登校拒否(school refusal)・不登校
学校に通学することを拒絶した状態を『登校拒否(school refusal)』と呼んでいたが、最近は学校に行かなければならないという義務感や責任追及の度合いを弱める意図もあってより中立的な『不登校』という概念が使われるようになっている。登校拒否という概念には『学校に通学する=正常・学校に通学できない=異常』という価値判断が包摂されている。
かつては、登校拒否を特定恐怖症(神経症)の一種と見て、『学校恐怖症』という病名が提起されたこともあった。だが、不登校の状態にある生徒は必ずしも学校・通学を恐怖の対象として認知しているわけではないので不適切な命名である。『登校拒否』という概念についても、不登校の状態にある生徒は必ずしも『学校に行くことを積極的に拒否しているわけではない(学校に行きたくても行けない心理状態がある)』ということがあり、登校拒否は適切な概念とは言えない面もある。
不登校が発生しやすいのは、学校の友人関係(友人との力関係)が複雑化したり授業内容が高度になってくる『小学校高学年〜中学生の時期』である。不登校の特徴として『学校に行かなければならないという義務感・学校に行きたいという意志』そのものはあるが、いざ朝になって学校に行こうとすると“腹痛・下痢・頭痛・気分の悪化”などが起こって、学校に行けなくなってしまうということがある。不登校の初期には精神的ストレスや不安感の持続によって、各種の身体症状が前面に出やすいこともあり、ストレスが過剰になると胃炎・胃潰瘍といった心身症を発症することもある。
学校に行こうとすると緊張感や不安感、気分の落ち込みが強まって、『下痢・便秘・腹痛・腹部膨満感(ガスの蓄積)』などの身体症状が出ることから、“過敏性腸症候群(IBS)”との相関が指摘されることもある。
両親が学校に行かないことに憤慨して怒ったり叱責したりすると、子どもの反発や抵抗は強まりやすく、繰り返し“登校刺激”を与えることで家庭内暴力の問題が発生することもある。子どもが不登校に陥る原因は様々であるが、その代表的な原因として『いじめ・クラスからの孤立・勉強の遅れ(学業不振)・非行(逸脱行為)・怠学』などがある。
不登校の状態は進学などで学校の友人関係が切り替わる時に自然に回復することもあるが、『いじめ・仲間外れ・暴力被害』などによって心理的な傷つきがトラウマ化している場合には、学校環境や集団状況に適応できるようになるまでカウンセリングや周囲の支持によるサポートが必要になってくる。
不登校になっている生徒がどういった心理的な不安や傷つきを抱えているのかに共感して、『不登校の原因』を段階的に除去していく支援を行う・不登校になっている生徒の視点から問題状況を眺めることが大切であり、『本人の苦悩・焦燥感・不安感の受容』を行いながら、結果を焦らずに段階的に学校環境への再適応を模索していく。
不登校の児童・生徒の中にはそのまま学校環境に適応することができず、ひきこもりがちになりやすいという問題もある。そのため、不登校になった時には無理やりに学校に行かせることは好ましくないが、生徒本人の心理的な苦悩や傷つきに対して早期の適切なケア+対応が必要になると言えるだろう。

