ウェブとブログの検索

カスタム検索





2010年04月13日

[ヒエラルキー(Hierarchy)]

ヒエラルキー(Hierarchy)

ヒエラルキー(Hierarchie)『階層秩序・位階秩序』と訳されるが、元々はキリスト教世界における宗教的な聖職者・俗人の位階秩序を意味する用語であった。ヒエラルキーの語源はギリシア語の『ヒエロス(hieros, 聖性)』『アルヘイン(archein, 支配する)』の合成語と言われており、『聖なる支配』を意味していた。

ヒエラルキーという言葉が初めてキリスト教文献で用いられたのは6世紀後半と言われ、『聖なるもの(神)からの距離』に応じて教会・聖職者の上位から下位の秩序が規定されていた。宗教的なヒエラルキーは宗教権威(ローマ教皇)の政治権力(国王)に対する優越を示して、『政治的・社会的な秩序の原型』となったが、ヒエラルキーの階層構造は『国王・諸侯・家臣(戦士階級)・平民の封建主義の身分秩序』にも見られることになった。

封建主義の身分制度の基本構造は、国王(君主)が領土を諸侯に与えて、諸侯が国王に軍事的義務を果たす形式の『主従関係』を結ぶことにあり、諸侯に従っている家臣・家来たちも諸侯との間に『領土・俸給』に基づく主従関係を結んでいる。

日本の江戸時代の『士農工商』の身分制度も、封建主義的なヒエラルキーの一形態である。中世ヨーロッパのローマ・カトリックを頂点とする宗教的ヒエラルキーは、各身分の権利・義務を規定して、『支配―従属関係の正統性』を付与したが、カトリックの権威を否定する『プロテスタントの宗教改革』によってヒエラルキーの強制性が弱められた。

16世紀の宗教改革(プロテスタンティズム)と18世紀のフランス革命(自由・平等・友愛の理念)、19世紀以降の身分制度を廃止した近代民主国家の確立によって、宗教的・政治的ヒエラルキーの多くはその実効性と説得力を失っていった。しかし、現代においてもピラミッド型の上下関係によって階層的に規定されるヒエラルキーが完全になくなったわけではない。『軍隊・官僚機構・会社組織』において、機能的・職務的なヒエラルキーが残っており、下位者は上位者に従わなければならない規範性や地位の区別が見られるのである。

現代の自由民主主義国家におけるヒエラルキーは、『身分制度としての封建主義的なヒエラルキー』とは異なるが、会社組織・軍隊・官僚機構においては『支配―従属の上下関係』が正当化されており、個人はある一定の階層秩序の中で決められた役割を果たさなければならない仕組みが確立されている。

現代で問題視されるニート・自発的失業状態といった概念は、『仕事・労働(企業組織への所属)』が敬遠されやすくなっていることを示唆しているが、その理由の一端は自由な社会における『擬似的な上下関係の規定性・拘束性』が企業組織にはあるからだろう。潜在的に働く能力がありながらも企業・職場への適応困難が起こっている場合には、『個人の自由・平等』という近代社会の建前が崩されることに抑圧を感じやすくなっていることが多い。

現代社会における企業・官僚・軍隊のヒエラルキーは『支配―従属の正当化』を固定的に認めるものではないが、当該組織に帰属している限りは『上位者に対する下位者の従属』が求められることになる。ヒエラルキーは一般的に頂点から底辺へと段階的に続いていく『トップダウンの階層構造』を意味しているが、現在では相対的なレベルの区別と上下関係の分類だけにヒエラルキーの図式が応用されることも多い。

現代社会では厳格で威圧的な『ヒエラルキー構造』は不自由なものとして否定的に見られやすいが、最低限度の社会秩序や労働の機能性を維持するために、上位者に下位者が従うという『ヒエラルキー型の組織』が求められる場面は今でも多く残っている。



posted by ESDV Words Labo at 11:21 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。