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2009年11月20日

[ゲシュタルト療法の『連続的な気づき(continuous awareness)』]

ゲシュタルト療法の『連続的な気づき(continuous awareness)』

フリッツ・パールズ(F.S.Perls)ローラ・パールズの夫妻が考案した『ゲシュタルト療法(gestalt therapy)』では、現実の人間関係を再現する“ロールプレイング”や感情と結びついた“身体感覚”を用いて『今・ここにおける気づき』を促進していく。ゲシュタルト療法は『現在の時点における体験型の技法』であり、S.フロイトの精神分析療法などとは違って、『過去の記憶・感情(わだかまり)・葛藤』などを話題にしたり分析したりすることはまず無い。

ゲシュタルト療法の基本理念として『自分自身であることを忘れずに、自分自身の人生を生きよ』というゲシュタルトの祈りがあるが、この技法ではありのままの自分の存在や感情を受け容れながら、身体と精神の調和が取れたバランスの良い自己を作り上げていくことが目標になる。ゲシュタルト療法はロールプレイング(役割演技)や感情表現を中心とした体験療法としての色彩を濃く持っている。『今・ここ』にいる自分の身体感覚や認知傾向に対する気づきを得ることで、環境適応性を高めていきながら苦痛な心理状態を回復させていくのである。

今までに気づくことができなかった感覚や認知、現実状況に気づくこと、これがゲシュタルト療法の治療機序(治療メカニズム)になっており、この『効果的な気づき(effective awareness)』が連続的に起こってくることを『連続的な気づき(continuous awareness)』と呼んでいる。クライアントの心理状態が本格的に回復してくる時や、問題状況(対人関係)が急速に改善してくる時には、ゲシュタルト療法でいう連続的な気づきが起こっていることが多い。

今までの自分がなかなか気づくことができなかった『感覚・感情・認知(考え方)・状況』に、ふとしたことがきっかけになって気づくことができるのだが、ゲシュタルト療法ではその気づきのプロセスを支持的に促進するために、カウンセラー(心理臨床家)がさまざまな質問を考えていく必要がある。治療的な気づきを促進するための質問は、以下のようなシンプルなものになることが多い。

『あなたは今・ここでどういったことに気づいていますか?』、『あなたの身体はどういった感覚を感じていますか?その感覚はどういった感情と結びついていると思いますか?』、『楽しいときや緊張しているときにはどのようなことに気づきやすいですか?』といった質問をすることによって、クライアントに今まで見過ごしていた感覚や考え方、感情に改めて気づいてもらおうとするのである。『自分の心臓がドキドキとして手に汗をかいていることに気づきました・自分の背中が軽くなってわくわくしている気持ちを感じました・どんよりとした気分で視線が前に向いていない自分に気づきました』などさまざまな気づきを言葉で表現することによって、『今・ここにおける自分』をよりリアルに認識することができるようになる。

『連続的な気づき』を推し進めていくゲシュタルト療法の最終的な目的は、『クライアント自身の心理・問題状況』を正しく認識させることであり、その正確な認識に基づいて『自分の問題や悩みに対する解決法』への気づきと行動(意欲)を促進していくことなのである。過去の苦悩や記憶に振り回され過ぎることなく、『今・ここにいる自分の現状認識』を連続的な気づきによって強化することで、『対人関係・問題内容に対する現状変革』のプロセスが見えてきやすくなる。



posted by ESDV Words Labo at 22:24 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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