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2010年05月04日

[テクノストレス(テクノ不安症・テクノ依存症)]

テクノストレス(テクノ不安症・テクノ依存症)

アメリカの臨床心理学者であるクレイグ・ブロード(C.Brod)は、コンピュータなどIT機器の利用やインターネットの利用によって生じる精神的ストレスを『テクノストレス(technostress)』と呼んだ。情報化社会の始まりやオフィスへのパソコン導入によるOA化(オフィスオートメーション化)によって、テクノストレスによる心身の不調が注目されたが、インターネットとパソコン、携帯電話の普及が進むにつれて、『IT機器・ウェブへの苦手意識』の結果として生じるテクノストレスの問題は減っている。

オフィスのパソコン導入によるオートメーション化が進む途中では、パソコン操作やOA機器の取扱いに適応できなかった中高年の管理職者などが『OA症候群』というテクノストレスに由来する自律神経失調症・心身症を発症したこともあったが、現在ではパソコンやOA機器を利用することが当たり前になっている。パソコンや携帯電話によるウェブへのアクセスが日常的になった現在では、テクノストレスの問題は『テクノ依存症』に集中するようになってきていて、ウェブを利用していないと不安感や孤独感、焦燥感が強まるという精神状態が見られやすくなっている。

テクノストレスの概念を提唱したクレイグ・ブロードは、テクノストレスの結果として生じる精神症状として『テクノ不安症』『テクノ依存症』の2つを上げている。IT機器やパソコン、インターネットに適応できないことによって発症する精神疾患が『テクノ不安症』であり、自分の仕事や役職に自信が持てなくなって不安感に絶えず襲われたり、頭痛やめまい、吐き気、下痢、睡眠障害、食欲不振などの自律神経失調症に苦しめられる症状がでてくる。

テクノ不安症は、コンピュータやインターネットを使い慣れておらず親近感が持てないという『苦手意識』が根本原因となって発症する精神障害なので、日常的にパソコンやケータイ、ウェブを利用する環境で仕事をして生活をしていれば自然に治癒してしまうことのほうが多い。『テクノ依存症』はコンピュータやインターネットに過剰適応してしまい、オフラインの現実生活や人間関係への関心・意欲が乏しくなるという精神疾患であり、現代では『ネット依存症・ネトゲ依存症(オンラインゲームへの依存症)』などの問題が取り上げられることが多い。

情報化社会で毎日インターネットにアクセスする生活習慣を持つようになった現代人であれば、誰でも些細なきっかけで『テクノ依存症・ネット依存症』になる可能性があるが、治療を要する精神病理であるか否かの基準は『現実社会(仕事・人間関係)への適応』にある。どんなにインターネットやネットゲームに強い興味関心を持って、長時間没頭していても、身体と精神の健康を崩さずに現実社会での人間関係や学校・職場に適応できているのであれば、精神病理としてのテクノ依存症(ネット依存症)とは見なされない。

しかし、依存性・熱中性が強い『ネトゲ依存症』が悪化すると、一日中、食事と睡眠以外の殆どすべての時間をネットゲームをして過ごすようになり、現実の生活や仕事、人間関係に著しい支障を来たすこともあり、『ネトゲ廃人(現実社会との接触を断ち切ってネットゲームしかしない生活様式に耽溺する人)』などの問題も指摘されている。

『ネット依存症』になる心理的要因として、現実の生活・仕事や人間関係が余り充実しておらず孤独感や疎外感、無力感が強まっていることが上げられるが、『リアルの世界』よりも『ネットの世界』のほうが心理的報酬(承認・評価・興奮)が大きいと感じる人が、ネット依存症になりやすい。他者との接触を回避して共感的なコミュニケーションができない自閉性が見られたり、喜怒哀楽の感情が鈍麻して現実生活の中でポジティブな感情が感じられなくなったときには、ネット依存症に対するカウンセリングや心理療法が必要になってくることもある。

ネット依存症は重症化しても身体面でも心理面でも『不快・苦痛な自覚症状』が乏しいので、治療の動機づけに欠けることが多い。ネット依存症の標準的な対処法も確立していないので、一般に改善・治癒はかなり困難であるが、ウェブ社会が普及するにつれて仕事中にもウェブにアクセスし続ける人が増えており、『ネット依存症の判定基準』は経済活動や対人関係に適応できない状態のままで、ネットやネトゲに盲目的に熱中し続けることになってきていると言えるだろう。

posted by ESDV Words Labo at 03:22 | TrackBack(0) | て:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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