ウェブとブログの検索

カスタム検索





2010年03月26日

[反精神医学(anti-psychiatry)と精神疾患のモデル的な理解]

反精神医学(anti-psychiatry)と精神疾患のモデル的な理解

この記事は、[前回の記事]の続きになります。現在では、よほどの反社会的な暴力性(衝動性)や自傷他害のリスクが無い限りは措置入院になることはないし、一人の精神科医の診断(判断)だけで強制的な措置入院をさせることなどはできなくなっている。

しかし、20世紀半ばの時代には、統合失調症の患者は比較的簡単に隔離施設(閉鎖病棟)に収容されることが多く、『精神病者の人権問題』の観点から反精神医学運動が支持されやすい時代背景もあったものと考えられる。

科学的な近代精神医学に基づく精神医療では、『患者の内的世界や異常な心理体験・成育歴における心理的要因』といった因果論(原因論)には余り関心が払われず、『症状の組み合わせによる現象学的な診断+薬物治療』によって治療が進められていくことになる。

精神医学では精神症状や精神病者を『客体化』して認識しているので、どうしても『観察する医師(精神科医)』『観察される患者』との間に権威主義的なヒエラルキー(上下関係)が形成されやすくなり、医師が患者の内的世界(特殊な心理体験)に共感的理解を向けることが難しくなってくる。

反精神医学運動では、『狂気のラベリング』『統合失調症の了解不可能性+予後不良(治癒不能)』に対して激しい反対意見が出され、医学的なラベリング(診断名)を相対化しながら統合失調症の心理・想像を理解しようとする努力が行われた。

近代精神医学の統計的な『発症−経過−転帰(予後)のモデル』についても、独断的で柔軟性のない画一的なモデルだという批判が行われ、患者を既存の病理モデルに当て嵌めるのではなく、患者の個別的な心理・事情に応じたヒューマニスティックな治療法が検討されることになった。反精神医学の思想は『精神医療のヒューマニズム(人間化)』として解釈することが可能であり、反精神医学の人間観は『倫理性の向上』と非常に深い関わりを持っている。



posted by ESDV Words Labo at 22:04 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。