チアノーゼ(cyanosis)の症状・原因・対処
血液中の酸素濃度が低下して、皮膚や粘膜が青紫色になった状態のことを『チアノーゼ(cyanosis)』という。チアノーゼの症状が出やすいのは主に『唇・頬・手足の先・爪』などである。酸素を運搬して血液を赤色に見せる『ヘモグロビン』が二酸化炭素(炭酸ガス)と多く結合することでチアノーゼの症状が発症する。チアノーゼは『血中酸素濃度の低下』によって皮膚や粘膜が青紫色に見えている状態なので、酸素濃度が高まって炭酸ガスが減ってくれば元の肌色へと段階的に回復する。
炭酸ガス(二酸化炭素)と結びついたヘモグロビンのことを『還元ヘモグロビン(デオキシヘモグロビン)』と呼び、酸素と結びついたヘモグロビンのことを『酸化ヘモグロビン』と呼ぶ。チアノーゼ症状は医学的には、毛細血管の血液中の『還元ヘモグロビン』が“5g/dL以上”に増えたときに発症するとされる。チアノーゼは通常、身体各部の毛細血管の『血流障害』によって発症するが、それ以外にもさまざまな身体疾患などによって起こることがある。
チアノーゼを引き起こす要因としては、『呼吸器疾患(気管支喘息,気胸)・循環器疾患(閉塞性血栓,ファロー四徴症)・静脈血の動脈血への流入・ヘモグロビンの異常や機能障害』を想定することができ、それらの問題が無くても『寒冷な気候による末梢血管の鬱血』によってチアノーゼを呈することがある。
心配停止状態にある患者にもチアノーゼが発生するし、死後の遺体にも各種の死因の徴候としてチアノーゼが見られることがあり、『事件・事故の死因の法医学的な推測』にもチアノーゼの分析が応用されることがある。チアノーゼは端的には身体の酸欠状態を意味するので、早期に応急治療的な処置をすることが望ましく、一般的な応急治療としては『チアノーゼのある患部の保温・心臓マッサージ・患部のマッサージ・人工呼吸』などを考えることができる。