T得点(T-score)・偏差値(SS:Standard Score)
学力テストには『難易度の違い』があるので、『テストの点数』だけではその生徒が集団のどのくらいの位置かを推定することができない。一般的に学力テストや知能テストの相対的評価をする時には、以下の計算式で求められる『偏差値(SS:Standard Score)』を利用する。更に、偏差値と同じ標準得点法のことを『T得点(T-score)』と呼ぶことがあるので、この項目ではT得点の計算法も簡単に説明する。
偏差値(SS)は母集団内部での『相対的な位置づけ』を定める指標であり、偏差値を求めるためにはまず偏差と標準偏差を計算しておく必要がある。『偏差(D:Deviation)』というのは、各サンプルの点数から平均値を引いたもので、その人の点数が80点で平均値(平均得点)が60点の時には、80−60=20が偏差となる。『標準偏差(SD:Standard Deviation)』というのは、『分散の正の平方根』で求められる数値のことである。
『分散(variance)』というのは、『各サンプルと平均値の差(=偏差)』を計算して、その値を2乗した数の総和(Σ)を、サンプル数で割った数値のことである。標準偏差は『分散の正の平方根』なので、標準偏差を2乗すると分散になる。偏差値(SS)は平均が50となり、標準偏差が10となるようにして変換されたもので、概ね『25〜75』の間に全てのサンプルの偏差値が収まる正規分布となる。偏差値は当該テストにおける相対的な位置づけを示す指標なので、知能指数(IQ)や学力到達度と直接的な関係を持つわけではない点に注意が必要である。
正規分布(ガウス分布)を描く学力テストの点数に対する偏差値は、『偏差(D)÷標準偏差(SD)×10+50』の公式で求めることになる。一方、『T得点(T-score)』というのは、平均値を原点として標準偏差を単位にした数値であり、サンプルの得点をX、平均得点をY、標準偏差をQとする時に、『T={(X−Y)÷Q}×10+50』の数式で算出することができる。これは偏差値の求め方と同じであり、T得点は学力偏差値・知能偏差値と呼ばれることもある。