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2010年01月22日

[古代ギリシア哲学の“ピュシス(自然)‐ノモス(人為)”]

古代ギリシア哲学の“ピュシス(自然)‐ノモス(人為)”

古代ギリシア哲学のソフィスト(職業的な教師・弁論家)たちは『ピュシス(physis)』『ノモス(nomos)』の二元論によって、世界の構造を説明しようとした。古代ギリシアのプラトンの著作『ソピステス(ソフィストの複数形の意味)』でも、自然本性としてのピュシスと人為的な活動・制作としてのノモスが二元論的に語られているが、ピュシスはイオニア学派アルケー(万物の根源)にも相関している。

イオニア学派(ミレトス学派)の代表的な哲学者にはターレス、アナクシマンドロス、アナクシメネス、ヘラクレイトスがいるが、彼らの哲学は自然世界に万物の原理・根源を求める『自然哲学』としての特徴を持つ。

ターレスは世界の基本原理であるアルケーとして『水』を想定し、アナクシマンドロスは『無限定なもの(ト・アペイロン)』、アナクシメネスは『空気(プネウマ)』、ヘラクレイトスは『火』を想定した。イオニア学派の自然哲学は、万物を生成する根本原理として自然の本性である『ピュシス』を当てはめており、ソクラテス以降の政治哲学や倫理学、論理学の要素を持っていない。

紀元前5〜4世紀のソクラテスやプラトン、アリストテレスに代表される哲学者は、世界と万物の原理を『ピュシス(自然)』から『ノモス(人為)』へと展開した功績を持っている。

ピュシスの自然本性を普遍的な原理と見なす考え方は、宗教的感受性に根ざした『汎神論・物活論・生気論』などにつながりやすい。反対に、ノモスを普遍的な原理と見なす考え方は『政治経済・文化活動・制度設計・建設土木の技術・倫理規範』といったプラグマティック(実用的)な進歩発展につながりやすいという特長を持っている。

人為であるノモスとは『法律・慣習・文化・制度・技術』などの発展を生み出す“文明構築の原動力”であり、ピュシスの自然性を凌駕して人間的な理性・感情・関係に基づく価値の増大を実現する力を持っている。

ノモスの人工的な開発・進歩が余りに強力に進められると、『乱開発と資源の枯渇・自然破壊・環境汚染・資源獲得競争・戦争』などの問題が起こることもある。現代社会が抱えている『地球温暖化・地球環境問題・資源やエネルギーの獲得競争』なども、先端的な科学技術に裏打ちされたノモスの圧倒的な優位性と相関しているが、現代では素朴なピュシス信仰(人為・技術の禁欲的抑制)へと回帰することは難しい。



posted by ESDV Words Labo at 21:51 | TrackBack(0) | の:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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