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2006年03月30日

[意志決定(decision making)],[異常心理学(abnormal psychology)]

意志決定(decision making)

意志決定というキーワードは心理学に特有のものではないが、一般的には『複数の選択可能性から、目的を持ってある一つの選択肢を決定する心的過程を伴う行為』を意味する。どういった目的を持つのかは、価値判断の枠組みによって異なるが、経済活動では利益の増大、対人関係では評価の上昇、恋愛関係では好意の増加だったりする。

近代的な合理主義の文脈で意志決定を考える場合には、『複数の前提から好ましい結論を導き出す心的過程』というサイモン(H.A.Simon)の定義が直観的に分かりやすいだろう。サイモンは、意志決定の複数の前提には、客観的な事実に基づく『事実前提』と価値判断の指標に基づく『価値前提』があると考えていた。

一般に、『問題解決につながる有効性』『利益増大につながる実利性』のある意志決定が、正しく適切な意志決定であると考えられる。『合理的な判断』や『理性的な分析』に支えられる意志決定が、人生の中で極めて重要なものと強く認識され始めたのは、近代以降のことである。

異常心理学(abnormal psychology)

臨床心理学という応用心理学は、大きく分けて『異常心理学』『心理療法』『心理アセスメント(心理検査)』の3つの分野から成り立つと考えることが出来る。異常心理学は、精神の正常性と異常性の境界を画定しようとする学問分野であり、精神医学領域の精神病理学とその大部分が重複(オーバーラップ)するものである。

異常心理学では、各種精神障害の発症・経過・予後(転帰)の機序を明らかにすることを目的として、精神障害(精神病・神経症・発達障害・問題行動・適応障害など)の各病態を明らかにし、その特徴や診断基準を研究する。日本の臨床心理学には精神障害を公的に診断する権限はないが、アメリカの臨床心理学では病態の診断や治療方針の決定も研究範囲に包摂されている。

異常心理学における異常性とは、『平均的な精神状態からの逸脱・主観的な苦悩による病理性・社会規範の無視・他者とのコミュニケーションの断絶や障害』などによって示されてくると考えられる。しかし、人間の精神の客観的な異常性を定義することは困難で、帰属する共同体の常識や大多数の人々が支持する価値観によって何が正常で何が異常かは変わってくることになる。

posted by ESDV Words Labo at 14:27 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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