ウェブとブログの検索

カスタム検索





2009年09月22日

[ダンピング症候群(dumping syndrome)と胃切除術]

ダンピング症候群(dumping syndrome)と胃切除術

胃切除術『胃がん・重症の胃潰瘍・胃の損傷』などに対して実施される外科手術で、胃切除術には全切除と部分切除とがある。胃がんに対する胃切除術を世界で始めて手がけた医師は、1879年のフランスのジュール・ペアン (Jules Pe'an)と1880年のポーランドのルドヴィク・リディギエール (Ludwik Rydygier)であるが、この二人の実施した幽門側胃切除は失敗した。胃がんに対する胃切除術に初めて成功したのは1881年のドイツのテオドール・ビルロート(Theodor Billroth)であり、日本では1897年(明治30年)に近藤繁次が胃切除術を成功させている。

胃切除術で胃を取り除くと『胃切除後症候群』というさまざまな後遺症が起こってくることがあるが、『ダンピング症候群(dumping syndrome)』も胃切除後症候群の一種である。胃切除後症候群にはダンピング症候群以外にも、次のようなものがあり手術後の患者は暫くさまざまな不快症状や体調の悪化に悩まされることがある。胃切除後症候群の原因としては、『迷走神経の損傷・内分泌機能の低下・消化経路の狭窄化』などが想定されている。

逆流性食道炎(胃液が食道に逆流して炎症を引き起こす)

消化不良・吸収の悪化

貧血(ビタミンB12・鉄分の吸収障害)

骨の障害(カルシウムの吸収障害)

胆石症(迷走神経の切除によって胆嚢(胆のう)機能が低下し胆石を生じる)

残胃胃炎・残胃胃がん(切除で残された部分の胃が胃炎や胃がんへと進行する)

輸入脚症候群(ビルロートU法の手術後に十二指腸の持ち上げた箇所を『輸入脚』と呼ぶ。この輸入脚を食物が通りにくくなって、溜まった胆汁が逆流して嘔吐や炎症、栄養失調などを引き起こす症状)

『ダンピング症候群』は、胃切除手術を受けた患者の約15〜30%に発症する胃切除後症候群であり、『腹痛・吐き気・悪心・めまい・圧迫感・動悸・発汗・のぼせ・脱力感』などの症状が見られる。ダンピング症候群の主要な原因は、摂取した食物(炭水化物)が急速に小腸に流入することであり、小腸に血流が集中することで他の部分の血液が不足して、自律神経の失調などが発生すると考えられている。

食後30分程度で症状が現れる『早期ダンピング症候群』と、食後2〜3時間後に症状が現れる『後期ダンピング症候群』とに分けられる。

『早期ダンピング症候群』は食後30分程度で、『腹痛・嘔吐・動悸・発汗・顔面紅潮・めまい』などの症状が発生する。食物が空っぽの小腸に急速に流れ込むと、上部空腸の伸展拡張や蠕動運動の亢進が引き起こされる。小腸に血管中の細胞外液(ECF)が移動して血液が不足することで、各種の自律神経症状が発生するのである。急速な腸管の伸展と運動によって、セロトニン・ヒスタミン・ブラジキニンなど消化管ホルモンが過剰に分泌され、欠陥運動失調性のさまざまな症状が発症する。

早期ダンピング症候群の治療は主に、食事回数を増やして1回の食事量・糖質・水分摂取を減らすという『食事療法』によって行われる。腸管の蠕動運動を抑制するために副交感神経遮断薬を用いた『薬物療法』が行われることもある。

『後期ダンピング症候群』は、食後2〜3時間後に『脱力感・めまい・ふらつき・発汗・手や指の振戦・空腹感』といった低血糖症状を発症するものである。胃が無くなった(小さくなった)ことで食物が急速に空腸に流れ込むと、消化スピードが早くなり『一過性の高血糖』を起こすことがある。この一過性の高血糖に反応して『インスリンの過剰分泌』が起こると、反応性低血糖による低血糖症状が発生するのである。

後期ダンピング症候群の治療も主に、高蛋白・高脂肪・低糖質な食事を回数を分けて取るという『食事療法』によって行われる。間食を取ったり飴玉を舐めたりすることによって、低血糖症状を予防するようにすると良い。気分が悪くなったり、めまい・ふらつきを感じた時には、横になって暫く安静にしながら飴玉などの甘い食品を摂取するようにする。



posted by ESDV Words Labo at 06:19 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック