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2010年06月10日

[自己同一性(自己アイデンティティ)の確立とアイデンティティ拡散の要因]

自己同一性(自己アイデンティティ)の確立と拡散

エリク・エリクソン(E.H.Erikson, 1902-1994)は発達段階と発達課題を定義した社会的精神発達論(発達漸成図式)の中で、青年期の発達課題を『自己アイデンティティ(自我同一性)の確立』とした。自己アイデンティティとは『自分とは何者であるのかという問い』に対する自己定義であり、『自分は自分以外の何者でもない』という連続的な一貫性を持った自己意識のことである。

E.H.エリクソンは自己アイデンティティの特徴として“私とは○○である,私は○○に帰属している”という自己意識(自己同一性)の『連続性・一貫性・統合性』を上げている。

自己アイデンティティの連続性とは『過去の私』と『現在の私』が断絶せずに継続しているという感覚であり、一貫性とは『自分の行動・自覚』と『自分の実際の状況』が合理的につながっていない混乱していない状態のことである。統合性とは『自分という意識』がバラバラに分裂したり細分化しておらず、『全体としての自我の統一性』を保っているということである。

20世紀後半までは『自己アイデンティティの確立』は、学校を卒業して就職したり結婚したりすることで半ば自動的に確立できるものと考えられており、自己アイデンティティとは年齢に応じた『社会的属性(職業意識・企業の所属)』『婚姻・家族形成』によって規定されるものであった。この事情は、現代でも大きく変わったわけではなく、社会的な役割行動や職業意識、属性によって規定される連続的な自己定義のことを『社会的アイデンティティ』と呼ぶこともある。

就職して会社員や公務員などのサラリーマンとしての職業意識を持ったり、結婚して夫・妻や父親・母親としての自意識を持つことで、社会適応的な安定した『自己アイデンティティ』を確立しやすくなる。しかし、現代の先進国では『高学歴化・不決断なモラトリアムの遷延・ジェンダーフリー・未婚化晩婚化・フリーター化・ニート・不況による雇用減』などさまざまな要因によって、かつてのスタンダードな自己アイデンティティの確立が困難になっており、『自己アイデンティティの拡散』が起こりやすくなっている。

E.H.エリクソンは自己アイデンティティの確立に失敗した精神的危機として、『自己アイデンティティの拡散・混乱』を指摘している。『アイデンティティの拡散(identity diffusion)』とは、自己意識が曖昧化して明確ではなくなり、自分の人生・仕事を主体的に選択できないぼんやりしたアイデンティティの形成不全のことである。

『アイデンティティの混乱(identity confusion)』とは、『どういった進路や職業を選ぶべきか迷う・本当の自分がどれか分からない』などアイデンティティの選択に対して混乱状態にあることであり、通常激しい葛藤や不安を伴っている。



posted by ESDV Words Labo at 02:55 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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