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2006年03月30日

[アイデンティティ・ステイタス(Identity Status)]

アイデンティティ・ステイタス

アイデンティティ・ステイタスとは、マースィア(J.E.Marcia)が提起した概念で、青年期の発達課題であるアイデンティティ確立に向けて、どのように対処して克服しようとしているかの行動類型である。

私たちはアイデンティティを確立するための様々なアプローチを行うが、そのアプローチを構成する要因は大きく『クライシス(crisis)』『コミットメント(commitment)』に分けることが出来る。

クライシスとは、自分が何になりたいのか、自分はどういった人生を生きるべきなのかといった発達課題を達成するために行う『試行錯誤の体験』であり、その『探索行動を促す危機感』のことでもある。

コミットメントとは、社会的役割の獲得や人生の目標の達成のために行う実際的な行動・努力のことであり、『自己投入・自己参画』と訳される。

自己同一性を確立するためには、『自分は何者であるのかに迷い、何をしたいのかを探索するクライシス』を体験し、『具体的な目標や職業を定めて、それに向かって努力するコミットメント』を積極的に行っていく必要がある。

1.『クライシス(自己探索のための試行錯誤)』を行わずに、あっさりと他者の決めた基準に基いて『コミットメント(自己投入)』して、自分の生き方や職業を選択してしまうことを『フォークロジャー(foreclosure,早期完了・権威受容)』といい、これは自分の本当の希望や判断と向き合っていない不全感の残りやすいアイデンティティ確立である。

2.現在、自分が何になりたいのか、どういった職業に就きどのような人生を歩んでいきたいのかを模索している状態を、『積極的モラトリアム(社会的選択の猶予期間)』と呼ぶ。

3.自分が何をしたいのか分からなくなり、人生指針の方向感覚を喪失し、アイデンティティ確立に向けた実際的な行動や努力が出来なくなっている状態を『アイデンティティ拡散』といい、『消極的モラトリアム』ともいう。

この拡散状態が、長期間にわたって長引くと『モラトリアム遷延(せんえん)』といった慢性的なアイデンティティ形成不全状態となり、ひきこもり、NEET、就職忌避などの非社会的問題行動が起こってくることもある。

『自分の心理的な選択・判断』『社会的な立場・地位・職業の選択』につながってくるとき、人はそうそう簡単に判断を下すことが難しくなる。この優柔不断や不決断の状態である『モラトリアム』が長引くと、社会活動全般に対する意欲や興味の減退を特徴とするスチューデント・アパシー(意欲減退症候群)や学業不振、留年などの問題が目立ってきて、ひきこもりなどへと遷延していくケースがある。

posted by ESDV Words Labo at 15:32 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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