A.W.コームズの適正なパーソナリティ(adequate personality)
A.W.コームズの[開放系市心理学]というのは、研究・実践の自由度が高くて、特定の目標が定義されていない心理学のことであり、カール・ロジャーズやアブラハム・マズローのヒューマニスティック心理学(人間性心理学)などが開放系心理学に該当する。カウンセリング技法の分野では、S.フロイトの精神分析やV.E.フランクルのロゴセラピー(実存療法)といった非構造化面接の技法が開放系心理学として分類されることがある。
開放系心理学は、特定の問題解決にこだわらない『発見志向(探索志向)の心理学』であり、新たな事例や変化の発見を対人援助技術(人格性の成長)に応用するという部分に重点が置かれている。開放系心理学の研究・実践は科学的なものではなくて、臨床的でヒューマニスティックなものであるが、開放系心理学と対照的な分野として検証可能性を重視する『閉鎖系心理学』というものがある。
閉鎖系心理学に分類されるカウンセリング技法・心理療法には、アーロン・ベックの認知療法やアルバート・エリスの論理情動行動療法、系統的脱感作を行う行動療法などがある。開放系心理学に基づくカウンセリング・心理療法の目的は、『人間的な成長・心理的な洞察・自己実現的なライフスタイル(自己の発見)』などであり、A.W.コームズはその理想的な人格構造として『適正なパーソナリティ(adequate personality)』というものを仮定している。適正なパーソナリティとは簡単に言えば、本来の自己の欲求と自分の周辺環境(対人関係)に無理なく適応可能なパーソナリティのことである。
現在の自分の人生と人間関係だけではなくて、将来における自分の目標や課題、人間関係にも『効果的な適応・行動』がとれるような人格構造のことを、コームズは適正なパーソナリティとして定義しており、『自己肯定的な認知』によって自分や環境をポジティブに解釈することができる。
心理的な健康性を維持しながら、自分の人生経験や対人関係にオープンな態度を取ることができて、『新しい環境・変化』を今後の自分の人生に効果的に取り入れていくことができるパーソナリティである。自己愛の過剰に陥って自己中心的になることなく、『相手の立場・感情』を適切に想像しながら、共感的な言動をすることができるのも適正なパーソナリティの特徴である。

