ウェブとブログの検索

カスタム検索





2009年12月03日

[ガストン・バシュラールの『科学的精神の形成』と認識論的切断]

ガストン・バシュラールの『科学的精神の形成』と認識論的切断

フランスの哲学者ガストン・バシュラール(Gaston Bachelard, 1884-1962)は、主著『科学的精神の形成(1934年)』を通して、有効な科学知識の獲得にまつわる『科学哲学』の分野で多くの貢献をした。

バシュラールは、近代自然科学を成立させるための科学哲学上の難題であった『経験論(唯物論)と合理論(観念論)の対立』を解決しようとして、個別の観察データから一般法則を定立しようとする『経験論的な帰納主義』を批判した。

ガストン・バシュラールは後年に『詩的想像力』の研究に没頭しており、実証的な科学者・科学哲学者としての自己アイデンティティだけを強くもっていたわけではない。バシュラールは偶発的で自律的な『形式的想像力』と物質の知覚によって喚起される『物質的想像力』を分類しており、物質的想像力を科学的思考法の起源として想定していたようである。

科学的思考とは、直接的な経験・知覚によって生まれる『思い込み・幻想』を否定する思考であり、理論的な問題設定を元にして『直接的経験による幻想』を否定していくことを、バシュラールは『否定の哲学(科学の前段階的な哲学)』と呼んだのである。

1960年代にバシュラールの著作で用いられていた『認識論的切断』という概念を、思想界で流行させたのはポストモダンのマルクス主義の哲学者として知られるルイ・アルチュセール(Louis Althusser, 1918-1990)である。

アルチュセールはバシュラールに近代哲学や科学的思考法を学んだことのある弟子であり、バシュラールが科学的知識を獲得するために考案した『認識論的切断』を自身のマルクス主義的な史的唯物論に応用している。



posted by ESDV Words Labo at 17:16 | TrackBack(0) | に:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック