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2006年03月28日

[無意識の意識化・無意識の言語化(make unconscious conscious)],[意識性(being conscious)]

無意識の意識化・無意識の言語化(make unconscious conscious)

オーストリアの医師シグムンド・フロイト(S.Freud, 1856-1939)が創始した神経症を適応症とする精神分析療法の治療機序が、『無意識の言語化・無意識の意識化』である。

フロイトは、共同研究者ブロイアーが対話を用いて治療した神経症患者O・アンナ嬢の症例を研究して、無意識領域に欲望や願望を抑圧することによって各種の心因性の神経症症状が発症すると考えた。抑圧されている心理的内容は、道徳的に容認されない性的欲望であったり、社会生活の中で表現できない非常識な願望であったりした。

そういった道徳的に容認されず社会的に否定される強烈な性的欲望や空想的願望は、本人もそういう欲求や願望があることを意識することが出来ない。それは、その欲求や願望が、精神分析の精神構造論でいう『無意識の領域』にあるからである。

自分自身の意識や知覚の及ばない無意識の領域に過去の欲求や願望は抑圧されているので、本人が自分自身で幾ら神経症の原因を探求しようとしても探し出せないのである。思い出すと不快や苦痛を感じる性的欲望(願望)を無意識の深層に抑圧すると、その情動のエネルギーであるリビドーが神経症症状に転換されてしまうというのがフロイトの神経症の病理学である。

O・アンナ嬢やエリザベートといった神経症患者は、自分でも思い出せなかった過去の不快な欲望や不道徳な願望を意識化して治療者に話すことで、神経症症状が改善し治癒した。O・アンナ嬢自身は、これを『心のエントツ掃除』といって、抑圧した情動や欲望が精神分析を通して浄化されることで治療効果を実感した。

このように、『抑圧している情動』や『隠蔽している出来事』を話すことによって得られる爽快感・開放感を、一般に『カタルシス効果』という。そして、夢分析自由連想法といった独自の面接技法を用いて、無意識領域に抑圧された心的過程(欲求・情緒・願望・記憶)を、意識化(言語化)させる治療法が精神分析療法である。

意識化は、通常、無意識領域の表層的な部分にある現在に近い過去の時間軸から行っていく。そして、段階的に、より深層の領域にある幼少期の記憶や欲望を意識化する作業に入っていく。幼少期の親子関係で感じた情動や外傷的な記憶を意識化させる作業には、非常な苦痛や悲哀を伴うので、クライエントにある程度の自我の強度と客観的な認知機能がなければ精神分析は逆効果になることもある。

意識性(being conscious)

カウンセリング技法の実存主義アプローチにおける意識性(being conscious)とは、この世界に唯一の存在である自己の意識に自覚的になり、ただ一回きりの人生を生きる自分の奇跡性と責任性を強く意識するということである。

実存主義アプローチでは、『今、ここにいる唯一の存在である私』という意識性を重視して、現在の自分の精神的苦悩や生活上の困難を過去の自分の行動や親子関係に責任転嫁しないという決意を固めて主体的に自分の人生を生き抜くことを重視する。

過去にどんなに悲惨な養育環境があっても、過去に耐え難い喪失体験や虐待の記憶があっても、私もあなたも、この世界で誰も代わってくれない唯一の固有の人間として人生を生きていかなければならない。

その自己存在の意識性(being conscious)を実存的な存在形式として自覚し受容するとき、私達は自分の人生の主人公になり、自分の未来を切り開いていけるのは自分以外にはいないという真実を悟ることになる。

実存主義というのは、自分の孤独性や責任感を強く意識して、自分の人生を自分の意志で選択していくという非常に厳しく力強い人間観を内在している。

しかし、一般に、人間の精神や存在というのは弱いもので、受け容れがたい過酷な状況や苦痛な状態に直面すると、すぐに他者への依存性や環境への責任転嫁といった実存主義の対極にある逃げの姿勢をとろうとする。

そんな時には、本当に頼れる他者や安心できる場所があるならば、一時的に、苛烈な生活環境から逃避して心身の傷つきや疲労を休めるというのも一つの選択である。実存主義の意識性というのは、厳しい社会環境を主体的に生き抜いていこうとする理想的な人間モデルであって、それを実践するのはなかなか容易ではないのである。



posted by ESDV Words Labo at 07:18 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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