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2009年10月12日

[禅宗の『調身・調息・調心』]

禅宗の『調身・調息・調心』

禅宗の基本思想は、言語的に表現したり伝達することが不可能な『不立文字(ふりゅうもんじ)・教外別伝(きょうげべつでん)』にある。禅宗の修行の本質や教えの奥義を『図像(絵画)』で表現したものとして『十牛図』があるが、『牛』を悟り(仏性)や本来の自己に見立てた十牛図では、『悟り・解脱の境地』の奥深さと菩薩行(ぼさつぎょう)による衆生救済が分かりやすく説かれている。

インドの達磨(ボーディダルマ, 382-532)が開祖となった禅宗は、『座禅・瞑想・勤行(作務)・公案』によって世界と人間の真理を洞察しようとする大乗仏教の宗派である。文字の学問ではなく身体を用いた『座禅(瞑想)』によって、あらゆる苦悩を克服した悟りの境地に至ろうとする特徴を禅宗は持っている。精神統一を持続する『無我の境地』によって悟り(解脱)を直観しようとする禅宗では、『調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)・調心(ちょうしん)』といったボディワークを修行法として採用している。

調身とは身を調える(ととのえる)こと、調息とは呼吸を調えること、調心とは心(精神)を調えることを意味している。浄土真宗には『断食・断眠・断水』をして身体的な極限状況の中で、自分の人生と言動、人間関係を反省して、良い部分と悪い部分を認識していく『身調べ(みしらべ)』という修行法がある。

この『身調べ』を精神医学的な心理療法に応用したのが、吉本伊信(よしもといしん,1916-1988)の内観法(内観療法)である。吉本伊信の内観法では、『してもらったこと・して返したこと・迷惑を掛けたこと』の三点を重点的に内省して、『感謝・報恩の気持ち』を養うことで生きる意欲を取り戻していくのである。

禅宗の修行で行われる『調身・調息・調心』というのは、それぞれ以下のようなものである。

調身……静謐な時間と心境における座禅によって、身体感覚を調える修行。

調息……ヨーガなどに由来する独特のリラックスした呼吸法によって、呼吸を調える修行。初めは自分の呼吸をゆっくりと行ってその回数を数える『数息(すうそく)』を行い、段階的に『出息長・入息短(吐く息を長くして、吸い込む息を短くする)』の呼吸リズムに近づけていく。

調心……身体や呼吸に注意力(集中力)を一点集中させることによって、精神(心理状態)を調える修行法。リラックスして心身を安らげる精神統一の方法であり、催眠療法や自律訓練法などでも調心の原理が用いられている。



posted by ESDV Words Labo at 19:30 | TrackBack(0) | ち:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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