ウェブとブログの検索

カスタム検索





2010年05月31日

[電気ショック療法(electroshock therapy)・経頭蓋磁気刺激法(TMS)]

電気ショック療法(electroshock therapy)・経頭蓋磁気刺激法(TMS)

電気ショック療法は電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)と呼ばれることも多いが、1938年にイタリアのツェルレッティビニによって開発された重症の精神病に対する治療法である。1952年に、フェノチアジン系の抗精神病薬(メジャートランキライザー)であるクロルプロマジンが、アンリ・ラボリによって発見されたことによって、身体的リスクのある電気けいれん療法の応用例は減っていった。

しかし、電気けいれん療法(ECT)は20世紀半ばまでは『重症の統合失調症・双極性障害(躁鬱病)・うつ病』に対して実施されていたのであり、現在でも長期の薬物療法で症状が改善しない重症の双極性障害やうつ病に対して一部の病院で実施されることがある。

電気ショックの精神症状に対する具体的な作用機序は解明されていないが、ECTが重症のうつ病や躁鬱病の症状を改善するというエビデンス(統計的な証拠)はあり、希死念慮を伴う極度の気分の落ち込みや精神運動制止を顕著に改善させたケースもある。

ツェルレッティらがECTの治療法を発想した背景には、統合失調症とてんかんが同時に発生しにくいという仮説があり、人為的にてんかん発作に似たけいれん発作を通電で発生させることによって、統合失調症を改善できると考えたのである。実際に、ECTの治療効果はあったのだが、20世紀後半までのECTは、麻酔を掛けずに頭部に電極を当てて強力な電流を通電させることが多く、その際に舌を噛んでしまったり手足をぶつけて骨折しまうようなトラブルが相次いだ。

その時代には、ECTは『閉鎖病棟の恐ろしい治療法・患者の人権を侵害する危険のある治療法』として受け取られることもあったが、1980年代以降のECTの見直しの中で『麻酔を掛ける・患者とのインフォームドコンセントを徹底する・同意がなければECTを用いてはならない』などの安全性や人権に配慮した改善案が提示されたりもした。

麻酔医の指導の下に全身麻酔をかけて筋弛緩剤を投与してから実施する『修正版ECT』であれば、それ以前の旧来的なものとは違って危険なけいれん発作を起こさない。

修正版ECTでは、電流の低いパルス波を用いた電気ショック療法を実施できるようになったが、現在でもECTを用いた精神病の治療は一般的なものではないし、よほど重症のケースでなければ実施されることはない。自殺企図のリスクが高いうつ病患者などであればECTを実施する治療的意義はあるが、安全性の確保とインフォームド・コンセント(同意の上の医療)には十分に配慮する必要がある。

ECTよりも身体的リスクが少なくて安全性に配慮された治療法として『経頭蓋磁気刺激法(Transcranial Magnetic Stimulation:TMS)』という治療法もあり、非侵襲的なTMSはパルス磁場を発生させることで脳神経系に渦電流の刺激を与えるのである。TMSはけいれん発作を誘発させることなく、急激な磁場の変化によって脳内のニューロンを興奮させることができるので、重症うつ病の治療などに対する安全な治療法の一つになっている。TMSは、fMRI(機能的核磁気共鳴法)のニューロイメージングと組み合わせることで、人間の脳機能を解明するための認知心理学・認知神経科学の実験に用いられることも多い。

posted by ESDV Words Labo at 20:16 | TrackBack(0) | て:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。