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2010年01月22日

[ギリシア神話と現代社会の“ノモス‐カオス‐コスモス”]

ギリシア神話と現代社会の“ノモス‐カオス‐コスモス”

この記事は、[前回の項目]の続きになります。古代のギリシア神話では万物の始原に混沌とした無秩序である『カオス(chaos)』を置いていたが、無秩序から秩序が形成されるという原型・雛形を持つ神話(伝説)は世界各地に存在している。

人間の集合無意識として『カオス(混沌・無秩序)の先行性・起源性』が認められる傾向があり、全知全能の神や大いなる自然の力によって、『カオス(バラバラな無秩序)』から『コスモス(事物が分節された秩序ある宇宙)』への転換が起こるのである。

古代ギリシア神話に登場する太古的な原初の神である『カオス』は、正確には“混沌”ではなく“空隙・空虚(空っぽ)”と訳されるが、カオスはゼウスやアポロンのような分かりやすい『擬人的な人格神』ではなく、ただそこで広漠な空間を開いている場のようなものである。

空隙の無秩序な深淵から原初の神々が生み出される。ヘシオドスの『神統記』によれば、初めに生み出されたのはガイア(大地の神)、タルタロス(冥土の神)、エロス(愛の神)だったが、これら原初の神々は擬人的な人格神としての特徴をまだ帯びていなかったとされる。

それに続いて、エレボス(闇・冥界の神)ニュクス(夜の神)がカオスより生み出されるが、エレボスとニュクスはどちらも『闇の神としての属性』を持っている。

ニュクスからはアイテール(光の神)とヘメラ(昼の神)が生まれ、ガイアからはウラノス(天空の神)が生まれて、ガイアとウラノスが交合して『ティターン神族』を生むところから、ギリシア神話の世界に明確な秩序(コスモス)が形成されることになる。

ティターン神族には『大河の神オケアノス、海の女神テテュス、末子のクロノス、記憶の女神ムネモシュネ、掟の女神テミス、大地の女神レア、イアペトス(プロメテウスの父)、クレイオス、テイア、ヒュペリオン、コイオス、ポイベ』などがいる。

クロノスが母ガイアを悲しませた父ウラノスを打倒する父殺しの辺りから、人格神が織り成すギリシア神話の物語性(秩序性)が一挙に高まるのである。時間の神であるクロノスの子がオリンポス12神の主神であるゼウス(ユピテル)であるが、ゼウスが誕生すると多くの人間的な感情と行動基準を持つ神々が生き生きと活躍するようになる。



posted by ESDV Words Labo at 21:56 | TrackBack(0) | の:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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