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2010年05月17日

[S.フロイトの徹底操作(working through)]

S.フロイトの徹底操作(working through)

S.フロイト(S.Freud, 1856-1939)が創始した精神分析は、クライアント本人が自覚的に思い出すことのできない『無意識の領域』を分析することによって、精神症状の緩和や心理的苦悩の改善を目指すものである。

S.フロイトが精神分析で治療したヒステリーの症例によれば、無意識の領域には『本人の認めたくない性的欲求・道徳的に受け容れがたい感情記憶』が抑圧されているという。その抑圧された『激しい感情や欲求』が、神経症の様々な心身症状(四肢麻痺・手足の振るえ・めまい・吐き気など)に転換されるというのが、精神分析の病理学の基礎理論である。

S.フロイトは『無意識的欲求の抑圧』によって発症する神経症(精神障害)を精神分析で治療する技法として、無意識的内容を想起させる『自由連想法・夢分析(夢判断)』を用いた。頭に思い浮かぶことは何でも話すという『自由連想』、顕在夢に出現したイメージや人物、物語などを無意識的欲求の変換(象徴化・置き換え・圧縮)として理解する『夢分析』によって、『無意識の意識化(無意識の言語化)』ができるというのが精神分析の治療論である。

神経症やヒステリーを治療する精神分析の技法とは、簡単に言えば、クライアントが思い出したくないと感じて抑圧している『無意識的願望・欲求』を思い出させること、言語化させて再体験させることで精神症状が消失・改善するというものである。

しかし、本人が無意識的に受け容れがたい(認めたくない)と感じて抑圧している『激しい欲求・感情』を想起させようとすれば、そこに『転移』『抵抗』が起こってくる。クライアントが自分の問題点や症状形成の仕組みを洞察して、無意識の言語化を進めていくためには『抵抗の除去』をしなければならない。

そして、フロイトが考案した抵抗の除去や転移の分析のための技法が、『徹底操作(working through)』と呼ばれるものである。ジークムント・フロイトの論文『想起・反復・徹底操作(1914)』で解説されている技法が徹底操作であるが、徹底操作というのは『過去の抑圧された無意識的願望・記憶』を繰り返し言語化(意識化)させて再体験させていくということである。『無意識領域の抑圧内容』を何度も繰り返して反復的に取り扱っていく『徹底操作』によって、段階的に抵抗を克服していくことができるとされる。

クライアントが苦痛や不安を感じる無意識的願望を反復的に取り扱うため、徹底操作のプロセスでは『クライアントの抵抗・不安』が一時的に高まることがあるとされる。最終的には、自分の心理状態や精神症状に対する『表層的な知的理解』を越えた『本質的な情的理解』をすることが目的である。分析家とクライアントが無意識内容を何度も検証する徹底操作のプロセスによって、自分を苦しめていた『無意識的欲求の反復強迫』を治癒することができると仮説的に考えられている。



posted by ESDV Words Labo at 09:45 | TrackBack(0) | て:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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