カール・ロジャースのクライエント中心療法でいう『ラポール(ラポート)』と非常に近い人間関係の性質を指し示す概念である。
ロジャースが挙げたカウンセラーの基本的態度としてのラポールとは、ありのままの自分がありのままの相手と向かい合い、真摯に語り合うことによって生まれる相互的な信頼関係であり、人間的な温かみや親愛を感じられる関係である。
実存主義的なカウンセリングを志向したブーバー(M.Buber)が提唱したアイ・ザウ・リレーションシップ(I-Thou Relationship)も、お互いに相手を一人の価値ある人格として尊重できる関係、相手の考えや存在を受容できる関係を意味する。
精神的に深い次元での共感や存在的に深い次元での理解をお互いに得るためには、『我―それ』といった相手を客体化する人間関係ではなく、『我―汝』という相手を自分と同じ主体として尊重する対等な人間関係を結んでいかなければならない。
アイ・ザウ・リレーションシップ(I-Thou Relationship)とは、対象(相手)を客観的に観察して、操作し分析する科学的態度の対極にあるものであり、かけがえのない相手と社会的役割態度を取り払って真摯に向き合う態度や関係を意味するものである。
ICU(Intensive Care Unit:集中治療管理室)
生命に関わる急性疾患や重傷度の高い外傷の状態にある患者、大きな外科手術を行った患者などの救命救急と体力回復を目的とした集中治療環境(集中治療室)がICUである。
ICUには、通常、先端医療機器が準備されており、24時間体制で、呼吸管理、心電図による心拍管理、血圧のモニタリング、体液・栄養の補液管理が行われている。
ICU環境特有のストレスによって発症する精神症状として、幻覚や強度の恐怖などが生じる『ICU症候群』と呼ばれるものがある。ICUは、専門分化されており、新生児専門のNICUや心臓疾患患者専門のCCUなどがある。