記憶実験の適中法(prompting method)
認知心理学や基礎心理学の記憶実験で用いられる方法の一つが『適中法(prompting method)』であり、手がかりの呈示によって記憶内容を想起させようとする方法である。厳密には、単純な記憶の検査ではなくて、連合学習による記憶の検査に用いられる方法であり、適中法は『対連合法』と呼ばれていて、児童向けの各種知能検査でも絵柄を対呈示して覚えさせる『記憶(連合学習)の問題』が取り入れられている。
人間の短期記憶は『記銘−保持−想起,記銘−保持−忘却』のプロセスによって説明されるが、反復学習や日常的な想起によって、記憶保持の期間が長期化して固定すれば、忘却が起こりにくい長期記憶へと移行する。適中法では、『二つの記銘する材料』を同時に呈示して、想起テストを実施する時にどちらかひとつの材料だけを手がかりとして与え、もう一つの材料を当てさせる(適中させる)というものである。
実施しやすい記憶実験の方法(記銘学習の効果を調べる方法)として、『適中法』と『系列予言法』とがあり、系列予言法では複数の素材(番号など)の『並びの順番』を記銘させることで、次に出現すると予測される素材を当てさせる。適中法も系列予言法も『被検者が想起しやすくする手がかり』を与えるという意味で、何もない状態でいつでも覚えた内容を想起できる完全記憶とは異なっている。
記憶実験には様々な方法論が考えられるが、その場で短い時間だけ呈示された内容を覚える『短期記憶』と特定の知識や内容、エピソードを忘れることなく長い期間にわたって覚え続ける『長期記憶』との違いもあり、人間の記憶能力のすべてを正確に測定するような実験方法をデザインすることは困難と考えられている。長期記憶も『エピソード記憶(体験記憶)』と『宣言記憶(意味記憶)』、『手続き記憶(ワーキングメモリー)』とに更に分類することができる。

