肯定的に評価する)』の心的プロセスが相関していると考えられている。

posted by ESDV Words Labo at 18:48 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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